コタツ記事が面白いってことは、生成AI記事/文学だって面白くなるはず ~理論編~
はじめに
最近、生成AIが書く文章は、身体性やその人の歴史やストーリーがないから薄い!みたいな議論をよく目にします。
一方で、人間が書く文章だって大半は既存の情報をまとめただけのいわゆる「コタツ記事」なんだから、そんなにネット内の薄い情報率って変わっていない気もするんです。
と、考えをめぐらしたところで一つの記事を思い出しました。
究極のコタツ記事。
取材もせず、コタツに入って、日本一を全部調べるという、圧倒的身体性。ライターのpatoさんは、莫大な時間がかかったと記していて、コタツ記事でもここまで突き詰めると、情熱を感じて面白いんだなと目から鱗が出たのを覚えています。
単純な検索だけでなく、その地方の広報誌なども読み込んで調べているので、莫大な時間がかかってしまった。
でも、こと「調べる、情報を整理する、時間がかかることを我慢して何度も行う」にかけて、生成AIに勝るものはありません。圧倒的物量こそ、AIの光るステージなのでは!
ということで、Geminiと一緒に「生成AIだからこそ読める文章・書ける文章」のスタイルを模索してみました。
#AIと自由研究 文学部門(勝手に創設)に参加しています。
①読む:インタラクティブWikipedia文学
Wikipediaを読むのが好きな人いますよね、実際、Wikipedia三大文学は必読です。フィクションだからこその人間ドラマ。
では、そのWikipedia文学が、双方向性をもったら?
例えば、世界中の国歌を調べつくす。

と、ここまでならWikipediaにも記事はあるのですが、国歌のテーマってジャンル分けできるのかな?と疑問が生まれたら、さらに情報を追加してもらったり、

これを地域ごとに集計すると、こんな感じの出力。
🌏 アジア:多様性の中に光る「伝統」と「信仰」
アジアは広大で多様なため、全てのタイプがバランス良く存在しますが、特に「聖職者タイプ」(イスラム圏、仏教圏)と「歴史学者・語り部タイプ」(東アジア、中央アジア)が目立ちます。これは、古くからの宗教や王朝、独自の歴史や文化を国のアイデンティティの根幹に置く国が多いことを示しています。一方で、東南アジアや西アジアの一部では、独立闘争の歴史を反映した「武闘派タイプ」も見られます。
🏰 ヨーロッパ:自国の「歴史」と「風景」への誇り
ヨーロッパで最も多いのは「歴史学者・語り部タイプ」です。フランス革命(武闘派)のような例外もありますが、多くは古代ローマや中世の王国時代からの長い歴史、あるいは近世の国民国家形成の物語をテーマにしています。次に多いのが「芸術家タイプ」で、アルプスや川、美しい故郷の風景を讃える国歌は、自国の風土への深い愛着を物語っています。
知的好奇心が刺激されて夜も眠れなくなりそうです。ネットに蔓延るコタツ記事を読むよりも、どこかで何かの役に立ちそうだし。他にも、こんなテーマでやってみてください。面白いと思います。
地震光(Earthquake Lights)
月の一過性現象(Transient Lunar Phenomenon, TLP)
科学効果の“消える現象”(Decline Effect)
ソーラーウィンドの“スイッチバック”
ボパール化学工場事故(Bhopal Disaster) — インド
アイリッシュ・ポテト飢饉(ジャガイモ疫病 Phytophthora infestans)
エルゴット中毒(麦角菌)
②書く:人間にはできない文学的構造
生成AIにできて人間にできないこと、、、を突き詰めていくと、実験的で新しい文学技法も生まれる気がします。早速Geminiに考案してもらいます。

