黒字なのに潰れる会社は“ここ”を見ていない〜スタートアップが資金ショートする本当の理由〜
資金ショートは「突然」ではない
「あと3ヶ月でキャッシュが尽きる」
そう突きつけられたとき、多くのCEOは狼狽する。
しかし、経営執行の現場から見ると、資金ショートは事故ではない。
数ヶ月前から始まっていた必然の結果だ。
なぜ、優秀なCEOが描いたビジョンが
現金の枯渇で終わってしまうのか。
これまでベンチャーで累計50億円以上の資金調達やファイナンスを執行してきた実務の視点から、その構造を整理してみたい。
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1. 「PL脳」がキャッシュフローを殺す
資金ショートする会社の最大の特徴は、
経営がPLで語られ、CFが直感で扱われていること
にある。
よくある状況はこうだ。
- 売上は伸びている
- 粗利も改善している
- だから問題ないだろう
しかし実際には、
- 売掛金は膨らむ
- 人件費は先払い
- 外注費も前払い
売上が伸びるほど、
キャッシュは減っていく。
スタートアップでよく起きる「黒字倒産」の構造はここにある。
私はよくこう言う。
「利益は意見、キャッシュは事実」
PLという“意見”に酔い、
キャッシュという“事実”から目を逸らした瞬間から、
破綻へのカウントダウンが始まる。
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2. 「平時の楽観」というコスト
CEOは本来、楽観主義者であるべきだ。
しかし、経営執行を担う側まで楽観的でいてはいけない。
資金ショートする会社では、
次のような言葉がよく聞こえる。
「次のラウンドが決まるはずだ」
「この大型案件が決まれば好転する」
しかし、
「決まるはずの金」はキャッシュではない。
だから私は常に
Default on War-mode(戦時体制)
という前提で経営を考える。
最悪のシナリオをOSとして起動させておく。
「入るはずの金」を前提にするのではなく、
「今ある金」でどこまで生き延びられるか。
この思考に切り替えられない組織から、
順番に死んでいく。
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3. オペレーションの断絶
資金ショートが起きる会社では、
営業・現場・財務が分断されている。
営業は受注を追う。
しかし回収条件は見ない。
開発はリリースを急ぐ。
しかし外注費の支払いタイミングを知らない。
その結果、
事業とキャッシュが非同期になる。
右腕の仕事は、この現場の動きをすべて
「一円単位のキャッシュの動き」に翻訳すること
だ。
私はこれまで
- BPO導入による会計業務の再設計
- 月次決算の早期化
- GASによる事務フローの自動化
を進めてきた。
これは単なる効率化ではない。
「今会社にいくら残っているのか」
その解像度を上げるためのオペレーション設計だ。
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経営とは「生き残るための格闘」
資金ショートを回避するのは、
華やかな戦略ではない。
- 泥臭い回収交渉
- 支払いタイミングの最適化
- キャッシュ残高の管理
そして何より、
数字という現実から目を逸らさない意思決定だ。
ビジョンを語るCEOの隣で、
最悪の事態を想定しながらキャッシュを管理する。
それが、私が考える
「CEOの右腕」という役割だ。
次回は、
CFOは雇うな。まずキャッシュフローを設計しろ
について書こうと思う。
