『【小説】山の家 家賃一万円-アラフィフ独身女子の日常』第7話「焦点」(全10話)
私は、アラフィフ独身、独り暮らし。家賃は一万円。山道を少し上がった一軒家に住んでいる。
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朝ラジオを聴いていたら、「文通」がきっかけで、もう60年以上の付き合いになる友達がいるという投稿者がいることを知った。
気長である。 双方共が穏やかで、互いを労わる関係性が垣間見られる。
実は私も小学生の時に文通を経験したことがある。確か、少女向け雑誌『ちゃお』の欄外に文通仲間を募る小コーナーが設けられていて、それに応募した覚えがある。
5、6通の返事があり、私は「自分の発信に返事が来た」という奇特に心を躍らせ、つい調子に乗って学校の友達にそれらを見せてしまった。
そして、北陸地方の同い歳の子と文通を始めた。 しかし、2、3通やり取りが続いた頃、どうやら様子がおかしくなってきた。
私のことを貶めるような言葉を、彼女が使うようになったのである。
最初は「?」疑問くらいであったが、そのうち、それは徐々にエスカレートした表現になり、自分一人で堪えられなくなった私は、その手紙を学校に持って行って再びクラスメートにそれを見せた。
他の人の評価が知りたかったのである。
すると、彼女らは私の予想をはるかに越えた対応を見せ、「目には目を」の精神で悪魔の返信の手紙を作り上げてしまった。
こうなってしまっては、もう当事者の手には負えない。
私は「やりすぎなのではないか」という少々の危惧はありつつ、切手を貼り、それをポストに投函してしまった。
数日後
彼女からまた手紙が届いた。今度は前回と違い、きちんとした風体の封筒であった。
封を開けると、丁寧な字で謝罪の言葉が書かれていた。
「知らないうちに、友達が書いたものです。本当にごめんなさい」…
その様子から、彼女の誠実さが見てとれた。 結局、彼女も私も周囲が盛り上がってしまって、当人が置いてきぼりにされた結果であったようだ。
私も慌てて自分の非礼を詫びた手紙を出した。しかし、もはや私は彼女とやり取りを続けることは憚られ、最初で最後の文通はそれで終わった。
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春には強風が続いた。背の高い木々が煽れられ恐怖に思い、業者に伐採を依頼した。
しかし、家がある方は周囲の家に取り囲まれ、出口がない。搬出のためには、結構な山道をそれらを持って下山しなければならなくなった。
どれだけの量があるのか…。 周囲の家の庭にお邪魔して、それらを搬出することも出来ないようであった。
結局、伐採後の枝や幹を庭の真ん中に置いたままになってしまう結果になった。 そういった場合、とりあえず、私が何とかしなければならない。
熟考の末(現実逃避)、最初は山の際にぐるりとそれらを順に置いていくことにした。 しかし、気の遠くなる作業である…。
しかも幹は重い。 ――と、枝をどかし切った箇所を見ると、雑草が生えていないことを発見した。 「そうか、除草効果があるのか」
希望の発見である。 実は毎夏の庭の草取りも一苦労である。この葉っぱがついた枝を一定期間放置しておけば、草取りの労力から多少解放されるかもしれない。
我が庭の綺麗さのクオリティはほどほどなので、例え枝がしばらく放置されていたとしても、雑草が繁りまくるリスクを天秤にかけると、メリットがあるのではないか。
ということで、今年の夏は「伐採枝の除草」を試みることにした。
―第8話に続く―
