あなステ!第1話

第1話 プロローグ
手術室は静まり返っていた。
モニターの電子音だけが、一定のリズムを刻む。
「この患者さんはオランダ型だからね」
A医師はカルテを閉じる。
「回復期のケアとして優先すべきは、効率と資源配分だ」
「いや、それだけじゃ足りない」
M医師が軽く笑う。
「ソビエト型患者とのリハビリなんかうまくいくのでは?私とあなたのように、思わぬ収穫があるかもよ」
「さすがはM殿」
Aは肩をすくめる。
「アメリカ型と見せかけてのビザンツ型。一番やりにくいわ」
「ご冗談を。今のあなたの勢いはまさにモンゴル型のそれ。誰もついてきてないぞ」
「そんなこと、根はスペイン型のあなたに言われたくない」
「まあ、フランス型の組織にイギリス型を強いる私の手法は確かに批判の方が多いが」
「そうは言っても」
Aは一瞬だけ視線を上げた。
「私はあなたなしには医学界に進展はないと思ってるんですよ」
「そうきたか!」
M医師は笑った。
「オスマン型だなぁ!」
手術灯が点灯する。
――あなステは、すでに世界の言語になっていた。
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