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やらなきゃ数字は動かない、公会計≒後悔系


ノーリアリティの構図

先日訪れた自治体での衝撃

先日、職員研修(+お試しの案件協議)で訪れたある自治体で、担当者から恐ろしい相談を受けた。
「総合管理計画を見直さなければいけないが、どのようにしたらいいか?」、え?総合管理計画の見直しって何年か前までにやった(やらされた)んだよね?と思わず聞き返したら、どうやらそうではないらしい。
「総務省から地方公会計と総合管理計画を結びつけるように言われ、固定資産台帳の更なる整備などが必要になったため、業務委託を考えている。ただ、うちのまちの財政は厳しいのでコンサルや監査法人から出されている何百万円もの見積の予算が取れる見込みはないし、財政部門の理解も得られない。どうすればいいか」とのこと。

担当者たちは本当に悩んでいるが、え?デジャヴ???と思うのと同時に「見直しをしたら何かいいことあるの?」と聞くと明確な答えは返ってこなかったが「作らないと適正管理推進事業費が使えなくなる(かもしれない)し、総務省が言っていることだからやらなくては」とのピュアすぎるリアクションだった。

計画づくりの無限ループ

総務省が全ての自治体を対象に総合管理計画の策定要請をしたのは2014年である。そこから10年以上の月日が流れた。2023年には内閣府が「インフラ長寿命化計画に基づく取組状況調査 結果概要」なる資料を公表した。

このことについては上記noteにもまとめているが、(調査の意図・精度・母集団の数等も含めてわかりにくいだけでなく)正直、国がまともに全体をマネジメントできていないこと、公共施設やインフラを取り巻く課題や何をしなければいけないかへの理解が薄いことがこの資料からも読み取れる。

そして、公共施設等総合管理計画の論理では、なぜか本来は市民生活を支えたり豊かにするために貴重な税金を投下して整備したはずの公共資産を負債とみなしてしまう。「短絡的な施設総量の縮減」にフォーカスを絞ったことが根幹的な誤りであることにも気づかず、過去には個別施設計画の策定に伴う見直しや有形固定資産減価償却率等を記載させるための見直しなど、計画づくりを何度も何度も自治体にやらせている。まさに計画づくりの無限ループである。

ピュアな自治体の職員は「総務省から言われているから」、あるいは庁舎に篭って計画ばかりやっていればシビアな現場に出なくて済むから、総務省の意向に沿って計画づくりに人・金・時間等のリソースを注ぎ込んでいる。

あまりに悲しい実態であり、全国で見られるあるあるネタ。そして、そうした二次元に篭って数字をこねくり回している人たち・意識「だけ」高い系を崇拝する風潮や、当の本人たちもドヤ顔をしているあたりも・・・正直言葉を失う。
二次元の世界でどれだけ数字を動かしても、三次元のまちでリアルに何もしようとしない人たちが内輪でキャッキャやっていても世の中は1ミリも動かない。

総務省の「地方公会計との連動」

まずは、今回の公共施設等総合管理計画の「地方公会計との連動」について総務省の資料を見ていこう。

関連資料

https://www.soumu.go.jp/main_content/000954762.pdf

2024年6月25日の総務省資料「公共施設マネジメントと地方公会計の連携について」では以下のように記されている。

総務省_公共施設マネジメントと地方公会計の連携について
総務省_公共施設マネジメントと地方公会計の連携について

四 地方公会計(固定資産台帳等)の活用
地方公会計の情報、特に固定資産台帳の情報は、公共施設マネジメントの推進に当たっての前提となるものであり、毎年度、遅くとも決算年度の翌年度末までに適切に更新することが求められる。点検・診断や維持管理・更新等の履歴など公共施設マネジメントに資する情報を固定資産台帳に追加するなど、公共施設マネジメントに資する情報と固定資産台帳の情報を紐付けることにより、保有する公共施設等の情報の管理を効率的に行うことが望ましいこと。
固定資産台帳及び財務書類から得られる情報は、公共施設等の維持管理・更新等に係る中長期的な経費の見込みの精緻化に活用できるほか、事業別・施設別のセグメント分析を行うことなどにより、各事業・施設について効率的・効果的な対策の検討を可能にするものであり、総合管理計画に基づく具体的な取組等の検討においても、公共施設等の適正管理に積極的に活用することが望ましいこと。

