読書日記|失恋カルタ
失恋なんてずいぶん昔のことなのに、この本を読むとちゃんと思い出す。
又吉直樹作『失恋カルタ』を読んだ。
失恋なんていつしたかな。
たぶん、かなり昔だ。
大人になると恋愛をする回数も減るし、嬉しいも悲しいも、だいたいの感情は知っている気になる。
だから失恋なんて、もう遠い話だと思っていた。
でも、この本を読むと、その感情をちゃんと思い出す。
失恋カルタは、言葉とイラストが対になっている。
まず、たなかみさきさんのイラストが目に入る。
その絵札をめくると、又吉さんの言葉が現れる。
その言葉が絶妙だ。
読むと、その情景や心情が自分にもわかる。
「こんなことあったな」
「こんな気持ちになったな」
そんな記憶がふっとよみがえる。
少し切なくて、少し懐かしい。
連絡を待ったこと。
期待したこと。
終わりを感じていたのに、見ないふりをしたこと。
そして、別れ際の言葉。
「嫌いになったわけじゃない」
その言葉は、見かけは優しい。
でも、
いちばん切れるナイフ。
失恋カルタを読んで、そんなことを思い出した。
忘れたと思っていても、心に刻まれた言葉は残っている。
普段は思い出さない。
でも、ときどき引っ張り出したくなる。
痛いってわかっているのに。
それでも時々、
確かめるように取り出してしまう。
多分、忘れない。
だから本は面白いよね。
読むことで忘れていた感情を、
そっと心の奥から引き出してくれる。
