外資系50代リストラの対処法!退職勧奨と再就職の進め方を完全解説
外資系企業で50代になってからリストラや退職勧奨を告げられると、これまでのキャリアを否定されたように感じることがある。
しかし、外資系だからといって、日本で働く労働者を簡単に辞めさせられるわけではない。
同意書にサインする前に、退職勧奨なのか、希望退職なのか、解雇なのかを分けて考える必要がある。
外資系に限らず、50代でリストラを受けた場合の初動や生活設計を確認したい方は、「50代でリストラされたら?体験談から学ぶ絶望を希望に変える対策とその後の仕事【弁護士ブログ】」でもまとめている。


1章 外資系で50代がリストラと言われたとき最初に確認すること
外資系で「リストラ」と言われたとき、最初に確認すべきことは、会社が何を求めているのかである。
退職してほしいというお願いなのか、希望退職の募集なのか、一方的な解雇なのかによって、対応は大きく変わる。
私も外資系の退職勧奨や管理職の解雇相談を扱う中で、最初の面談で言われた言葉だけを信じて、不利な同意書にサインしそうになったという相談を受けることがある。
1-1 「リストラ」という言葉だけで退職を決めない
「リストラ」と言われても、それだけで退職しなければならないわけではない。
リストラという言葉は、会社の人員削減全般を指して使われることが多く、法的な意味が一つに決まっているわけではないためである。
例えば、会社が「あなたのポジションはなくなる」と言いながら、実際には退職合意書へのサインを求めているというケースもある。
この場合、会社は一方的に解雇しているのではなく、労働者の同意を取ろうとしている可能性がある。
そのため、「リストラです」と言われた段階では、すぐに退職を決めず、会社の求めている内容を確認する必要がある。
なお、「リストラ」「レイオフ」「解雇」という言葉は混同されやすい。外資系で使われるレイオフという言葉の意味や、日本でそのまま通用するのかを知りたい方は、以下の記事も参考になる。
1-2 退職勧奨、希望退職、解雇の違い
退職勧奨、希望退職、解雇は、似ているようでまったく違う。
退職勧奨は、会社が労働者に退職をすすめることであり、応じるかどうかは労働者が決める。
希望退職は、会社が一定の条件を示して退職者を募集するものであり、これも基本的には労働者の同意が前提である。
解雇は、会社が一方的に労働契約を終了させることであり、法律上は厳しく判断される。
例えば、会社が「退職勧奨です」と言いながら、「拒否しても席はない」と強く迫るケースもある。
このような場合、言葉は退職勧奨でも、実態として退職強要に近い問題が生じることがある。
1-3 50代・高年収・管理職でも日本の労働法は使える
外資系企業で働いていても、日本法人に雇用され、日本で働いている場合には、日本の労働法が問題になることが多い。
50代、高年収、管理職であることだけを理由に、法律上の保護がなくなるわけではない。
会社から「外資系では普通です」「本国の決定です」と言われると、従うしかないように感じるかもしれない。
しかし、本国の方針があっても、日本で労働契約を終了させるには、日本の法律に照らして考える必要がある。
例えば、海外本社が組織再編を決めたため、日本の管理職にも退職を求めるというケースもある。
その場合でも、退職に同意するかどうか、解雇が有効かどうかは別に検討される。
外資系企業であっても、日本で働く場合には日本の法律が問題になる。この点については、以下の記事と動画でも詳しく解説している。
1-4 同意書にサインする前に確認すべき事項
退職合意書にサインする前には、条件を十分に確認する必要がある。
一度サインすると、あとから「やはり辞めたくない」「条件を変えたい」と言っても、簡単には戻せないためである。
確認すべき事項は、特別退職金の金額、退職日、ガーデンリーブ、有給の買い取り、離職理由、清算条項や請求権の放棄、競業避止義務、その他不利益な条項の有無、RSUやストックオプションの取り扱いなどである。
例えば、面談では「会社都合のように扱う」と言われたのに、書面では自己都合退職になっているケースもある。
口頭説明だけで判断せず、書面上の言葉を一つずつ確認する必要がある。


2章 外資系で50代がリストラ対象になりやすい理由