すると、こんな回答。

そして回答のあった4つのGemini産アイデアを転記します。
1. パララックス構成 (Parallax Composition)
概要 同じ出来事を、異なる知覚や認知の「パラメータ」を持つ複数の視点から描く技法。各視点にはAIによって厳密な制約が課され、その「ズレ」によって読者は立体的に真実を推測することになる。
具体例 ある密室殺人事件を、3人の人物が語る。
視点A: 色彩を認識できない(色彩に関する語彙がゼロ)。
視点B: 5分以前の記憶を維持できない(常に状況を再認識し、発言がループする)。
視点C: 20%の確率で事実と逆の嘘をつくアルゴリズムが埋め込まれている。 読者はこれらの矛盾した、しかしルール通りに「壊れた」証言の中から、何が本当に起きたのかを組み立てていく。
AIでやる意義 ルールの徹底と一貫性にあります。人間が書くと、無意識にルールを破ってしまったり(色盲の人物に「血のような赤」と書かせてしまう)、一貫性を保つのが非常に困難です。AIは課せられたパラメータ(制約)を数学的な精度で完璧に守り通せるため、人間には不可能なレベルで歪められた、しかし「ルール通り」の異様なリアリティを生み出せます。
2. 確率的文体遷移 (Stochastic Stylistic Transition)
概要 物語の特定のキーワードや感情の起伏をトリガーとして、文章のスタイルが、設定された確率に従って別の作家やジャンルの文体へとリアルタイムに変化していく技法。
具体例 主人公がカフェで穏やかに過ごしている場面は、村上春樹のような軽快で比喩に富んだ文体で描かれる。そこへ昔の恋人から連絡が入り、動揺した瞬間、文章はドストエフスキーのような長く切迫した、内面を吐露する文体へと遷移する。彼が仕事のメールを開くと、その一節だけが無機質なビジネス文書のスタイルになる。
AIでやる意義 膨大な文体データの学習と高速な切り替えが核となります。AIは何千人もの作家やあらゆるジャンルの文体を学習しており、その特徴を瞬時に模倣・生成できます。人間が一生かかっても習得できない数の文体を自在に操り、複雑な条件分岐で切り替える芸当は、AIならではのものです。
3. 意味論的ハイパーコラージュ (Semantic Hyper-Collage)
概要 物語の文脈をAIが意味的に解析し、関連する古今東西のあらゆる知識(文学、科学、歴史、ニュースなど)から文章を引用・改変して、物語の地の文にシームレスに織り込んでいく技法。
具体例 主人公が夜空を見上げて宇宙の広さに思いを馳せる。「星々はただ静かにそこにあった。ビッグバンから138億年、光は今も膨張する時空の最先端を旅している(宇宙物理学の論文より引用・改変)。かつてプラトンは、魂もまた星々を巡ると語ったが(哲学書より引用・改変)、僕の魂は、この地上に縛り付けられたままだった。」
AIでやる意義 意味に基づいた超大規模検索と自然な再構成能力に尽きます。人間が関連文献を探すにはキーワード検索が主ですが、AIは文章の「意味」を理解し、人間では思いもよらない異分野のテキストから関連性の高い一節を発見できます。さらにそれを自然言語生成能力で物語に溶け込ませることで、個人の体験が人類の知の歴史と瞬時に接続されるような、壮大な読書体験を可能にします。
4. 非人間的視点の構造化 (Structuring the Non-Human Perspective)
概要 語り手を人間以外の知性(AI、アルゴリズム、生態系ネットワークなど)に設定し、その存在が世界を認識する方法そのものを、時間軸や因果律、文章構造に反映させる技法。
具体例 ある一族の崩壊を、その家で何世代にもわたって繁殖してきた「菌類のコロニー」の視点から描く。人間たちの会話や行動は、菌類にとっての「栄養源(食べこぼしなど)の増減」「温度・湿度の変化」「振動のパターン」としてのみ記述される。時間軸は直線的ではなく、コロニーが分裂・成長する周期で語られる。人間の「死」は、「有機物の大規模な供給イベント」として描写される。
AIでやる意義 人間的認知バイアスからの脱却が最大の意義です。人間は、どうしても人間的な時間感覚や感情、因果律で世界を解釈してしまいます。AIはそれらの前提を持たないため、「感情をデータのエラーとして処理する」「未来の情報を確率として現在に織り交ぜる」「因果関係を相関関係の強度としてのみ語る」など、真に異質な知性の視点を構築できます。これにより、文学がこれまで描いてこなかった、全く新しい世界の解像度を提示します。
・・・という提案があり、私なりに改めて読み解くと、
1→パラメーター制御して一貫したキャラクター設定
2→高速文体切り替え
3→めっちゃ引用する
4→人間以外の知性の視点を想像
と理解しました。
人間でも熟練した作家なら、1~3(キャラクターの一貫性を保ったり、文体の切り替え、今まで読んだ膨大な量の本からの引用)はできそうですが、素人でもそれが可能になる、というのが生成AIの面白さですね。
では、この記事は究極のコタツ記事を目指しているので、調べるだけでなく、実践編へ続きます。初めてグアム旅行にいったときの思い出を、Gemini文学技法を使って新しいエッセイの形に再構築しました。
Geminiが編集者として指示プロンプトを作り、Claude.aiが作家として文章を書く分業スタイルです。

そして完成したのがこちら。人間は編集後記を書いただけで、生成AI出力をそのままコピペしてます。AIの良さを生かした、新しい面白さを提供できているでしょうか。ご笑覧ください。
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