「はじめの100か月の育ちビジョン」|私たちにできること
昨日は、ご依頼いただいた、
「はじめの100か月の育ちビジョン」
をテーマにした90分のワークショップでした。
今回
講師、ファシリテーターを務めました。
私は
習慣化コンサルタントとして活動する一方で、
教育コンサルタントとしても
子育てや教育に関する講座や研修をご依頼いただいています。
41年間、
小学校教諭として子どもたちと向き合ってきた経験、
そして現在、子ども家庭庁
「はじめの100か月の育ちビジョン」
のコーディネーターとして活動していることから、
今回このような機会をいただきました。
私の役割は、知識を伝える「講師」ではありません。
参加者の皆さんが
自分自身の経験を思い出し、
対話を通して気づきを深めていく。
そのための場をつくるファシリテーターです。
そのため、
私が話す時間はできるだけ少なくし、
一つひとつの問いを投げかけながら、
参加者の皆さんどうしで
語り合う時間を大切にしました。
「ワークショップは初めて。」
そんな方も多く、
最初は少し緊張した雰囲気でした。
けれど、グループ活動の中で
問いを重ねるたびに少しずつ言葉が生まれ、
会場全体が温かな空気に包まれていきました。
今回のワークショップでは、
自分が子どもだった頃を
思い出していただく時間をたくさん取りました。
年齢も立場も違う皆さんですが、
「子どもだった時間」は誰にでもあります。
だからこそ、
そこに立ち返ることが、
今の子どもたちを理解する入り口になると考えたからです。
その中で、
私が印象に残っている問いがあります。
「困っているときに、大人に助けてもらった経験はありますか。」
正直 最初は皆さん、少し考え込まれていました。
何十年も前の出来事ですから、
すぐには思い出せなかったのかもしれません。
また、この問いって
ちょっぴり苦めの思い出も
思い出してしまう問いです。
でも、
一人、また一人と
思い出がよみがえってきます。
「先生のあの一言が忘れられません。」
「近所の方に助けてもらったことがありました。」
「つらいこともあったけれど、
あのとき支えてもらえたから今の自分があります。」
そんな言葉が、あちらこちらから聞こえてきました。
そして、最後にもう一つ問いかけました。
「そのとき助けてくれた方の表情を思い出してみてください。」
その瞬間です。
会場のあちこちで、自然と笑顔が広がりました。
私はその光景を見ながら、
人は助けてもらった出来事だけではなく、
そのとき向けられた
優しいまなざしや温かな笑顔まで
心の奥に大切にしまっているのだと感じました。
すると、
「私も、そんな大人になりたいな~。」
そんなつぶやきが自然に聞こえてきました。
私が伝えたかった答えを、
参加者の皆さん自身が
見つけてくださった瞬間だったように思います。
今回は、
絵を使った対話ワークにも取り組んでいただきました。
想像力を働かせながら、
「この子はどんな気持ちなんだろう」
「こんな声かけもあるかもしれない」
と自由に語り合う時間です。
最初は遠慮がちだった皆さんも
気づけば学生時代の仲間のように笑い合い、
「こうじゃない?」「私はこう思うよ」
と自然に意見を交わしていました。
いろんなストーリーができ、
それぞれのグループらしい対話が広がっていきました。
私が何よりうれしかったのは、
誰かを責める言葉が出なかったことです。
「今どきの若い人は……」
「親が悪い。」
そんな話ではなく、
「こんなこと あるよね。」
「子どもの立場になって考えると…」
「じゃあ 私は何ができるだろう。」
そんな言葉へと自然に変わっていきました。
子どもたちのためにできることは、
立派なこと・大きなことばかりではありません。
優しく声をかけること。
子育て中の方を温かく見守ること。
困っている人に、ほんの少し手を差し伸べること。
そんな小さな行動の積み重ねが、
子どもたちの「はじめの100か月」
を支えていくのだと思います。
ファシリテーターとしての自分を振り返ると、
「もう少しこんな問いを投げかけてもよかったかな」
と反省もあります。
けれど、
それ以上に心に残っているのは、
参加者の皆さんが自分の経験を語り合い、
自分の言葉で
「私は何ができるだろう」と考えてくださった姿でした。
改めて感じたのは、
人は教えられるだけでは変わらないということです。
自分で思い出し、語り、誰かの話に耳を傾ける。
その対話の中で心が動いたとき、
人は初めて一歩を踏み出したくなるのではないでしょうか。
ご一緒した皆さんが、この先どこかで
子どもや子育て中の方に
温かなまなざしを向けてくださったなら、
それだけでこの90分には大きな意味があったはずです。
私にとっても、
たくさんの笑顔と温かな気づきをいただいた、
忘れられない一日になりました。
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