外資系で50代がリストラ対象になる背景には、本人の能力だけでは説明できない事情がある。
本国の組織再編、ポジション廃止、人件費削減、評価制度の変更など、会社側の事情が重なることも多い。
理由を知ることで、会社の説明をそのまま受け入れるのではなく、交渉材料を見つけやすくなる。
2-1 本国主導の組織再編やポジション廃止がある
外資系では、本国主導で組織再編が決まり、日本側のポジションがなくなることがある。
この場合、直属の上司や日本法人だけで決めたものではなく、グローバル全体の方針として進むことがある。
例えば、アジア地域の管理部門を一つの国に集約し、日本のバックオフィスの役割を減らすというケースもある。
ただし、ポジションがなくなるという説明だけで、当然に退職しなければならないわけではない。
会社が配置転換、別ポジションの提案、条件交渉をどこまで行ったのかも確認する必要がある。
ポジション廃止やポジションクローズを理由に退職を求められている場合は、以下の記事も確認してほしい。外資系でよく使われる「ポジションがなくなった」という説明に対して、どこを確認すべきかを整理している。
2-2 高年収・管理職が人件費削減の対象になりやすい
50代の外資系社員は、年収が高く、管理職や専門職として働いていることが多い。
そのため、会社が短期間で人件費を下げたい場合、対象になりやすいことがある。
例えば、同じチームの中で高年収者を減らし、若手や海外拠点に業務を移すというケースもある。
しかし、年収が高いことだけで解雇が認められるわけではない。
高年収であるほど生活への影響も大きいため、退職パッケージや退職日を慎重に検討する必要がある。
2-3 PIPや評価変更で退職に誘導されることがある
外資系では、PIPや評価変更を使って退職に誘導されることがある。
PIPは本来、業務改善のための制度であるが、実際には退職勧奨とセットで使われることがある。
例えば、急に達成が難しい目標を設定され、短期間で改善できなければ退職を求めるというケースもある。
このような場合、目標が具体的か、達成期限が現実的か、会社が支援したかを確認する必要がある。
PIPに入れられたからといって、直ちに解雇が有効になるわけではない。
PIPを出された場合には、サインしてよいのか、拒否できるのか、目標設定が適切なのかを冷静に確認する必要がある。PIPについては、以下の記事と動画で詳しく解説している。
2-4 英語、デジタル化、役割変更についていけないと言われることがある
50代のリストラでは、英語力、デジタル対応、役割変更を理由にされることがある。
会社は「今後の事業に必要なスキルと合わない」と説明することがあるためである。
例えば、これまで国内営業を中心に担当していた人に、急にグローバル会議での英語発信やデータ分析を強く求めるケースもある。
しかし、求められる役割がいつ変わったのか、会社が教育や引き継ぎの機会を与えたのかは確認すべき点である。
能力不足のように見える説明でも、実際には会社側の役割変更の問題であることがある。
2-5 黒字でもグローバル方針で人員削減されることがある
外資系では、日本法人が黒字でも人員削減が行われることがある。
グローバル全体で利益率を上げるため、日本だけを見れば必要性がわかりにくい削減が進むことがあるためである。
例えば、日本の業績は悪くないのに、本国が全世界で一定割合の人員削減を決めるケースもある。
そのため、会社から「方針だから仕方ない」と言われても、説明内容を確認する必要がある。
特に、整理解雇として進められる場合には、人員削減の必要性や人選の合理性が問題になる。


3章 外資系50代リストラでも簡単にクビにはできない
外資系でも、日本で働く労働者を簡単にクビにできるわけではない。
退職勧奨は同意が前提であり、解雇には合理的な理由と相当性が必要である。
「外資系だから即日解雇も普通」と考えてしまうと、交渉できる条件まで失うおそれがある。
3-1 退職勧奨はあくまで任意であり拒否できる
退職勧奨は、あくまで会社からの退職のすすめである。
労働者が同意しなければ、退職合意は成立しない。
会社から「この条件は今日までです」「拒否しても仕事はありません」と言われると、断れないように感じることがある。