総務省_公共施設マネジメントと地方公会計の連携について

大枠は既にわかってるでしょ

上記のように「地方公会計の情報、特に固定資産台帳の情報は、公共施設マネジメントの推進に当たっての前提となるもの」とされている。そして工程表には2025年度末までに「全ての自治体が財務諸表・固定資産台帳を整備すること」となっている。
確かにデータとしてこのような情報・数字があった方は便利なことは間違いないが、多くの自治体に携っているなかで実態としては「Excelベースの財産台帳すらまともに整備されていない≒全体像がわかっていない」自治体が多数ある。
「固定資産台帳の情報は公共施設マネジメント推進のツールとして便利」であるが、前提≒必要条件ではない。実際に自分も公務員時代に公共施設の一元的なデーベース・システムはリアルタイムでデータを更新しながら活用していたが、固定資産台帳の情報や地方公会計の情報は使っていなかったし、むしろ地方公会計のデータを作るために、こちらから財政部門へ事後的にデータを提供していた。

更に付け加えておけば、「固定資産台帳を整備しています」とドヤ顔をしている自治体に限って、建築物全体(≒延面積・建設年等)の基本的データのみ(改修履歴等も反映していないもの)で満足してしまっており、耐用年数が圧倒的に短い設備まで総合的に整理している事例は聞いたことがない。更に言えばそのデータを元にして減価償却に合わせて大規模改修・設備の更新を定期的に実施、予算と連動して公共施設等の老朽化問題を解決している事例など一つも知らない。
そもそも固定資産台帳の担当は財政部門、公共施設マネジメントや財産台帳は管財部門、各施設の管理は所管課とザ・縦割りで、誰も全体としての状況を把握しようすらしていないなかでは固定資産台帳が自治体経営・政策判断・予算編成の根幹的なデータとして機能することはない。

流山市_意見書制度_筆者講演資料

ちなみに現在の状況はわからないが、当時の流山市の公共施設マネジメントのシステムでは、各施設の基礎情報だけでなく、工事履歴等をできる限り入力して、防水・外壁・空調・機械・電気・その他の項目ごとに工事履歴を反映して「ざっくりとした」将来コスト推計や施設ごとにハード・ソフトで偏差値評価ができる仕組みを構築・運用していた。
これを参考資料としながら毎年の1,300千円以上の工事に関する「意見書制度」を実施して、工事の優先順位と予算を連動していたが、実際には要望された50-60の事業のうち実施できたのは20-25程度で、半分以上(金額ベースではそれ以上)が積み残しとなってしまっていた。公会計(≒後悔系)的に見れば、このような状況は資産の老朽度が高まり、減価償却も進み、資産⇒負債に陥っていると言えるが、そんなことを企画・財政などの部署はもとより、市長や議会も誰も問題視しない。だから年度を追うごとに公共施設・インフラの老朽化が進むのである。

そして、何より公共施設・インフラの将来コスト推計が絶望的な数字であることは当初の総合管理計画の時点、つまり単年度会計・現金主義ベースの数字を見れば一目瞭然のはずだ。

総務省_公共施設マネジメントと地方公会計の連携について

しかも、こうした机上の論理で算定した長寿命化は、本来必要となるコンクリートの中性化抑制などのコスト(真面目に長寿命化を図れば新築の70%程度のコストが必要だと言われている)を一切見込まず、大規模改修の周期を20→35年にしたり、建て替え周期を60→80or100年にするなど「机上の都合の良い」算定式を用いているに過ぎない。総合管理計画の策定・公表以降に施設数・面積とも増加しているにも関わらず、その原因究明や具体的な対処方法には一切触れず、この先30年で30%の施設総量を縮減できた場合を将来コスト推計にするなど、全くのノーリアリティでお気楽な「オママゴト計算」をしている事例も多い。
事後保全すらままならない状況で長寿命化や予防保全を口に出すこと自体、無責任で現実逃避しているとしか考えられない。

単年度会計・現金主義で絶望的な無理ゲーの実態がわかっていれば十分ではないか。これにフルコストで減価償却などの考え方を盛り込み、かつ現在から将来にわたっての建設物価・人件費の高騰や人がいない問題による工期の長期化・入札不調リスクなどを反映したら、更に試算は強烈にマイナス側に振れていく。
単年度会計・現金主義ベースですら関係者にまともに説明しようとしない・誤魔化そうとしている・理解しようとしない人たちが現状のままでフルコスト・リアルベースでどのような議論・戦略・プロジェクトができるのだろうか。
そして、そのようなシビアな現実が見えたときにありとあらゆるものをバッサリと経営的な視点で切り捨てることができるだろうか。

