妹が精神科に入院した話(前編)― 扉の向こう側
※このエッセイは、もともとZINEとして制作・販売していた作品を、note向けに再編集したものです。そのため、有料となっています。
このレポートについて
これは、私の妹が精神科に入院した時の記録です。妹本人の許可を得て、当時の出来事や私の視点をまとめたものです。初めてZINEという紙媒体を作るにあたり、真っ先にこのレポートを形にしたいと思いました。「退院5年後」と、退院の1年後に妹がかいた「そして私になる」も加えてまとめました。そちらは後編に入っています。
▶︎後編はこちら
先に結論を書くと、
「身近に精神的に参っている人がいるがどうしたらいいかわからない」
「家族を介護しているがしんどい気持ちがある」
こんな気持ちが少しでもある方は間違いなく「公」に頼ってください!(そのための税金じゃないか!)
精神科の初診まで1ヶ月待ち、普通にあります。こんなことになるとは思わず、我々は病院探しを途中で諦めました。後悔しています。病院探しは骨が折れますが、手伝ってくれるところはたくさんあります。まずはお住まいの保健所に電話してみてください。
第三者にどうか頼ってください。大丈夫です。悲しいことが起きないよう願っています。
プロローグ
町の家は、父と長女(私)・妹(入院した人)・末妹の4人家族。母は10年以上前に他界。父は建設業、私は保険会社のサラリーマン、妹は大学生、末妹は高校生。(それぞれ2019年当時)
父が2019年6月に心筋梗塞で倒れ、家族に動揺が走った年だった。
把握している最初の自殺未遂は3月。そのあとも何度かあったが本人の希望で家族には言わず私しか知らなかった。6月に実家でそれをしたときに、初めて家族会議が行われ地元の精神科に通い始める。しかし、アクセスと先生との相性がイマイチで、通うのを中断していた。
11/5(火)
23時に妹から電話がかかってきたが、切れる。直後に「ねてる?」とラインがきた。かけなおしたらすぐ出た。苦しそうな呼吸が聞こえ「またやったな」とわかった。
「どうした?大丈夫?」
「…町ちゃんと話したかっただけ…」
「そっか。深呼吸して、お水飲んで、落ち着きな」
「…」
咳き込む声と、荒い呼吸の音が聞こえて、そのあと
「…また失敗した。薬いっぱい飲んだんだけど、吐いちゃった…気持ち悪い…」
"オーバードーズ"というやつだ。言葉だけは聞いたことがあった。身近で経験したことはない。吐く音が聞こえてきて、まずいと思いすぐ調べた。
「とにかく全部吐いて、水飲んで」
「水もう飲めない無理…トイレ行く」
「これURL送るから、それもみて」
「むりむりむりむり」
その間にもずっと泣く声、吐いてる音が聞こえてくる。どうしよう。救急車ってどのタイミングで呼べばいいの?震える手で調べている間にも、状態が好転する気配はない。だんだん意識が朦朧としてきたのか、
「ほんとに、マジで無理かもしれない」
と言われたので「救急車呼ぶからね」その電話を繋いだまま、社用ケータイで119を押した。初めてだった。
「火事ですか救急ですか」
「救急です」
「住所を教えてください」
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