【市場】①TAMを見ている会社は、なぜ負けるのか〜“見える市場”と“取れる市場”は別物だ〜
1. その1兆円は、本当にそうなのか?
「この市場、1兆円あります」
その一言で、会議は前に進む。
しかし、
その瞬間にやるべきことは一つだ。
疑うこと
その数字は、
誰が計算したのか
どの前提で出したのか
自分たちが取れる範囲なのか
ほとんどの場合、答えはこうだ。
“よく分からないが大きい”
TAMは、美しい。
だからこそ危険だ。
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2. TAMとは何か
まず整理する。
TAM(Total Addressable Market)
理論上の最大市場規模
定義はこうだ。
その市場において「全ての需要」を取り切った場合の最大値
前提は単純で、
競合は存在しない
地域制約はない
価格制約もない
すべての制約を無視した世界
例:
世界中の英語学習ニーズ × 年間1万円
つまり
TAMは、
「夢の最大値」=ポテンシャル上限
ここまではいい。
問題はここからだ。
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3. TAMは“そのままでは使えない”
多くの会社は、このTAMをそのまま戦略に使う。
しかしそれは、
現実には存在しない市場を前提にしている
なぜか。
TAMは、こういう前提で作られている。
すべての顧客にリーチできる
すべての顧客が同じ価値を感じる
すべての顧客が同じ価格で買う
しかし現実は違う。
届かない顧客がいる
価値を感じない顧客がいる
支払えない顧客がいる
さらに、
競合が存在する
既存の習慣がある
意思決定には時間がかかる
つまり、
TAMは「条件がすべて成立した世界」を前提にしている
しかし現実は、
その条件がほとんど成立しない世界
だから、
TAMは存在しない
正確に言うと
“同時には成立しない”
一部の条件は成立する。
しかしすべてが揃うことはない。
そのズレを無視した瞬間、
戦略が崩壊する
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4. 理想TAMを現実に落とす
TAMは捨てるものではない。
削るものだ
理想TAMから現実TAMへは、こうやって落とす。
① 理想TAM(制約なし)
顧客 × 課題 × 価格
純粋な最大値
② 価値成立条件
そもそも使えるか
スキル・行動・環境
③ 技術・インフラ
ネット環境
デバイス
決済
④ 規制
法律
許認可
データ制約
⑤ 経済合理性(最重要)
支払い能力
価格の妥当性
ROI
ここで一気に削られる
⑥ 行動・習慣
続けられるか
代替手段
スイッチングコスト
⑦ 競争
既存プレイヤー
ブランド
参入障壁
そして残るのが、
現実TAM
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5. TAMの正しい使い方
重要なのは数字ではない。
削られた“後”に何が残っているか
多くの会社は、TAMを削るとこう考える。
「市場が小さくなった」
違う。
市場は消えたのではない。分解された
削られた部分には、
条件が合わない顧客
価格が合わない顧客
行動が合わない顧客
が存在する。
しかしその中にも、
ニッチな需要は確実に残っている
つまり、
TAMを削るという行為は、市場を“捨てる”ことではない
市場を“構造的に分解する”こと
ここで初めて、選択が生まれる。
選択①:メイン市場を取りに行く
規模は大きい
競争は激しい
要件は厳しい
資本・時間・組織力が必要
選択②:ニッチ市場を取りに行く
規模は小さい
競争は限定的
刺さると強い
スピードと集中で勝てる
重要なのは、
削られた“割合”を見ること
どこで大きく削られたか
なぜ削られたか
その削られ方こそが、
勝ち筋を示している
市場とは、
見つけるものではない。切り出すものだ
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結論
TAMは「市場」ではない。
ただの仮説だ。
多くの会社はこの仮説を前提に戦略を組む。
しかし、本当に重要なのは、
どこを取るかを決めること
新規事業を0から考えるとき、
マーケットイン
プロダクトアウト
どちらの視点であっても、
最初にやるべきは「市場の切り出し」だ
市場は存在するものではない、設計するものだ
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次回
TAMから見る市場の選定法
【市場シリーズ】
① TAM(幻想) ← 今回
② 市場選定(どこを取るか)
③ SAM / SOM(どう取るか)
④ プロダクト(何で取るか)
⑤ ゲームチェンジ(ルールを変える)
⑥ 総括(市場とは何か)
経営とは市場規模を語ることではない。
どこを取るかを決めることだ。