こねくり回してるだけ

単年度会計現金主義ですら絶望的な数字であり、事後保全すらままならないなかでリアリティのない長寿命化・予防保全でこれだけコスト削減できます!と試算しても、そこに至る具体的な方法論や覚悟・決断・行動をしなければまさに絵に描いた餅でしかない。しかも、その餅を書くためにコンサルや監査法人に膨大な税金を支出したりするのはまさに無駄金、愚の骨頂でしかない。

具体例として盛岡市の公共施設等総合管理計画を見ていこう。この自治体は当時の担当者が本当に「理論的なデータ」を並べて詳細なデータ等を集め、本人も自信を持っていたし、それを崇拝する自治体(の担当者)も全国にいた。更に能天気なコンサル・学識あたりはこぞって優良事例として取り上げていた。

盛岡市_公共施設等総合管理計画
盛岡市_公共施設等総合管理計画
盛岡市_公共施設等総合管理計画

盛岡市は、公共施設等総合管理計画とは別のファクターでバスセンター、木伏緑地、中央公園、動物園などの個別具体の魅力的なプロジェクトを展開しているが、公共施設・インフラの問題全般については、全体像を俯瞰して見ればうまく機能していないことが明白である。そして、そのことは「建築物系施設の維持更新費用の実績と推計」の資料一つ見れば十分ではないだろうか。11,280百万円/年のコストが必要なのに対し、これまでの実績で5,830百万円/年しか投下できてこなかった、つまり今後5,450百万円/年もの更新費用が不足する実態が全てを物語っている。

現場で何もやらないのに数字をこねくり回していても1円どころか、何も出てこない。そして、そんなことを毎年、毎回繰り返していても減価償却が進み老朽化度が上がったり、公会計や公共施設マネジメントと異なるところでなぜか新規施設が建設され施設面積が増加しているなど、自分たちがやらないこと・やらなかったことが数字に現れるだけでしかない。(有形固定資産減価償却率は、たいしたプロジェクトをしていなくても改善しているように見える自治体も存在するが、合併特例債を活用した巨大な庁舎・図書館等を整備してしまえば「見かけ上」はこの数字が大きく改善するギミックが存在しているので注意が必要だ。)
そこに割いた時間・マンパワー・金は、何もならない、生産性ゼロなのだから全て無駄でしかないし、むしろ「そんなこと」に割いたリソース分は自治体としての経営から見たらマイナスでしかない。

ヤバいのは総務省?

あなたたちのKPI?

総務省がこうした計画策定の無限ループを自治体にやらせ続けるのは、「私たち地方公共団体へきちんと問題提起してます(、あとはやらない自治体が悪いんです)」の言い訳のためなのか、或いは計画策定に従った自治体数が総務省のKPIにでもなっているのだろうか。
いずれにしても内輪ネタすぎるし、まちとも全くリンクしていないし、つまらないし、共感できる要素は一つもない。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000906406.pdf

2023年10月10日付けの「公共施設等総合管理計画の策定等に関する指針の改訂について」では次のように書かれている。

今般、「令和4年の地方からの提案等に関する対応方針」において、「公共施設等総合管理計画の記載事項については、地方公共団体の事務負担を軽減するため、公共施設等の適正な管理のために必要な事項を十分精査し、その簡素化について検討し、令和5年中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。」とされたことを踏まえ、「公共施設等総合管理計画の策定等に関する指針」について、必要な見直しを行い、別添のとおり改訂しました。

総務省_公共施設等総合管理計画の策定等に関する指針の改訂について

つまり計画づくりに「異常な労力が必要である」こと及び自治体から不満が出ていることについては総務省も問題認識している。だからこそ簡略化して、そのリソースを実践に結びつけること?を目指しているらしい。
しかし、同文書では「その他」として前述のように地方公会計との連動についても記載している。
総務省的には、「これは記載事項ではない」ので必須ではないし、そもそも「総合管理計画そのものが地方自治法に基づく要請(技術的な助言)なので強制ではない」と言い訳できる構成としているのかもしれない。しかし、自治体から見たら「要請」は地方自治の世界でほとんど用いられることのない強い用語であるし、実態としては公共施設等適正管理推進事業費の活用の可否要件になっていることから、ほぼマストの状況にさせられている。

総務省_公共施設等総合管理計画策定取組状況等に関する調査(結果の概要)