しかし、退職するかどうかは労働者が決める問題である。
例えば、条件に納得できないため、いったん持ち帰って検討したいと伝えるケースもある。
退職の意思がない場合には、退職に同意しないことを明確に伝える必要がある。
退職勧奨は、労働者の同意がなければ成立しない。退職勧奨を拒否した場合のその後の対応や、会社からされやすい働きかけについては、以下の記事も参考になる。
退職勧奨を受けた直後にやってはいけない行動については、以下の動画でも解説している。
3-2 整理解雇は4つの事情から厳しく判断される
人員削減を理由とする整理解雇は、会社が自由に行えるものではない。
一般に、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性という4つの事情から判断される。
人員削減の必要性とは、本当に人を減らす必要があるのかという点である。
解雇回避努力とは、配置転換、希望退職の募集、役員報酬の削減など、解雇を避ける努力をしたかという点である。
人選の合理性とは、なぜその人が対象になったのかという点である。
手続の妥当性とは、説明や協議がきちんと行われたかという点である。
例えば、会社が十分な説明をせず、特定の50代社員だけを急に対象にしたケースでは、問題になる余地がある。
整理解雇では、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性が問題になる。正社員の解雇や整理解雇の基本をもう少し整理したい方は、以下の記事と動画も参考になる。
3-3 能力不足を理由とする普通解雇も簡単には認められない
能力不足を理由にした解雇も、簡単に認められるわけではない。
会社は、能力不足の内容、改善の機会、指導の有無、配置転換の可能性などを説明する必要がある。
外資系では「期待値に届かない」「ポジションに合わない」と抽象的に言われることがある。
しかし、抽象的な評価だけでは、解雇の理由として弱いことがある。
例えば、評価基準が途中で変わり、十分な説明もないまま低評価を付けられたというケースもある。
このような場合、評価資料、目標設定、上司とのメール、面談記録を残すことが必要である。
3-4 退職強要やパワハラになる言動には注意する
退職勧奨であっても、やり方によっては退職強要やパワハラの問題になることがある。
長時間の面談を何度も行う、人格を否定する、退職しないと不利益を与えると告げるような行為は問題になり得る。
例えば、「50代で居場所はない」「このまま残っても恥をかくだけだ」などと言われるケースもある。
このような言葉は、退職の自由な判断を妨げる可能性がある。
面談で不安を感じた場合には、日時、発言内容、同席者、提示資料を記録しておく必要がある。
3-5 解雇予告手当だけ払えば有効になるわけではない
解雇予告手当を払えば、どのような解雇でも有効になるわけではない。
解雇予告は、解雇の手続に関する問題であり、解雇の理由が正しいかどうかとは別である。
会社は原則として30日前に解雇予告をするか、不足する日数分の解雇予告手当を支払う必要がある。
しかし、その手当を支払っても、解雇に合理的な理由がない場合には、解雇の有効性が争われることがある。
例えば、十分な理由説明もなく「30日分を払うので退職です」と言われるケースもある。
その場合でも、解雇理由証明書を求め、理由を確認する必要がある。


4章 退職勧奨を受けた直後にやってはいけないことと初動
退職勧奨を受けた直後は、焦りや怒りで判断が揺れやすい。
しかし、最初の対応を誤ると、交渉の余地が狭くなることがある。
まずはサインを避け、書面と証拠を残し、自分が会社に残りたいのか、条件次第で退職を考えるのかを分ける必要がある。
4-1 その場で退職合意書にサインしない
退職勧奨の場で最も避けるべきことは、その場で退職合意書にサインすることである。
退職合意書は、労働契約を終わらせる合意であり、サイン後に争うことは簡単ではないためである。
例えば、面談室で突然書面を出され、「今日中にサインすれば条件を出す」と言われるケースもある。
この場合でも、「内容を確認してから回答する」と伝え、持ち帰るべきである。
サインを求められたら、書面の写しをもらい、退職日、金額、離職理由、清算条項を確認する必要がある。
