見出し画像

マンガ感想文コンクールの書き方を教えてください(by中学生)

読書感想文講座をやっていると、ときどき質問されます。「まちか先生!マンガで感想文を書いてもいいですか」

うん。わたしはマンガも本だと思うのでOKだと思うのだけれど、宿題として課されている場合は担任の先生に確認した方がいいんじゃないかな。そういうふうに答えています。

そしたら最近は、マンガ感想文コンクールもあるみたい。ここ1~2年、「まちか先生!マンガ感想文を書きたいから今日はマンガ持ってきたよ!」と言ってくる子が出てきて。へーーーいいねいいね! マンガ大好きなまちか先生はなんだか嬉しい。

書き方について聞かれるんだけど、基本的には、読書感想文の書き方と同じです。わたしが開催している読書感想文講座でも、マンガ感想文を書く子に渡す教材はこの記事↓で紹介している読書感想文のプリントです。

生徒「先生、見て―。ほらっ!じゃーん」
わたし「わーっ、いっぱい!これ何冊あるの?」
生徒「今日は37巻以降を持って来た」
わたし「そのあたりが好きなのね~」
生徒「そうなんよ。でもやっぱ、もう一度全部読まなきゃダメ?じゃないとちゃんと書けない?好きだけど…何日もかかりそうだし、たぶん親に怒られるw」
わたし「あはは。別に1巻から読み直さなくても大丈夫だよ」
生徒「本当!?」
わたし「○話とか、×巻とか、□□編とか、そういうお気に入りってあるじゃない?」
生徒「あるー!」
わたし「そこ抜き出して語り倒せば作文になるから」
生徒「考察とかもあり?」
わたし「考察きたーーー。もちろんあり寄りのあり。書いてみるかい?」

たしかにマンガ感想文ならではの書き方って、あるかも…

まちか先生(心の声)

マンガ感想文ならではのちょっとしたコツも、あるにはあるので、「マンガ作文コンクール」WEBサイトを引用しながらお伝えしていきますね♡


①全巻じゃなくても、そのうちの1巻でOK

複数巻あるマンガは、全巻でも、その中の1巻でも応募可能です。

応募要項|マンガ作文コンクール

感想を書くマンガの巻数を申告するかたちになっています(応募票にて)。マンガは作品によっては膨大な巻数あったりするから、作品の一部でも感想書いてOKって、ハードルが下がっていいなって思います。

先ほどの生徒さんとの会話のように、一通り読んではいるけど、一部分について感想を書きたいというパターンも受け入れられるって、いいですよね。うん、たいへん良き。

その場合の書き方のポイントは、自分が感想を書くのが作品のどの部分なのかを感想文内(冒頭あたり)で明らかにしておくことですね。できれば理由を添えて。読み手に対してすごく親切だし、そのあと自分も書きやすくなります。

ちなみにまちか先生の場合。例えば「ワンピース」でマンガ感想文を書くとしたら、こうなります。(わたしは中学生、今わたしは中学生……と心で唱えながら)(いや中学生は無理がある、せめて高校生かしら)

麦わらの一味の中で、わたしはサンジがいちばん好きです。女性に弱いという人柄を「味方を危険にさらしている」と批判されているのを見かけることも多く、悲しい気持ちになりながらも応援してきました。わたしにとって、それは弱点ではなくサンジの優しさだからです。それが作中でしっかり描かれたのが、「ホールケーキアイランド編」です。ホールケーキアイランド編をベースに、サンジの人間的魅力について感想文を書いていきたいと思います。

(サンジファンより)

という前振りをして、81巻~90巻について感想文を書くということですね。作品の一部分で感想を書いてもいいよ、というルールにのっかって、自分の言いたいことをちゃっかりアピールしましょう。

②マンガの入手方法も聞かれる

応募票に、マンガの入手方法についての記入欄があるんですよ。これは、これまで広く知られていたいわゆる読書感想文の作品募集では見られなかった項目だと思います。

書店で購入した/図書館で借りた/電子書籍を購入した/マンガアプリ・WEBサービス/家族・友人・知人に借りた/その他

応募票|マンガ作文コンクール

いいですね。まちか先生的には、これ、とってもすてきだなって思います。なんで聞かれるの?と思いませんでしたか。その通りです。マンガ作品との出合いについて聞かれてるんですよ。こういうところをヒントにして書いていこう

出合い。どんな経緯で自分はこの作品を手に取ったのか、読んでみようと思ったのか。すすめてきた人は何て言っていた? 聞かれてるから書きましょう。書く場所はこれも冒頭あたりがいいと思います。

