地テシ:457 コン・ゲームの名作映画と小説
本日発表されました第33回読売演劇大賞の優秀女優賞に小池栄子さんがノミネートされましたよ!
小池栄子さんが、第33回読売演劇大賞・優秀女優賞にノミネートされました。
— 新感線公式ツイッターです。 (@SHINKANSENinfo) January 17, 2026
「やっぱり新感線って大変だね〜」と言いながらも、誰より劇団と物語、そしてお破に寄り添い、大千穐楽まで一緒に走ってくれた栄子さん。
本当におめでとうございます!… pic.twitter.com/WprMO9hWFu
おじさんおばさんばかりのカンパニーをグイグイ引っ張って下さった栄子さん。全公演が走り切れたのは栄子姐さんのパワーのお陰に間違いありません。大変だったと思うのですが、誰よりも前のめりに挑んで下さった姿勢にはホントに頭が下がります。ありがとう! そしておめでとうございます!
さて私は今、劇団ホチキス「ベイビーブラフ」の稽古中です。初めて参加する劇団ではありますが、主宰で作・演出の米山和仁さんとは「BURAI2」では作と演出を、「BURAI3」では作と総合演出を担当して頂いたので旧知の仲です。やり口というか作劇方法は知っているので初めてという気はしておりません。
しかも「BURAI」シリーズや劇団DopeⒶDopeで何度も共演した山﨑雅志さんもいらっしゃるので安心です。というか、長く続けてきた劇団特有の安心感が稽古場の隅々まで充満しておりますので全く不安はありません。なんだか居心地良く稽古が進んでおりますよ。
今回の「ベイビーブラフ」は詐欺師が主役のコン・ゲーム。コン・ゲームというのは「コンフィデンス・ゲーム」の略で、相手の信用を勝ち取って騙していくという詐欺をテーマとした物語です。
息を吐くように嘘をつく弟と、全く嘘がつけない姉。この姉弟がある事件に巻き込まれて騙し騙されのコン・ゲームを展開します。もちろん詐欺スペシャリストの仲間も出てきますし、詐欺師でない仲間も出てきます。もうドッタンバッタンです。
私はこのコン・ゲームをテーマとした映画や小説が大好きで、色々と鑑賞してきました。なかでもコメディ的要素がちょっとある軽快な作品が好きなんですね。
そんな山ほどある軽快なコン・ゲームの名作の中から少しだけご紹介したいと思います。「ベイビーブラフ」の予習というわけではありませんが、もし興味があればご覧頂いておくと、すんなりと作品の世界観に入り込めると思います。もちろん見るか見ないかは人それぞれですが、既に見たコトがある方ならば「ああ、ああいう世界観ね」と心づもりができることと思います。
まずは何と言っても外せないコン・ゲーム映画の名作と言えば「スティング(The Sting)」でしょう。1973年のアメリカ映画でして、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが出演しています。
1930年代の禁酒法時代のアメリカを舞台としているので、当時としてもレトロ感ある作品なのですが、今となっては大レトロ過ぎてむしろ古き良き時代にすら思えるオールド感です。ですが、仕掛けとしては今見ても見事な詐欺が展開されます。
まだ駆け出しのイケメン詐欺師を演じるロバート・レッドフォードが、詐欺でカモったギャングに相棒である先輩詐欺師を殺されてしまい、その復讐を誓って伝説の詐欺師であるポール・ニューマンを引っ張り出すことから物語が展開します。
「スティング」の見どころは何重にも張り巡らされた複雑な詐欺の罠。もちろん見ている我々観客も騙されます。しかも、カモであるギャングのボスに、騙されたことすら気付かれないようにしなければなりません。だって気付かれたら復讐されちゃうからね。このあたりも実に見事な展開です。
今作以降にも数多くのコン・ゲームの名作が作られますが、どうしてもちょっと似ちゃうんですよね。だってカッコいいシーンは大体「スティング」でやられちゃってるから。それくらい影響力がある名作だってコトですよ。
次は「オーシャンズ11」。2001年のアメリカ映画で、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが主演。
こちらはどちらかというと泥棒映画なのですが、仕掛けの至る所に詐欺の要素が含まれているので一種のコン・ゲーム映画でもあります。
ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットの泥棒コンビが、その幅広い人脈から数多くのスペシャリストたちを集め、それぞれの得意技を駆使してカジノから大金を盗み出すという痛快な映画。コン・ゲームも好きなのですが、単独の天才犯が詐欺を行うよりも「クセの強い仲間たちが特技を使って協力する」という話が大好物なのです。あと、悪役が魅力的な作品ね。今作はどちらも満たしていて大満足の一作です。
スティーヴン・ソダーバーグ監督のオシャレな演出とデヴィット・ホルムズの小粋な音楽が物語を盛り上げ、観客までをも騙す仕掛けの連続です。
最後にコン・ゲーム小説から一つだけ。それはジェフリー・アーチャーの「百万ドルをとり返せ!(Not a penny more, not a penny less)」(新潮文庫)です。
実態のない石油会社を利用した株式詐欺で大金を失った四人の男が力を合わせて金を取り戻そうとします。ただし「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」です。
詐欺を仕掛けるのは冴えた頭脳を持つオックスフォードの数学教授、医学知識豊富でハンサムな医者、美術に詳しい画廊経営者、演劇好きの貴族の御曹司。この四人がそれぞれの得意技を使って騙していくところが痛快だし、イギリス人らしいひねくれたユーモアにも溢れています。
作者のジェフリー・アーチャーはこれがデビュー作なのですが、練られたプロットに洒脱な筆致なのでとてもデビュー作だとは思えません。
しかもその経歴も面白い。イギリスの下院議員でありながら、北海油田の株式詐欺で全財産を失って議員を辞職。その後、自身が受けた詐欺をテーマとした本作で作家デビューし、人気を呼んでベストセラー作家になってしまったのですから人生とは不思議なモノです。
そんなこんなのコン・ゲーム作品の数々。今回「ベイビーブラフ」に参加するに当たって、いくつかの映画を見直したり小説を読み直したりしておりますが、やっぱりどれも面白いねえ。ただ、もちろん詐欺は犯罪です。詐欺がオシャレだなんてエンターテインメントの世界の中だけです。楽しむのは創作の中だけにしておきましょう。約束だよ!