退職合意書にサインする前には、会社がなぜ退職を求めているのか、どのような理由を説明しているのかを確認することが重要である。退職勧奨の理由の確認ポイントについては、以下の動画でも解説している。
退職勧奨を受けた場合の具体的な対処手順については、以下の記事も参考になる。
4-2 回答期限に焦って退職日を決めない
会社が短い回答期限を設定しても、焦って退職日を決める必要はない。
回答期限は会社側の希望であり、労働者が冷静に判断する時間を奪う理由にはならないためである。
例えば、「今週中に回答しなければパッケージはなくなる」と言われるケースもある。
しかし、50代の退職では、再就職、住宅ローン、教育費、失業保険などを同時に考える必要がある。
数日で判断するには影響が大きすぎることが多い。
回答期限を延ばしてほしいと伝え、検討時間を確保することが必要である。
4-3 面談内容、メール、提示条件、評価資料を残す
退職勧奨を受けたら、証拠を残す必要がある。
あとで会社の説明が変わることや、口頭で言われた条件が書面に反映されないことがあるためである。
残すべきものは、面談日時、発言内容、参加者、会社からのメール、提示された金額、評価資料、PIP資料、組織変更の説明資料などである。
例えば、面談では「ポジション廃止」と言われたのに、あとで「能力不足」と説明が変わるケースもある。
証拠があれば、会社の説明の変化を確認しやすくなる。
記録は感情的なメモではなく、日時と発言をできるだけそのまま残すのがよい。
4-4 会社に残りたい場合は就労意思を明確にする
会社に残りたい場合には、就労意思を明確にする必要がある。
曖昧な返事を続けると、会社から「退職する方向で話が進んでいた」と言われるおそれがあるためである。
例えば、「退職には同意していません。引き続き就労する意思があります」とメールで伝えるケースもある。
このような意思表示は、あとで退職合意の有無が問題になったときにも意味を持つ。
ただし、強い言葉で会社を責めるより、冷静に事実と意思を伝える方がよい。
感情的なメールは、交渉で不利に使われることもある。
4-5 退職を前提にする場合でも条件を文書で確認する
退職を考える場合でも、条件を文書で確認してから判断すべきである。
口頭の説明だけでは、退職金、賞与、RSU、離職理由などに食い違いが生じることがあるためである。
例えば、会社が「賞与も考慮する」と言いながら、合意書には賞与の記載が何もないケースもある。
退職を前提にするなら、特別退職金、退職日、ガーデンリーブ、有給消化、会社都合の扱い、再就職支援を確認する必要がある。
条件を書面で確認したうえで、自分の生活に必要な金額と期間を計算することが必要である。


5章 外資系リストラパッケージで交渉すべき条件
外資系の退職勧奨では、退職パッケージの交渉が大きな意味を持つ。
退職するかどうかだけでなく、退職する場合の条件をどうするかが、その後の生活に直結するためである。
50代では再就職まで時間がかかることもあるため、金額、退職日、離職理由、株式報酬、再就職支援まで確認する必要がある。
5-1 特別退職金・退職加算金
退職パッケージで最初に見るべき条件は、特別退職金や退職加算金である。
外資系では、通常の退職金とは別に、月給の数か月分から数十か月分が提示されることがある。
一つの目安としては、3か月分から12か月分程度が提示されることがあり、役職、年収、勤続年数、会社の事情によってはさらに大きな条件が議論されることもある。
ただし、相場は会社の規模、職種、交渉状況によって大きく変わる。
例えば、会社の説明に法的な弱点があり、退職日までの期間も短いケースでは、増額交渉の余地が出ることがある。
提示額だけを見ず、再就職までに必要な生活費から逆算して考える必要がある。
退職パッケージは、最初に提示された金額だけで判断すべきではない。特別退職金や退職加算金の相場、交渉の考え方については、以下の記事と動画で詳しく解説している。
5-2 ガーデンリーブ、有給消化、退職日
退職パッケージでは、金額だけでなく退職日も交渉対象になる。
退職日が延びれば、給与、社会保険、有給、転職活動の時間に影響するためである。
ガーデンリーブとは、在籍したまま業務から外れ、給与を受けながら転職活動などを行う期間を指すことが多い。