(発行する側がそこを知りたい気持ちもよく分かる……プロモーションをどう打つかの指標にしたいのよ)(ダメですまちか先生それは職業病です)

ちなみにまちか先生が今読んでいるゴールデンカムイ。読むきっかけは友人から手渡されたこと。「ゴカム気になるっていってたよね?今度引っ越すから、部屋片付けてるんだけど、かさばるからしばらく貸すわ」 そんなことってあります??? うちはレンタルスペースか。で、友人は段ボール数箱分持ってきてくれたんだけど、ゴールデンカムイの他に東京リベンジャーズとハイキュー!!と、その他いろいろ入ってた。入れすぎ入れすぎ。こんなレンタルスペースなら大歓迎~~~! 今ちょっとずつ読んでるよ。おもしろい……。作文の先生は真夏が繁忙期なのに寝る暇惜しんで読んじゃうじゃん!w

作文教室の生徒さんだと「その他」に○つけて、(ネットカフェ)って書いてる子もいましたよ。そのあとどうしても欲しくて買いそろえたんだって。いいねえ。出合って読み手の数だけドラマがあるんだよね、きっと。

③あらすじはどうするの?

そうですよね。気になるのすごく分かります。読書感想文に欠かせないあらすじ。あらすじは書かなくていい説もありますが、まちか先生はぎゅっとまとめたあらすじはあった方がその後の段落を展開しやすいと考えている派です。

マンガ感想文、もし作品の一部で感想を書く場合、あらすじは2段構えでいきましょう。作品全体の説明+感想を書く部分のあらすじ。

お友達に布教する時のことを想像してみてくださいね。教室に入るなりいきなり「昨日発売の号のあれ、やっばーー!!!!!」ではそのマンガを知らないお友達は「???」反応に困ります。置いてけぼり。もしくは「そうなんだー」と流されて終わりです。布教は急がば回れです。それがどういうマンガなのか、今盛り上がっているのがどういう流れでそういう展開でそうなってるのか、さらっとでいいので説明するのです。興味を持ってもらえるかもしれません。(あくまでも可能性)

感想文は布教じゃないけれど、同じことをやってみるイメージだと書きやすいですよ。作品全体のあらすじ説明+見どころ紹介、って思うと書きやすいと思います。


④キャラを語るために必要な視点は

誤解しないでね、別に語らなくても大丈夫。感想文でキャラ語りしなくちゃいけないわけじゃないの。マンガ感想文ならではの工夫という視点で「こういうのどうかな?」という提案だからね。

もし、大大大好きなキャラクターがいたら、深掘りしてみませんか? そのキャラクターのことを実在の人物つまり生身の人間として、思いを馳せてみましょう。もしも、っていう想像だけどね。何を思い、何を感じ、日々どんな暮らしをしているか。

まちか先生が印象的だった言葉は、ハイキュー!! ファンの友人が言った「安心して読めるんだよね。部活にかける情熱はキラキラしてるけど、スポーツ漫画ってその”瞬間”しか見せてもらえないじゃない。だけど、ハイキュー!!は、ひとりひとりが部活を引退したり大人になったりっていう先も考えて描かれてるのよ。ああ、この子達にも人生があるんだ、人生は続いていくんだって。ああ自分にもこんな頃があったな、今はもう全然違う道に進んでるけど、……くっそダルいけど明日も頑張るかーって思えるわけ」。まちか先生はまだハイキュー!! 読んでないけど、どれだけ読者の心をつかむ作品なんだろうって、期待高まるじゃない、こんなこと聞いたら。

まちか先生が思うのはね、マンガに限らずフィクション作品でたまらなく惹かれるのは、そういう人間くささにリアルみを感じるからじゃないかなって。生きている世界観とかまるで違うとしても、ひとりの人間として、読める。引き込まれる。

それくらい強く惹かれたキャラのこと、好きなセリフお気に入りの場面をまじえて、思う存分語ってほしいなと思うのです。

普通の読書感想文と同じじゃない?と思った方、大正解です。基本的に、同じなんですよ。


⑤「考察する」「読み解く」から広がる世界

「考察班」という言葉。オタクの世界では「考察ではなく解釈なので」とかもよく耳にしますが、読書感想文として展開してみるもまた一興ですよ。本ではないけれど、今年盛り上がってるなーって思って見ているのが、朝ドラ「虎に翼」と大河ドラマ「光る君へ」。放映後にいろんな人がそれぞれの立場・知見でSNS投稿しています。いろんな議論(?)が沸き起こっていたり、誰かの意見から話が広がって読む人に学びのあるツリーになっていたり。