そのことは、この要請が技術的助言でありながら全ての自治体が公共施設等総合管理計画を(レベルや本気度はともかく)策定していることにも表れている。このような構図・理論・結果としてのデータを用いることによって、総務省的には「やってます!」と他省庁や政治家、国民向けに言えるのだろう。
しかし、総務省が本来やるべきことは2014年に総合管理計画の策定要請を全ての自治体に「要請」して、計画策定費用の1/2を交付税措置したり、公共施設等適正管理推進事業債、経営・財務マネジメント強化事業などで多額の税金を10年以上にわたって投下してきたなかで(仮に短絡的な施設総量の縮減が目的だとすれば、)どれだけの施設面積が全国で削減できたのか、それは総務省が当初想定したKPIと比較してどのようになっているのかを検証することだ。(そもそも、総務省がそういったKPIを設定・公表したと聞いたこともなければ見たこともないが)

ミスリード

繰り返しになるが、単年度会計・現金主義の世界ですら短絡的な公共施設の総量縮減がうまく進んでいない事実がある。万が一、短絡的な施設総量の縮減を進めたとしても、その後のまちをどうするか?の根幹的な視点が欠落しているからネガティブな取組みでしかなく、そうしたことに失望した動ける人が流出する、その結果また施設を減らさなければいけない負のスパイラルに陥るだけでしかない。
そうしたことに薄々ヤバさを感じているから、まともな職員・市民・議員・民間事業者は「本当にそんなことで良いのだろうか?」とザ・公共施設マネジメントに懐疑的になり、二の足を踏んでしまうのである。

こうした「そもそも論」が間違っているにも関わらず、総務省は(自らのつまらないKPIのためなのか本当に世の中のことを見えていないのかわからないが、)前述のとおり要請と適正管理推進事業費をベースに自治体を計画づくりの無限ループに誘導している。

近年だけでも平成の大合併、地方創生、ふるさと納税、CCRC・・・と何度も国の断片的な政策・ミスリードで痛い目に遭ってきたはずのピュアな自治体は、なぜか公共施設等の問題についても国のやり方に疑問を抱くわけでもなければ、違う方向を自分たちで模索することもしようとしない。

喰われる自治体の量産化

冒頭の自治体にも、計画づくりの無限ループでなんとか生きながらえている・荒稼ぎをしているコンサルタント・監査法人等からの営業が殺到しているらしい。まさにハイエナである。そのまちのことを真剣に考え伴走してプロジェクトを一緒に試行錯誤しながら構築していくのではなく、短絡的に計画づくりをして自分たちの懐にチャリンチャリンと入れる、税金をむしり取っていくだけだ。
貴重な税金を二次元の計画・数字だけに置き換えて生きながらえる「つまらない民間事業者」と、計画づくりをやっていれば地元に出向いて怒鳴り散らされることも庁内・議会で吊し上げられることもなく「なんとなくやった感が出せるプロ意識の欠落した行政」の悪魔のWin-Winが成立する。そして、この自治体の母数があまりにも多いからこそ、ハイエナコンサル・監査法人がビジネスとして参入する。
ここにも「喰われる自治体」の構造と量産化の構図が根深く存在している。

もはやエヴァのマーク4シリーズ・・・

あ、総務省は「自治体が自ら考え覚悟・決断・行動することを抑制し、自分たちで何も考えず喰われる自治体を量産する」、こうしたコンサル・監査法人のつまらない市場を残すために計画づくりの無限ループをやらせているのかな?そんなことはないと信じたいが、10年以上も計画づくりの無限ループに拘り、実践ベースに踏み込んでこないところを見ると穿った見方をしてしまいたくなる。

貴重なリソースを無駄にするな

「人がいない問題」があらゆる分野で顕在化し、多くの分野ではただでさえ脆かった日本のサプライチェーンが瓦解している。建設分野でもスーパーゼネコンでさえ「サブコンが見つからない」「(物流の2024年問題で)鋼材等が遠くから持ってこれない」等の問題が発生し、噂レベルであるが受注停止や潰れるのではないかといった話も聞こえてくる。
かたや、市役所のなかを覗いてみれば、上記のように生産性ゼロにも関わらず、何の役にも立たない計画づくりをやっているフリをして自分の時間を浪費する職員(≒給与として貴重な税金が溶かされる)や組織が全国各地に存在し、そこに群がるハイエナによって業務委託料という形で税金も溶かされてしまう。