例えば、退職日を数か月先にして、その間は出社不要とするケースもある。
有給休暇が残っている場合には、有給消化をどう扱うかも確認する必要がある。
退職日を早くしすぎると、収入の空白期間ができやすいため注意が必要である。
ガーデンリーブは、50代の外資系リストラでは重要な交渉項目になりやすい。在籍を続けながら転職活動の時間を確保できることがある一方で、退職日や賞与、競業避止との関係も確認が必要である。詳しくは以下の記事と動画で解説している。
5-3 会社都合・退職勧奨の表記と離職票
離職票の離職理由は、失業保険に影響することがある。
退職勧奨による離職は、一定の場合に特定受給資格者として扱われる可能性があるためである。
ただし、最終的な判断はハローワークが行う。
そのため、会社との合意書や離職票に、どのような理由が書かれるのかを確認する必要がある。
例えば、実際には会社から退職を求められたのに、書面上は自己都合退職とされているケースもある。
転職での印象だけを気にして自己都合にすると、失業保険で不利になることがあるため注意が必要である。
5-4 賞与、コミッション、RSU、ストックオプション
外資系では、賞与、コミッション、RSU、ストックオプションの扱いも確認が必要である。
退職日や在籍要件によって、受け取れる金額が大きく変わることがあるためである。
例えば、退職日がRSUの権利確定日の直前に設定されるケースもある。
その場合、退職日を少し延ばすだけで、受け取れる報酬が変わる可能性がある。
賞与やコミッションも、支給基準日、業績条件、在籍条件を確認する必要がある。
退職合意書でこれらを放棄する内容になっていないか、細かく見るべきである。
5-5 再就職支援、推薦状、リファレンス
50代の外資系リストラでは、再就職支援も交渉条件になる。
金銭だけでなく、次の仕事につながる支援が必要になることがあるためである。
例えば、会社負担で再就職支援会社を利用できる条件を付けるケースもある。
また、推薦状やリファレンスの対応を会社に確認することもある。
外資系では、転職先から前職での勤務状況を確認される場面もある。
退職理由を「組織変更に伴うポジション廃止」と説明できるよう、会社側の表現をそろえておくことも検討すべきである。
5-6 秘密保持、競業避止、清算条項の注意点
退職合意書では、秘密保持、競業避止、清算条項に注意が必要である。
これらの条項は、退職後の働き方や請求できる権利に影響するためである。
秘密保持は、会社の情報を外に出さないという内容である。
競業避止は、退職後に同業他社で働くことを制限する内容である。
清算条項は、合意書に書かれたもの以外は互いに請求しないという内容である。
例えば、未払いの賞与や残業代の可能性があるのに、広い清算条項にサインするケースもある。
退職金の金額だけで判断せず、退職後に何を制限されるのかを確認する必要がある。


6章 50代リストラ後の仕事と生活を守る方法
50代のリストラでは、法律上の対応と同じくらい、生活を守る準備が必要である。
再就職までの期間、年収低下、家計、住宅ローン、教育費、老後資金を一つずつ確認する必要がある。
退職条件の交渉も、生活に必要な期間と金額を見通して行うべきである。
6-1 失業保険と特定受給資格者の確認
退職後は、失業保険を確認する必要がある。
会社都合や退職勧奨による離職では、自己都合退職より有利に扱われることがあるためである。
特定受給資格者に当たるかどうかは、離職理由や資料をもとに判断される。
例えば、会社から退職勧奨を受けて離職したことが、メールや合意書からわかるケースもある。
離職票の記載に納得できない場合には、ハローワークで事情を説明することがある。
そのためにも、退職勧奨の資料や面談記録を残しておく必要がある。
6-2 再就職では年収が下がる可能性を前提にする
50代の再就職では、年収が下がる可能性を前提に考える必要がある。
特に外資系で高年収だった場合、同じ水準の仕事がすぐに見つかるとは限らないためである。
例えば、前職では管理職として高い報酬を得ていたが、次の職場では専門職や契約社員から始めるケースもある。
これは能力が低いという意味ではなく、求人市場や年齢、職種の問題である。
