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町田市のある団地について

事故物件に住んでいます。
…という書き出しだと、まあまあなインパクトがありますね。

実際にそうなのですが、
入居してからすでに15年以上が経過していますし、
事故物件としての特典(家賃減額など…後述します)は3年間だから、もうその恩恵は受けていませんし、
べつにこれといった怪現象は起きませんでした(ただ、お祓いだけは済ませましたよ)…が、
事故物件に住んでいるというと、誤解をおそれずにいえば周囲ウケはよいので、ココに入居することになったいきさつを記していきたいと思います。

ちなみに。
友人を呼んで自宅呑み会を開くのが好きな自分、
ただ、霊感の強い友人がふたりほど居て、彼ら彼女らは誘っていません。
本人たちが拒否し「外で会おう」といってきますし、それに、「居るよ」「見えるよ」といわれても困るしね。
居てもいいんですよ、べつに。
でも自分は見える子ちゃんではないので、指摘を受けなければ「その存在」について考えたり思ったりしなくてよいわけで。
そのほうが、三者―自分、友人、ゴーストさん💦―のためでしょう。

で、その霊感強い友人がいうには「ポスターは貼るな」と。

「お前んとこ、前のアパートはポスターだらけだっただろう?」

ポスターというか、切り抜きよね

「そうだね。なんでダメなの?」
「霊が、通り抜け難くなる」

ジョークでいっているのだと思ったら、かなり真剣。
「うん分かった」と答えたものの・・・

貼るの好きなんだもの、仕方ないよね(^^;)(^^;)(^^;)

…………………………………………

20代後半のころ、メンバーを募って映画の自主制作活動を展開していました。
自分は企画と脚本を担当。
まだデジタルの時代は到来しておらず、16mmフィルムでの撮影。
俳優さんも無名ではあるけれどプロを起用、ということはギャラが発生します。
つまり、それなりの予算が必要でした。
バイト代だけでは足りるわけもなく、消費者金融から数百万円ほど借りて、それらをすべて制作費に充てる。

完成まで漕ぎつければ、まだ格好がついたのですが。
制作費を回収することが出来なかったとしても、自尊心(?)は保たれたと思うのです。

しかし意見の相違などからモメゴトが絶えず、結局は制作中止。
手元には借金だけが残り、それらを主要メンバー3人でちまちま返済していく日々が始まりました。
ひとりあたり、2,000,000円…フリーターにとっては、なかなかの負債です。
それを苦と感じたのでしょう、うちひとりがフィリピンに逃亡、なんでも彼女がフィリピーナだったそうで、、、?

企画立案者として、その負債も自分が持つことに。
約4,000,000円、消費者金融の数でいうと11社、完全なる多重債務者になってしまいました。

こうなるともう利息しか払えず、元金はいつまで経っても減らない感じに。
怖いオニイサンからの電話が増えてきたあたりで、弁護士事務所に駆け込みます。

グレーゾーン金利/過払い金が問題となり、「お金が戻ってきます!」みたいな宣伝が増えたころの話です。
あのころって、勤め先への確認電話さえ取らずにバンバン貸してくれましたもんね、武富士ダンスやアコムねいさんなどはあの時代の象徴でしょう。

写真集、買ったんだよなぁ^^

おそろしい電話などはなくなりましたが、弁護士事務所への入金を最優先にしていたら、今度は家賃の支払いが滞り気味に。

前アパートの家賃は48,000円。
大家さんは隣りに住んでいて、自分は「すいません、今月はこれだけしか用意出来ません」と手紙を記し一万円紙幣を同封、深夜にこそっとポストに投函していました。

それじゃあ滞納額は減るどころか増えるいっぽうですし、「んな無意味なことを…」と思われるでしょう、
けれども大家さんは菩薩のようにやさしく? この、「毎月少しだけでも…」という態度を「誠意」と捉えてくれたのです。

そして。
滞納額は膨れ上がり、約300,000円になったところで、今度はこのアパートが取り壊されることに!

「ふつうはね、3ヵ月滞納したら出て行けっていうところなの」
「そうですよね」
「でもあなたは、少しでもっていう気持ちから毎月ポストにお金を入れていた」
「はい」
「だから半年間、目を瞑っていたの」
「はい、ありがたかったです」
「取り壊しは2ヵ月後。あなたには、立退料は一切払いません」
「…はい」
「その代わり、これまでの滞納分はチャラにしてあげる」
「えっ」
「たぶん、立退料以上よ」
「ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございます!!」

ひとのやさしさに触れ、逃亡した「元」友人への怒りも薄れていったほどです。

とはいえ。
今度は次の住まいが問題に。
繰り返しますが弁護士事務所への入金(弁護士報酬+各社への返済)が最優先なので、敷金や引っ越し費用を準備出来る余裕がなかなか出来ません。
そのことを当時のブログに記してみたらば、毎日のようにやりとりしていたAさんから「よい物件がある」と紹介されたのが現在住んでいる団地だったのです。

都営や公社の団地は、高齢化や人口減などにより空き部屋が増えています。
が、当時はぎりぎり人気の物件で通常は抽選がおこなわれます。
事故物件(そこでは「特定」物件と呼ばれていました)は抽選なし、
窓口も端のほうに設置されていて、ちょっと失礼なことをいえば、担当の女性も貞子風?というか(^^;)

窓口では、なにがあって特定物件とされているのか教えてくれます。

①八王子の団地、殺人
②町田市の団地、自死
③八王子の団地、孤独死

自分は②を選択、①のほうがはるかに安かったけれど、ちょっと勇気が要りますしね。

エレベーターなしの5階、2K。
そもそもが安い家賃38,300円を、3年間半額にするという特別料金。敷金も半額です。

こんなにありがたいことはないと即決、
すぐに引っ越したのが31歳の秋だったか。
と同時にダブルワークを始め、コツコツと借金返済をつづけて完済したのは39歳の夏でした。

達成感はありましたが、借金に追われつづけた10年間です。
これがなければ、もっと女の子と遊べたんじゃないかとか、いろいろ考えるところはありますね~。

その半年後―。
どこかから借金完済の話を聞いたのか、あるいは、たまたまだったのか。
フィリピンで暮らしていた「元」友人が日本に帰還、ある晩に電話がかかってきたのですが、取ることはしませんでした。
返済中は「どこかで会ったら殴ってやる!」と決めていたのですけれどね、もうどうでもよくなったというか、とっとと縁を切ったほうがよい気がしたのです。

最後に。
返済中に映像業界では歴史が動き、フィルムからデジタルが主流となりました。
現在では極端な話、スマホ1台で映画を撮ることが出来るように。
私財を投じるコッポラや、家を抵当に入れて映画を撮るような日本の監督のお話は、もう過去のものとなっていくのでしょう。
そこにロマンを感じちゃうのは、フィルムへの「強い」思い入れを抱く自分の世代が最後なのかな。。。。。

(了)

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