見出し画像

毎週会えることが楽しみだった――5か月間の片思い

いつも立ち寄るコンビニに、気になる女性がいた。

元気がよくて、少しハスキーな声。

小柄で、明るい髪色がよく似合っていた。

特に何か特別な会話をするわけではない。

商品をレジに置き、会計をしてもらい、「ありがとうございます」と言って店を出る。ほんの数分、いや、数十秒のやり取りだったと思う。

それでも、その人がいるだけで少しうれしかった。

今日はいるかな。☺️

あの声を聞けるかな。

いつの間にか、コンビニへ行くことが、休日の小さな楽しみになっていた。

そんな時間が、5か月ほど続いた。

ある日、いつものようにレジに並ぶと、彼女の方から声をかけてくれた。

「髪の色、少し明るくなりました?いい感じですね」🥰

自分の変化に気づいてくれていたことに驚いた。

それまで、こちらが一方的に存在を意識しているだけだと思っていたから、向こうも自分の顔を覚えてくれていたことが、素直にうれしかった。

その日は彼女がカチューシャをしていたので、思わず、

「そのカチューシャ、かわいいですね」

と返した。

すると、照れたように笑いながら、「ありがとうございます」と喜んでくれた。

ただ、それだけの会話だった。

でも店を出たあとも、胸の中がしばらく温かかった。

久しぶりに、誰かとの短い会話でドキドキした。

それからは、次に会えたら食事に誘ってみたいと思うようになった。

けれど、いざ店へ行っても、彼女がいなかったり、忙しそうだったりして、なかなかタイミングが合わない。

「今日は会えないかもしれない」

そう思った日の夜、最後にもう一度だけ店へ立ち寄った。

すると、彼女がいた。

少し会話をして、帰り際に目が合った。

この機会を逃したら、また言えなくなると思った。

勇気を出して、

「今度、よかったらお食事でもどうですか」

と伝えた。

彼女は驚いたように、

「え、いいんですか?」

と言って、連絡先を交換してくれた。

その瞬間は、奇跡が起きたような気持ちだった。

5か月間、レジで短い言葉を交わすだけだった人と、店の外でもつながることができた。

けれど、人生は自分の想像どおりに進むとは限らない。

彼女には、今すぐ頻繁に連絡を取れない事情があるようだった。そして、連絡先を交換したあと、私が想像していたよりもずっと若いことも分かった。

正直、かなり驚いた。

見た目や話し方から、もう少し年齢が近いと思っていた。

いろいろ考えた結果、こちらから追いかけるのはやめることにした。

相手にも事情があり、相手の人生がある。

好意を持ったからといって、自分の気持ちだけで距離を縮めてよいわけではない。

向こうから連絡があれば、普通に返す。

来なければ、静かにそのまま受け止める。

そう決めた。

この恋がどうなるのかは分からない。

もしかすると、ここで終わるのかもしれない。

それでも、この5か月間が無駄だったとは思わない。

休日に会えることを楽しみにしたこと。

何気ない一言に胸が高鳴ったこと。

勇気を出して、自分の言葉で食事に誘えたこと。

44歳になっても、誰かに心が動き、こんなにドキドキできる自分がいることを知った。

恋が実ることだけが、すべてではないのかもしれない。

誰かを素敵だと思ったこと。

その人に会える日を楽しみにしたこと。

そして、一歩だけ前へ進めたこと。

それだけでも、この5か月間には十分な意味があったと思う。

いつものコンビニで始まった、小さな片思い。

少し寂しさは残っている。🥲

でも、久しぶりに心を動かしてくれた彼女には、ありがとうと言いたい。

そしてまた、いつか誰かと、何気ない会話を重ねられる日が来たらいいなと思う。

いいなと思ったら応援しよう!