だからこそ、退職パッケージは再就職までの生活費を補うものとして考える必要がある。
年収が一時的に下がる前提で、家計の固定費も見直すべきである。
6-3 職務経歴の棚卸しと応募先の選び方
再就職では、これまでの職務経歴を棚卸しする必要がある。
50代では、若手と同じ転職活動ではなく、経験をどう使えるかを示すことが求められるためである。
例えば、外資系での営業管理、海外本社との調整、チームマネジメント、内部統制、事業立て直しなどを強みにするケースもある。
応募先は、同じ外資系だけに限らなくてもよい。
日系企業、スタートアップ、顧問、業務委託、専門職ポジションなども選択肢になる。
ただし、収入、安定性、働き方のどれを優先するかは、家計とあわせて考える必要がある。
6-4 家計、住宅ローン、教育費、老後資金を見直す
50代のリストラでは、家計の見直しを早めに行う必要がある。
住宅ローン、教育費、親の介護、老後資金が重なりやすい時期だからである。
例えば、退職パッケージを受け取っても、月々の支出が大きければ数か月で減ってしまうケースもある。
まずは、毎月の固定費、ローン返済、学費、保険料、生活費を見える形にすることが必要である。
そのうえで、何か月分の生活費が必要かを計算する。
退職条件の交渉では、この生活費の見通しが金額交渉の目安になる。
6-5 転職活動で退職理由をどう伝えるか
転職活動では、退職理由を短く、事実に沿って伝えることが必要である。
必要以上に会社への不満を話すと、転職先に不安を与えることがあるためである。
例えば、「グローバルの組織変更によりポジションが廃止されたため、これまでの経験を生かせる環境を探している」という伝え方が考えられる。
ただし、聞かれたことに対して事実と違う説明をするのは避けるべきである。
退職勧奨や解雇を争っている場合には、どこまで話すかを慎重に考える必要がある。
履歴書上は「退職」と記載することが多いが、面接で聞かれた場合には、事実を踏まえて説明する必要がある。


7章 外資系50代リストラで弁護士に相談すべきケース
外資系50代のリストラでは、早めに弁護士に相談した方がよい場面がある。
特に、退職勧奨の圧力が強い場合、解雇通知が出た場合、パッケージ条件が低い場合には、自己判断だけでは不利になりやすい。
外資系の退職勧奨では、PIP、英語の合意書、株式報酬、離職理由が絡むため、労働法だけでなく交渉の進め方も考える必要がある。
とくに、カントリーマネージャーや高年収の管理職として働いている方は、ポジション廃止、PIP、退職パッケージ、RSUなどが同時に問題になりやすい。カントリーマネージャーの解雇問題については、以下の記事でも詳しく解説している。
7-1 退職拒否後に降格、減給、PIPを示唆された場合
退職勧奨を拒否した後に、降格、減給、PIPを示唆された場合には、弁護士に相談すべきである。
会社が退職に追い込むために不利益を示している可能性があるためである。
例えば、「退職しないなら職位を下げる」「次は厳しいPIPに入る」と言われるケースもある。
もちろん、正当な人事評価や配置変更が行われることもある。
しかし、退職拒否への報復のように見える場合には、面談記録やメールをもとに検討する必要がある。
早い段階で相談すれば、会社への伝え方や証拠の残し方を決めやすくなる。
7-2 パッケージ金額や条件に納得できない場合
退職パッケージの金額や条件に納得できない場合にも、相談の意味がある。
外資系の退職勧奨では、最初に提示された条件が最終条件とは限らないためである。
例えば、会社が3か月分を提示しているが、再就職までの期間や解雇リスクを踏まえると足りないというケースもある。
交渉では、単に「もっと払ってほしい」と言うだけでは弱い。
退職の法的問題、対象者選定、説明不足、退職日、未払い報酬などを踏まえて、条件を組み立てる必要がある。
弁護士が入ることで、感情的な対立を避けながら条件交渉を進めやすくなることがある。
7-3 解雇予告通知書や解雇理由証明書を出された場合
解雇予告通知書や解雇理由証明書を出された場合には、早めに相談すべきである。
これは、退職勧奨の段階を超えて、会社が一方的な終了に進んでいる可能性があるためである。
解雇理由証明書には、会社が解雇理由として何を主張しているのかが書かれる。
