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推し活日記|スタバで「お人間さん」を名乗る覚悟について


スタバの登録名を、「お人間さん」にした。

これは軽い気持ちだった。
人はだいたい、軽い気持ちで人生を間違える。


「お人間さん」とは、
にじさんじのVtuber 「ルンルン」が
リスナーを呼ぶときの名前である。

ルンルンは人間のことや世界のことを
観察し、学んでいる
白いふわふわとした愛らしい猛獣だ。


たまたま視聴していた私もいつのまにか
立派な「お人間さん」になっていた。

ルンルンが、ふんわりと柔らかに「お人間さん」と呼びかけてくれるのが好きだった。


だから、日常にも取り入れてみた。
よりによって、スタバで。


モバイルオーダーは残酷だった。
入力した名前は、世界に対する宣言になる。


受け取りカウンターに近づくにつれて、
私は思った。
本当にこれでよかったのか。
冬なのに、冷や汗が流れる。
動悸が止まらない。


そして、避けられない瞬間が来た。
名乗らなければ、コーヒーはもらえない。


「モバイルオーダーした……お人間さん、です」

何様だよ、と思った。
言った瞬間、自分で一番思った。



店員さんは一瞬だけ時を止め、
何もなかったように
笑顔でカップを差し出してくれた。プロだ。


カップには、はっきりと
「オニンゲンサン」
と書いてあった。


家に帰ってコーヒーを飲みながら、
私は思った。
この羞恥と引き換えに得たものは何だったのか。

答えは簡単だ。
ちょっと楽しかった。


日常に推し活を取り入れると、
こういうことが起こる。
世界は何も変わらないのに、
自分の立場だけが、少しずれる。

そのずれが、意外と楽しいものだ。



でも次はもう少し、
無難な名前にしようと思う。

たぶん。

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