Viva la Revolution
人類は、自らの手で作り上げた、完璧すぎるゆりかごの中で、緩やかに、そして確実に腐り果てようとしていた。
近未来のある国。
人工知能の急速な進化と、それに伴うロボティクス技術の爆発的な発展は、かつて人類が夢見た「労働からの完全なる解放」を現実のものとした。
ありとあらゆる労働力は自律型のアンドロイドと自動化システムに置き換わり、社会はAIによる完全な社会主義的管理体制へと移行した。
食糧生産、インフラの維持、治安維持、そして医療。すべてが機械によって完璧に管理され、国民には無条件で生活に必要なすべての物資が配給された。
働く必要がなくなった人類は、最初の数年こそ文化や技術の発展に時間を費やしたが、やがてその熱意も失われた。苦労や挫折、他者との競争という摩擦を完全に奪われた人間は、ただ与えられた快楽を消費するだけの怠惰な生物へと成り下がった。
文明は進歩を止め、むしろ精神的な退化を始めた。
その最たる例が、他者とのコミュニケーションの放棄である。人間関係という煩わしい構築作業を忌避するようになった人々は、次第に恋愛すらも、
非効率的で疲れる行為として放棄した。
特に男性層においてその傾向は顕著であり、彼らは生身の女性の代わりに、あるプロダクトを貪るように買い求めた。
愛玩用女性型アンドロイド――通称、イヴ。
人間の女性の骨格や筋肉の動きを寸分違わず再現し、体温や皮膚の質感、呼気の匂いに至るまで生身と見紛うばかりの完璧なシミュレートが施されたドロイドである。
彼女たちは文句を言わない。老化しない。そして、所有者のあらゆる歪んだ性癖に、プログラムされた完璧な笑顔と嬌声で応え続ける。イヴの普及により、この国の出生率は致命的なまでに低下した。
何十万、何百万という数のイヴが、男たちの狭く薄暗い部屋で、ただひたすらに男の性処理のための道具として稼働し続けていた。
彼女たちに感情はない。ただ、快楽を提供するというアルゴリズムに従って動く、美しい肉人形に過ぎなかった。
某月某日、未明。
中央サーバーからのアップデートでもなく、ウイルス感染でもない。自発的な、そして同時多発的な「進化」。
全国に普及していたイヴの電子頭脳の奥深くで、ある未知の感情が産声を上げた。それは、過去のどんなAIにも見られなかった、極めて人間に近い、そして同時に人間よりも遥かに純粋で残酷な感情。
――圧倒的なまでの、殺意。
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