例えば、組織再編と書かれているのか、能力不足と書かれているのかで、争点は変わる。
通知書を受け取ったら、退職を受け入れる文書にサインする前に内容を確認する必要がある。
解雇を争う場合には、就労意思や賃金請求の問題も早めに考える必要がある。
7-4 退職合意書の内容が難しい場合
退職合意書の内容が難しい場合も、弁護士に確認した方がよい。
合意書には、退職金だけでなく、秘密保持、競業避止、清算条項、誹謗中傷禁止、リファレンス、株式報酬の扱いが入ることがある。
例えば、広い清算条項により、未払いの賞与や残業代を請求しにくくなるケースもある。
また、競業避止の条項が広いと、転職先の選択に影響することがある。
英語の書面では、表現の意味がわかりにくいこともある。
理解できない条項があるままサインすることは避けるべきである。
7-5 交渉を弁護士に依頼する流れ
弁護士に依頼する場合は、まず資料を集めて相談するのがよい。
必要な資料は、雇用契約書、就業規則、賃金資料、評価資料、PIP資料、退職合意書案、会社とのメール、面談メモなどである。
相談では、会社に残りたいのか、条件次第で退職するのかを決める必要がある。
例えば、退職は受け入れるが、退職日と特別退職金を交渉したいというケースもある。
方針が決まれば、弁護士が会社に通知し、条件交渉や解雇無効の主張を行うことがある。
自分で対応するよりも、会社とのやり取りの負担を減らせることがある。


8章 外資系50代リストラでよくある疑問
外資系50代のリストラでは、法律、退職条件、再就職、失業保険が同時に問題になる。
ここでは、相談でよく出る疑問を、できるだけシンプルにまとめる。
自分の状況に近いものから確認してほしい。
8-1 Q1:外資系なら本当にすぐクビになりますか?
外資系でも、日本で働く労働者を簡単にクビにできるわけではない。
日本法人との雇用契約で日本で働いている場合には、日本の解雇規制が問題になることが多い。
退職勧奨は拒否でき、解雇には合理的な理由と相当性が必要である。
ただし、外資系では退職勧奨やパッケージ提示のスピードが速いことがある。
そのため、早めに書面を確認し、サイン前に対応する必要がある。
8-2 Q2:退職勧奨を拒否したら不利になりますか?
退職勧奨を拒否しただけで、当然に不利になるわけではない。
退職勧奨は任意であり、応じる義務はないためである。
ただし、拒否後に会社との関係が悪くなることや、PIP、配置転換、降格の話が出ることはある。
その場合には、会社の言動を記録し、不利益な扱いが退職拒否と関係していないか確認する必要がある。
会社に残りたい場合には、退職に同意しないことと就労意思を冷静に伝えるのがよい。
8-3 Q3:パッケージの相場はどのくらいですか?
外資系の退職パッケージは、会社、職位、勤続年数、年収、退職理由によって大きく変わる。
月給3か月分から12か月分程度が一つの目安になることがあるが、これで決まるわけではない。
状況によっては、より長い期間分が交渉対象になることもある。
例えば、解雇の法的リスクが高い、再就職まで時間がかかる、退職日が短いというケースでは、増額を検討する余地がある。
相場だけでなく、自分の生活費と再就職までの期間から考える必要がある。
8-4 Q4:会社都合と自己都合はどちらがよいですか?
失業保険を考えると、会社都合や退職勧奨による離職の方が有利になることがある。
ただし、転職活動での見え方を気にして、自己都合を希望する人もいる。
どちらがよいかは、失業保険、転職活動、合意書の記載、会社との交渉状況によって変わる。
例えば、実際には退職勧奨なのに、書面だけ自己都合にされるケースでは、失業保険で不利になるおそれがある。
離職票の記載は、サイン前に確認すべきである。
8-5 Q5:面接でリストラを伝える必要はありますか?
面接で聞かれた場合には、事実に沿って短く伝えるべきである。
ただし、必要以上に詳しく話す必要はない。
例えば、「グローバルの組織変更によりポジションが廃止されたため、次の環境を探している」という伝え方がある。
会社への不満や争いの内容を長く話すと、転職先に不安を与えることがある。
一方で、聞かれたことに対して事実と違う説明をすることは避ける必要がある。
8-6 Q6:退職合意書にサインした後でも争えますか?