人・時間といったリソースは「負債の資産化・まちの再編・まちの新陳代謝」のための貴重なリソースである。つまらないところに溶かしている場合ではない。

「誰もやらない」問題

固定資産台帳を作ろうが、公会計のデータを集めて分析しようが、計画づくりの無限ループをしていようが、それは「文字・数字づくり」でしかない。現場で誰も手を動かすことがないから、本来プロとして求められる数字が良い方向に変化していくことはありえない。
時間の経過とともに公共施設・インフラは老朽化するから有形固定資産減価償却率は上昇、人口減少が進むので1人あたりの施設面積も上昇していく。更に財政が厳しいので改修・改築・更新や維持管理運営費は減少し、前述のように公共施設マネジメントが機能しないから変なところで巨大な公共施設が建設されるので、投資可能な財源と改修改築費の乖離も広まっていく。

「誰もやらない問題」を解決していかない(前段で解決しておかない)限り、数字を作るだけ時間・コスト・マンパワー等のリソースの無駄でしかない。

惑わされるな

総務省(や群がるコンサル・監査法人、ノーリアリティの学識経験者、後付けの評論家)だけが本当に悪いのか?一番の悪なのか?
本当の悪は、「そうした人たちが言うから間違いないはずだ」と現実逃避している自治体(の関係者、担当・首長・議会・既得権益・・・)だろう。
やはり地方自治を標榜するならそれぞれの自治体が「自分たちで自分たちらしくまちと向き合い覚悟・決断・行動」していくしかない。
そして、自分たちで覚悟・決断・行動をしながら自分たちらしいプロジェクトを創出しはじめている自治体は各地に少しずつ広がっている。これこそが希望である。

信じられるか?

「ザ・公共施設マネジメント」に限定して考えても、これまで10年以上にもわたって総務省に言われたとおりに計画づくりの無限ループを繰り返してきて、まちはよくなったのか。それがうまく機能していないとわかっているなら、薄々でも感じているのなら、本noteで示しているように高額の税金をコンサル・監査法人に払ってまでも業務委託し、あるいは自分たちの貴重なマンパワーや時間を投下してまでも「今の時点で」「公会計との連動」をするのか。(将来的にいろんなプロジェクトがまちのなかで行われ、成果として考えられるようになった段階では検証や再投資のために連動する意味があることは間違いない。)

どこまでお人好しなのだろうか、noteや拙著等でもしつこく指摘しているように「自分の金を使ってやらないことを人の金、ましてや税金を使ってやるのはもってのほか」である。後悔系になってしまうのがわかっているのに、総務省から言われているからと公会計を盾にまだ二次元の世界に閉じこもり、三次元のリアルなまちに向き合わないのだろうか。

これまで良い方向に導いてくれたことのない総務省、コンサル、監査法人等を「あなた」は本当に信じ続けるのか。それはプロとして本当に正しいと思ってやっているのか。

適正管理推進事業費に依存するな

総務省_令和7年度地方財政対策の概要

チキンレースのカタログ型ふるさと納税と同様に、本noteで述べてきた「理論はわかる・理解したけど、総務省を無碍にすると有利な起債の適正管理推進事業債が使えなくなるし、庁内・議会の理解が得られない」という人も出てくるだろう。
確かに、「有利な起債」に見えるし単年度会計・現金主義で財政力指数も乏しい自治体には飛びつきたくなる気持ちもわかる。

しかし、このように補助金・交付金・起債に依存してきたからこそ、それぞれのまちのヒューマンスケール/エリアスケールを逸脱した巨大で華美なハコモノが全国各地に、そしてあなたのまちにも乱立してきたのではないか。その自分たちが作ってしまったやめられない墓標の維持管理・運営費で更に自らの首を絞めているのではないのだろうか。
資金調達の方法論も含めてリアルにやっていくために、「身の丈に合った経営」をしていくために公共施設等総合管理計画の策定要請の文書やあなたのまちの総合管理計画にも「PPP/PFIの推進」を位置付けていたはずではなかったのか。

(百歩譲って)補助金・交付金や起債に依存しなければいけない場面があることは間違いない。ただし、それは適正管理推進事業債だけではない。社会資本整備総合交付金、デジタル田園都市国家構想交付金、新しい地方経済・生活環境創生事業費(仮称)、地域社会再生事業費、公立学校施設整備費負担金など多様な補助金・交付金のメニューは存在している。自分もどうしてもそのプロジェクトがハマらなかったときに8/10が出る交付金や過疎債にも手を染めたことがある。必死になってあらゆる可能性を探った結果どうしてもハマらない、そのプロジェクトで一時的に補助金・交付金等に依存しても、結果的にまち全体のバランスシートを好転させることができるのなら、全国の納税者に頭を下げて補助金等を活用することは仕方ないと思う。ただ、補助金・交付金目当てで何かをするのとは全く意味が違う。
地方公共団体と同様に国も縦割りなのだから、適正管理推進事業費だけに固執しなくても、似たようなメニューは探せばどこかにある場合もある。