おそらく、「考察しよう」「読み解きました」と構えてやっていることではなく、多くの場合は自然発生的な感じだなって思っています。それって強要されてないってこと。ドラマを見て、ここってこういうことなのでは、このエピソードは×××と捉えることができる、これって1000年後の今で言うなら……、それぞれが自分の目線で語っていておもしろいなって思うのです。

そうはいっても、考察って一筋縄でいかない部分もあるから、マンガ感想文に絶対書かなくてはいけない要素とかではありません。深読みを楽しいと思うか、邪推と思うか、それは読み手次第ですからね。

広いくくりでは「感想」だけれど、作品を読み解くときって、その作品だけを見ていても考えは深まっていかないものです。調べたり、比較したり、そういう”ひと手間”が楽しいと思えたら、それは「作品を読んで自分に起こった変化」なんです。その行動がもう「感想」なんですよね。

自分の例をあげますね。まちか先生が大学生の夏、ジブリの「もののけ姫」が劇場公開されました。今みたいな全席入れ替え制ではなかった時代なので、朝一で買ったチケットで一日中映画館にいて何度も見ました。情報量が多すぎて、すぐには自分の中で処理できそうもなくて、どういうことなのか分かりたくて、その手がかりを求めて何度も見たんだと思う。その要素はたくさんあるのだけれど、「テストで覚えた1543年に鉄砲伝来、では解釈できないんじゃないか」「いわゆる自然豊かな”里山”って、手付かずの自然(原生林)が死んだ姿なの?」この2つがわたしの心を占めました。その夏は大学図書館に通い詰めて文献を漁って自分の中に落としどころを見つけようと必死だったのを思い出します。……ここまで書いて気がついたけど、マンガの話じゃなくてごめんなさい。

感想文においての考察、ひとつの楽しみとして捉えられたらいいんじゃないかなってまちか先生は思います。「ん?」って読む手が止まった、そのちょっとした引っ掛かりをスルーしないって、とっても素敵なことだと思うの。

・コマに描かれている要素
・キャラのセリフ
・キャラの行動
・作品の背景

などから、「これはこういうことなのでは」「これはこういう意味なのでは」と推測してみたり、「だからこういう展開になった」「だからこういう表情を見せた」と考察してみたり、まだ完結していない作品なら今後についての予測や展望を書いてみるのもおすすめです。


⑥体験談に絡めやすいのはオムニバス漫画

小見出しそのものなんだけれど、自分の体験談に絡めて感想文を書きやすいのは、1話完結型のオムニバス漫画だと思います。

読んだコミックスのなかで、「あぁ、わかる…」と思ったお話が1つでもあれば感想文は書けちゃう。もし作品選びに迷っている子がいたら、参考意見の一つにしてみてね!

オムニバスで最近好きなのは、こちら。(北川みゆき作品は、少コミで「ぷりんせすARMY」新連載の1989年頃からのファンです…古参アピールではありません……ただわたしがBBAなだけです……)

一日中ノンストップで仕事をこなして、定時なんて感覚もなく「今何時だっけ?」と壁の時計を見ると22時。まだ間に合う、とパソコンの電源を落とす。間に合うのは終電ではなく、お店の営業時間。仕事終わりの雑踏を歩くのは好き。全員が対向者みたい。ぶつからないように邪魔しないように、それでも急いで向かうのは大好きなバー。ドアベルの音が頭上で響く。「こんばんはー」っていうけど、気持ちはただいま。角から2番目のカウンター席が空いているとホッとするの。そこがわたしの場所だから。「まちかさん今日なんでスーツ?」「お堅い企業さんとの案件があってね、それで」マスター兼バーテンダーさんとなんてことはない会話をしながら席についてはーーーっと息を吐き、「じゃあね、ロングアイランド・アイスティー!」そうオーダーしたのに、すっと目の前に出てきたのはお冷と…小皿???「まちかさん、忙しすぎてお昼も食べてないんじゃないですか?のどが渇いてるからってすきっぱらにそんなもの飲んじゃダメです。はい、お水。うちにお通しはないから、それはサービスです。食べたら作りますよ」聞かんぼうのわがままな子どもを小突くようなセリフ。「はーいごめんなさーい」。わたしはおとなしく箸を取ってポテサラを食べる。うまっ。なにこれうまーっ。お酒の席でのコミュニケーションというと”飲みニケ―ション”なんて言われたりするけれど、お酒そのものがコミュニケーションのツールとして飲む人の心を潤すことってあると思うのです。「今宵もお待ちしております」はちょうどコロナ禍での連載だったけれど、おうちでおこもりしてる時期に読んで、「ああ、また会いに行きたいな」と思いました。飲むだけなら家でもできる、わたしはあの空間が大好きだったんだなって改めて感じたのでした。

コロナ禍前後の思い出より

未成年の学生さんがそのまま使うわけにいかないお酒ネタで書く作文の先生でごめんね。

⑦マンガそのものとの”出合い”がネタになる

どのマンガで感想文を書こうかな?って迷ったら、あなたが「人生で初めて読んだ漫画」とか「生まれて初めて買ったコミックス」にしてみない? きっとみんなにもあるよね?