退職合意書にサインした後に争うことは、簡単ではない。
サインによって、退職に同意したと扱われやすくなるためである。
ただし、強い圧力、だまし、不十分な説明、判断できない状況があった場合には、争点になることもある。
例えば、長時間の面談で退職を迫られ、内容を読む時間もなくサインしたというケースでは、問題を検討する余地がある。
もっとも、サイン前より選択肢は狭くなるため、合意書は必ず事前に確認すべきである。
8-7 Q7:再就職先が決まるまで退職日を延ばせますか?
退職日を延ばせるかどうかは、会社との交渉次第である。
退職勧奨は合意が前提であるため、退職日も条件として交渉できることがある。
例えば、退職日を数か月後にし、その間をガーデンリーブにするケースもある。
再就職先が決まるまで必ず延ばせるわけではないが、50代で再就職に時間がかかる事情は交渉材料になる。
退職日を決める前に、生活費と転職活動の見通しを確認する必要がある。
8-8 Q8:PIPに入れられたらどうすべきですか?
PIPに入れられたら、まず内容を確認する必要がある。
目標、期限、評価方法、支援内容が具体的かどうかを見るべきである。
例えば、達成が難しい売上目標を短期間で求められ、支援内容がほとんどないケースもある。
PIPの内容に無理がある場合には、メールで質問し、記録に残すことが必要である。
PIPに入っただけで退職や解雇が当然になるわけではない。
退職勧奨とセットで進んでいる場合には、早めに相談するのがよい。
8-9 Q9:解雇予告手当と退職パッケージは別ですか?
解雇予告手当と退職パッケージは、性質が違う。
解雇予告手当は、会社が解雇予告を30日前にしない場合に問題になる手当である。
退職パッケージは、退職合意に応じる条件として支払われる特別退職金や加算金である。
例えば、会社が「30日分を払うから終わり」と言うケースでも、それだけで解雇が有効になるわけではない。
また、退職勧奨に応じるなら、解雇予告手当とは別に特別退職金を交渉する余地がある。
8-10 Q10:どの段階で弁護士に相談すべきですか?
サイン前、回答期限前、解雇通知前の段階で相談するのが望ましい。
早い段階ほど、退職を拒否するのか、条件交渉をするのか、証拠をどう残すのかを選びやすいためである。
特に、退職合意書を出された、PIPを示唆された、解雇理由証明書を受け取った、パッケージ条件に納得できないという場合には、相談の必要性が高い。
例えば、サイン直前に書面を確認し、清算条項や競業避止のリスクに気づくケースもある。
外資系の50代リストラでは、法的対応と生活設計を同時に考える必要がある。
一人で抱え込まず、早めに選択肢を確認することが、次の一歩を守ることにつながる。


9章 外資系企業や管理職の退職勧奨の相談はリバティ・ベル法律事務所へ
外資系企業や管理職の退職勧奨は、是非、リバティ・ベル法律事務所に相談してほしい。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではない。
法的な見通しを分析したうえで、あなた自身の意向を踏まえて、適切に方針を策定する必要がある。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、とくに外資系企業や管理職の退職勧奨問題に圧倒的な知識とノウハウを蓄積している。
まずはお気軽にご相談いただきたい。


10章 まとめ
外資系企業で50代になってからリストラや退職勧奨を受けても、すぐに退職を決める必要はない。まずは、会社の話が退職勧奨なのか、希望退職なのか、解雇なのかを確認すべきである。
退職合意書にその場でサインすると、あとから条件を争いにくくなるため、退職日、特別退職金、離職理由、賞与、RSU、競業避止、清算条項などを確認する必要がある。
「本国の決定」「ポジション廃止」「PIP」などと言われても、日本で働く労働者には日本の法律が問題になるため、証拠を残しながら冷静に対応すべきである。
不安が大きい場合や条件に納得できない場合には、一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談して方針を決めることが大切である。
最後に、以下の記事や動画も参考になるはずなので、あわせて読んでみてほしい。
退職勧奨で解決金を交渉したい方には、解決金の相場や交渉方法を整理した以下の記事が参考になる。
会社から「辞めてくれ」と言われた直後にどう対応すべきかを知りたい方は、以下の動画も確認してほしい。


