地テシ:454 閉幕した「爆烈忠臣蔵」からの小ネタ
終わったよ! 劇団☆新感線「爆烈忠臣蔵」がなんとか無事に終わったよ! 9月の松本から10月の大阪を経由して、この年末に東京公演が終わりました! ご来場頂いた方も、ライブビューイングでご覧頂いた方も、見たかったけど見られなかった方も、見る気がなかった方も、どちら様もありがとうございました。これで年が越せそうですよ。ありがとう令和七年!
ええと、そういうワケでね、昨日が千秋楽、明けて今日。ですので今日はもうグッタリです。だもんで今日は「爆烈」に関する小ネタをいくつか書いて終わりにしますよ。しちゃいますよ!
まずはセルフパロディについて。今作では過去の新感線作品のパロディがいくつかあり、まあ多くの方がお気づきかと思われます。「吉良上野介の七人」なんかは判りやすいかと思いますが、実はあの虹色の七人は、1990年の初演版「髑髏城の七人」の「七人」ですよ。ただし、橋本さとしくんは遠山金四郎なので出ることができず、代わりに熊五郎がいますけど。
意外と気付かれていなさそうなのが「神に出会えば神を演じ、鬼に出会えば鬼を演じる」という台詞ですが、これは「阿修羅城の瞳」からです。抜刀斎だか誰だかの「神に出会えば神を切り、鬼に出会えば鬼を切る」という縁切りの太刀についての台詞が元ネタですよ。良く覚えてないけどさ。
あと、物凄くマニアックなネタを。七人の吉良が並んだ時、河野まさとくんが言う「どうします? 帰りますか?」というのは「轟天1」での河野くんの台詞です。台本上では「どうするんです?」ですが、稽古中に何故だかこういうことになりました。
あとは、幕府内での役職の上下がよく判らないと言っている共演者がいました。確かに判りにくいですね。
江戸幕府では、将軍の下に数人の「老中」がいます。この老中たちが政権を運営します。いわば内閣ですね。老中の下には側用人とか勘定奉行とか高家とかが属しています。大目付も老中の下で大名たちを監視しています。
そして、「江戸町奉行」も老中の管轄です。同様に大阪や佐渡などの遠国奉行も老中の下です。つまり、江戸町奉行・遠山景元は老中・水野忠邦の管轄を受けているワケです。
また、将軍の下には数人の「若年寄」もいます。老中が全国の政治を担当するのに対して、若年寄は主に江戸に住む旗本・御家人を担当します。そして、旗本・御家人を監視する「目付」も若年寄に属しています。
江戸町奉行の直接の上司は老中ですが、奉行は有力旗本から選ばれるので若年寄も奉行より立場が上になるのですね。
また、橘川座のシーンでは私を含めた数人が鳴り物を務めています。いや、務めてはいないな。鳴り物方のフリをして弾いているフリをしています。で、この時の鳴り物方のペラペラの衣裳を不思議に思った方も多いのではないでしょうか。
座って弾いている時にはキチンとした裃(かみしも)に見えるのに、よく見たらペラペラの衣裳なのです。江戸時代に流行した歌舞伎や浄瑠璃は民間で発達したので、庶民が演じる舞台上での鳴り物さんは簡略化された裃で済ますようになったのだそうです。肩に掛けているのが「肩衣(かたぎぬ)」、前に垂らしているのが「前掛け」といいまして、あれはああいうモノなんですって。現代の歌舞伎でも鳴り物さんの衣裳はあの簡略版裃なのですよ。
衣裳関係では、松の廊下のシーンでの、袂からチラッと見える白いソデが気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。そう、まるでサラリーマンの白ワイシャツの様に見えるアレです。
アレは「手筒」といいまして、殿中などの高貴なシーンで着用される衣裳パーツです。ただ、「手筒」で検索しても花火や武器としての手筒ばかりが出てきてよく判らなかったので衣裳さんに確認してみました。
どうやら、実際の江戸城殿中などでの正装は、着物の下に着る襦袢が長袖シャツの様に手首まであったのだそうです。ですので、袂からちらっと見えるソデはあのように白いのです。
ただ、歌舞伎舞台ではそれを簡略化して手筒で代用しているのです。まるで昔のサラリーマンが着用していた「腕抜き(アームカバー)」のような、肘から手首までの白いソデパーツを着用し、それを手筒と呼んでいるのですって。ですので、これは歌舞伎衣裳用語というコトになります。いやあ、知らない事っていっぱいあるよね〜。
ちなみに、上野介が持っている特殊な扇子、あの小さなハリセンみたいに見える先が広がった扇子は「中啓(ちゅうけい)」といいまして、主に僧侶や神職が威儀を正すために使う扇子です。畳んでも「中ば啓く(開く)」ことから中啓です。
かつては公家や武家が正装として使用していましたが、その名残として歌舞伎や能狂言では今でも使用されているのです。
そんなこんなの爆烈小ネタ。もっと色々な小ネタがあるのですが、何しろ私はグッタリなのです。今日の所はこんな感じで終わりたいと思います。ていうか今年を終わりたいと思います。いやあ、気が付いたら年末ですね。それでは皆様、良いお年を!