いずれにしても本来は、「自分たちで民間資金も含めて調達できる範囲」のプロジェクトとしていくこと、保有量で自治体を経営していくことを忘れてはならない。

現実はもっと厳しい

現代の社会は人口減少、物価や人件費の高騰、人がいない問題、まちの衰退・・・多様で複雑な課題が複層的に絡み合っている。旧来型の思考回路・行動原理で計画行政の世界でやろうと思っても、そもそもまちと真剣に向き合っていない行政にはリアルな計画を作っていくことはできないし、そんな計画を呑気に作っている間に世の中は変わってしまう。
更に非合理的な行政の世界では、理論的に物事を進めていくことは現実的ではなく、単年度会計・現金主義ですら通じにくいのに、公会計の考え方を用いて行政の予算上は見えてこないフルコストベースの概念が通じるわけがない。
当たり前の生活をして納税もしてきたのに、これまでの生活を「行政の経営感覚の欠如」によって一方的に切り取られたり変化を求められる市民の理解を得ていくことも難しいはずだ。

何より手を拱いている間に、恐ろしいスピードでまちは衰退していく。
このような困難な状況下において、公共施設の総量はすごいスピードで減らしていかなければいけないし、その先に「どのようなまちにしていくのか」を見据え、共通認識を醸成しながら減らすハコモノの10倍以上のクリエイティブなプロジェクトを展開し、「ハコモノを減らしている」ことなど気づかれないような明るいまちにしていかなければならない。

まちと向き合え!

何もやらない・やる気がないのに計画や数字をこねくり回している時間はない。
計画が出来上がった頃・数字がまとまった頃には前提条件が全く変わっているし、本noteでまとめてきたように、その計画はノーリアリティでしかなく、数字も何もしてこなかったことの結果論の悲観的な数字にしかなり得ない。
本当は心のどこかで強烈な建設物価・人件費の高騰、熊本地震や能登地震、そしてコロナ等も考えれば、数字遊びをしている場合ではないことも、旧来型行政の思考回路・行動原理が通じないことも、コンサル・監査法人に税金を溶かしてもまちが良くならないことも、市民WSや有識者委員会でお花畑の議論をして現実逃避してもどうにもならないことをわかっているはずだ。

総務省の方法論にリアリティが全くないのは、こうした「誰の目にも明らかな事象」に対する対応策について総合管理計画や公共施設マネジメント関連の通知等で1文字も記していないところに現れている。

それぞれの自治体・担当者がやることは「まちと向き合うこと」、そのなかで自分たちがやるべきこと・できること・やらなくてはいけないことを自分たちらしく組み立てていくことでしかない。

今の1円を動かせ!

計画・数字をこねくり回していても意味はないし、数字は動かない。
だったら「今の1円を動かす!」
公会計で後悔系、クソつまんないダジャレを言っている場合ではないし、公会計の好きなフルコストベース・複式簿記の考え方を自治体経営に活かそうとするなら、今どんな小さな額でもプロジェクトベースで動かすことによって、将来的にはそれが複利で返ってくる。将来キャッシュベースで10,000千円かかることでも、今対応しておけば少なくとも9,999千円以内でできるはずだ。
コンサル・監査法人などに溶かす金があるなら、今まちを動かすためのプロジェクトの原資に回した方が後年度のバランスシートは圧倒的に良くなっていく。それが公会計の本来の考え方・理論のはずだ。

お知らせ

2024年度PPP入門講座

来年度に予定する次期入門講座までの間、アーカイブ配信をしています。お申し込みいただいた方にはYouTubeのアドレスをご案内しますので、今からでもお申し込み可能です。

実践!PPP/PFIを成功させる本

2023年11月17日に2冊目の単著「実践!PPP/PFIを成功させる本」が出版されました。「実践に特化した内容・コラム形式・読み切れるボリューム」の書籍となっています。ぜひご購入ください。

PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本

2021年に発売した初の単著。2024年12月現在6刷となっており、多くの方に読んでいただいています。「実践!PPP/PFIを成功させる本」と合わせて読んでいただくとより理解が深まります。

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