そういう”原点”を振り返る作文って、とってもすてきだと思うんだ。何度でも読み返したい作品、繰り返し読んで自分の一部になった作品、そういうマンガで感想文を書いたら、書きながら元気が出てくるんじゃないかなあ。

岡野史佳さんの作品と出会ったのは、中1のとき。ほとんど話したことのないクラスメイトの男子から「こういうの好きなんじゃないかな」と手渡されたのが岡野史佳さんの「1/2フェアリー!」でした。妖精と人間のハーフっていう女の子が主人公のファンタジー。うん、すっごくすっごく好き。なんでその男の子が貸してくれたのか謎だったけど、「これ姉貴の漫画なんだ」と打ち明けられたとき「お姉さんに会わせてー!」って頼んでた気がする。

(お姉さんに)既刊をぜんぶ貸してもらって読んで、わたしが自分で買ったのが、「海育ちの風」でした。

高校3年生、受験に悩む時期の男の子が主人公です。絵が好きだけど、美大に行けるのか行ってどうするのかという悩み。そういう時に出会った女の子とのやり取りから、”将来”を見る目が開いていくの。ちょこっとネタバレしちゃうと、その女の子は文章を書くことが大好きで、主人公の男の子の描く絵に魅せられていたのね。すごく分かるの。自分は一体なにものなんだって、なにものにもなれないんじゃないかって、押しつぶされそうになりながら毎日学校に通っててさ、そういうときに「あ、これだ」ってストンと落ちることあるじゃないですか。ある意味それも一目惚れ。

ラストシーンは、ふたりが絵と文を担当する合作絵本が書店の店頭に並ぶかたちで描かれていました。絵本の中身も出てくるのよ。「なつかしいうみのにおいねって ないてるこのほほをなでる」風。絵本のタイトルが「海育ちの風」なの。なんでかわからないけど、泣きました。中学生のわたし。

少女漫画の好き好き大好きに全振りしたお話も好きだけど、恋愛にくくられないお話がわたしは大好き。学園ドラマで起こるのは恋愛だけじゃなくてこんな群像劇(一人ひとりが主人公)なんだよなって、今でも読み返すたびに静かな感動が胸の奥に流れるのでした。

わりとあとで知ったんですが、岡野史佳さんって児童文学を愛してるらしく、「あ、だからか、そうだったんだー」と首がもげるほど納得してしまったのでした。わたしも児童文学が大好き。育ちの過程で、絵本→児童文学→……という流れで、わたしは少女漫画や少女小説に進みまして、楽しいけど「誰と誰がくっつく以外の話はないのかなあ」ともやもやしてたんですよね。くっついてもいいけど、メインディッシュがそこじゃないものがもっとあっていいのになって。

この記事を書くにあたって、実家に取りに帰った「海育ちの風」そして「1/2フェアリー!」。たくさんの漫画を読んで育ってきたけれど、絶対手離したくないと思うのはこの2冊かなと思うのです。これがわたしの原点です。

PN:岡野史佳さん大好き

まとめ

中学生の生徒さん達に「マンガ感想文コンクールの書き方を教えて」と言われたところから、そっか、それたしかに記事にしておくと知りたい人が役立ててくれるかもしれないねって思ったところから書き始めたこの記事。

マンガ感想文コンクールは、まだまだ「課題」として出されることが少ないからか、書きたい子が書くという能動的なアクションになっている気がします。やらされ感のない作文を子ども達が楽しんでくれたらいいなって思います♪

大好きなマンガで「マンガ感想文コンクール」、みんなもチャレンジしてみてね♡

この記事はAmazonアソシエイトの広告リンクを含みます

エメリアさんが『ワンピース』マンガ感想文の記事をアップされました!すごく楽しくて、コミックスを読んでるときの高揚感を追体験してるみたい✨
マンガ感想文の記事を書いてよかった♡ こういうふうに、書いたものが繋がっていくってnoteの素敵なところですよね。


/ シェア&コメント大歓迎♪ \


いいなと思ったら応援しよう!

まちか先生|作文講師・ライター サポートは作文教室を広げる活動に使わせていただきますね。「作文大好き!自分大好き!」な子どもがどんどん増えますように♡