見出し画像

エンパスっていう迷路の出口

「ちもさんは、エスパー魔美ちゃんですね!」


私は普段しょぼくれているが傍から見ていると、どうやら人の心が読めるように見えるらしい。上記のコメントは先日『エンパスの迷路』という記事をあげた際にGemicniさん(仮♡)という方からもらった可愛らしいコメント。

そもそもエンパスという言葉すら知らなかったのに、なぜそんな記事をあげてコメントをもらったのか。

ふとした瞬間。同僚から「ずっとエンパスだと思ってました」という告白を受けた。

駄菓子菓子。

エンパスというものを知らないので、スマホに住むAIおだやかさんに『エンパスとは?』と尋ねると、ひと言でいうなら「エスパー的に空気と人の表情を読み取る情報処理能力のことです」とのこと。
(かなり短くアレンジ)私は素直に喜べずに、戸惑った。という、戸惑いを迷路に例えて思考の移ろいを記事にし投稿。そこで冒頭の「ちもさんは、エスパー魔美ちゃんですね!」という可愛いアンサーがコメント欄についた、というわけです。私とって同じエスパーでもエスパー魔美ちゃんは褒め言葉中の褒め言葉、とても嬉しかった。

『エスパー魔美』の作者は藤子・F・不二雄さん。SF=【少し不思議】を心に植え付けてくれたのは藤子先生だ。藤子先生の作品は日常に不思議が溶け込んでいる、とても自然に。未来から来たドラえもんは日常を満喫し、のび太くんと平和に暮らし、どら焼きとみーちゃんを心底愛している。少しの枠を超えているのに、叶えられない日常を表現している。そうか、エンパスっていう聞き慣れない言葉に翻弄されたけれど、少し不思議に空気を読んでしまうのか・・・なんて想像力がコロコロ転がって私は肩のチカラがあっさりと抜けてしまった。

そしてコメント欄のGemicniさん(仮)は「私はダンシングフラワーです」と答えて下さった。ダンシングフラワーって、子供の頃に流行った音に反応するあれですか!?とびっくりした。


フラワーロック(昭和63年/生産終了) (C)TOMY
★オリコンニュースから画像をお借りしました★

いろんなものに反応して気疲れを起こしてしまう・・・とも綴られていて、私も一緒だなぁ・・・と思ったので、私の場合はくねくねエスパー魔美ちゃんかもしれないと思った。

ーーーー

記憶は少しさかのぼって。

おばあちゃんと地元の小さなショッピングモールへ行くとクリスマスシーズンで特設おもちゃコーナーが。そこにはひときわ目を惹くパクパククネクネがいる。手を鳴らし、話しかけ、音に合わせて口をパクパク、右に左に揺れて踊るダンシングサボテン『パックンミーゴ』。


ほんわか猫さんの園芸日記
から画像お借りしました




なんて、なんて、かわいいのだ。パンパン手を叩き、踊るサボテンに話しかけると頷きながらパクパクこちらに向かって喋っているように見える。
幼い私はアテレコをして遊んだ。

「こんにちは」
『こんにちは』
「はじめまして」
『はじめまして』
「かわいいね」
『ありがとう』

知らない間におばあちゃんの手を離れ、特設おもちゃコーナーで一人迷子になっているのも知らずに喜んで話し続けていた。さんざん喋って踊りまくったあと、ふと我に返り、振り返るとおばあちゃんがいない。

『おばぁぁぢゃーぁぁぁん!!!』

泣き叫んだ私の声でダンシングサボテンは口をパクパクパクパクする。アテレコする余裕はなく、心優しい店員さんに手を引かれ迷子センターへ。

「お名前は」
「あ…あ、うう。」
「お名前は言えるかな」
「あ…ああぁ、うぅううぅ」

※本名は伏せて母音のみで表現中

泣きすぎて牛が鳴いているような声しか出なかった。結局、アナウンスで服装と見た目から予想した年齢が館内放送で流された。

迎えに来てくれたおばあちゃんと感動の再会かと思いきや、勝手に迷子になった私を相当探しまわり疲れ果て、あげく迷子センターの人にお礼を言わないでいる私をみて、めちゃくちゃ厳しかったおばあちゃんから出会った瞬間に脳天ゲンコツをくらった。目から火花がでた。会えた嬉しさと相まって、また泣いた。

「一体どこで何してたの」病気で掌がぼろぼろだったおばあちゃんが手を繋ぎながら尋ねてくる。「あのサボテンに喋ってた」そう言うと、おばあちゃんは「へぇ」と興味津々に眺めている。「コレ欲しいのかい」というので、「欲しい、ずっと見ていたい」と思ったままを伝えた。

その年のクリスマス。

私のもとに踊るサボテンが来た。
驚いて喜んで、壊れるまでサボテンは友だちでいてくれた。
壊れても、私の側に黙ってサボテンはいてくれた。

私は。人の心は読めない。読めていたら、と、人生の曲がり角で何度か思った事があった。床に突っ伏して声を殺して泣いた事が人生で二度ある。子供の頃にあんなに大声で張り裂けんばかりに泣いていたのに、声を殺して自分を責め続け、そして自分の心に蓋をして苦しみから逃れ続けた。そうしなければきっと普通を装うことすら出来なかった。心っていう迷宮をたどる。人の心も分からないから、考えて、想像して、迷って、遠回りして、角が削れ、そしてまた別な場所が尖り、人に優しくしたいのにできない。

エンパスみたいな感覚は持っているかもしれないけど、それを超える想像力をもって過ごしていきたい。他人も自分の心さえも透けて見えないから、想像して心を感じていく術が研ぎ澄まされて行くのかもしれない。きっと。たぶん。そうだといいな。

私にとっての【SF=少し不思議】は、口がパクパク動いてクネクネしながら声も出さずに人の心を魅了する『ダンシングサボテン』と、館内放送の声だけで私を迎えに来てくれたおばあちゃんがSFな気がしている。



#なんのはなしですか
#藤子・F・不二雄さん


いいなと思ったら応援しよう!

chimo いただいたチップは日々を楽しくつづける為につかわせていただきます。色鉛筆や紙モノ、物語で楽しいをいつか表現できるようになりたいです。