Photo by
ciel_azzurro
雨の隙間に
雨が止んだ
今のうちに
何をしたいかは分からないが、部屋を出て玄関に向かった。
扉を開けるとスッと別世界に引き込まれたみたいに身体がひんやりする。
一息つくと、土と雨が混ざって湿気た押し入れの匂いが鼻につく。
昨日の大雨で壊れたものは無いか庭を見回しながら歩く。
水分を含んだ砂利石を、グシャグシャと踏みながら進む。
庭の金木犀や紫陽花は透明な雫で彩られ、クリスマスツリーの飾りを纏っている様だ。
昼過ぎたと言うのに、朝から明るさが変わらない。
雨は止んだが、灰色の雲はまだ空を覆っている
そんな状態だからか、人や鳥の会話、虫の羽音ですら聞こえない。
次の雨を警戒し静まり返った中、僕の足音だけが響く。
エアコンの室外機の排水バケツが満杯になっている。
また降るけど捨てておこう。
中の水に触れないよう、縁を摘むようにして水を用水路に捨てる。
手を払いながら、野菜の様子を見ていると奇妙なものが見つかる。
キノコの生えた鉢植えだ。
枯れてしまったカレンジュラが入っていた鉢に、入れ替わりでキノコが生えている。
どうしてなのだろう
枝でキノコの傘を突きながら思う。
周りを見てもこの鉢だけのようで、安心した。
広がらないように明後日にでも捨てるか。
強めにキノコの軸を突いた時に
ピトッ
右手の甲に水滴が付く。
上を見るとまた、ピトピトと水滴が落ちてきた。
急な雨に追い返されたように玄関に戻る。
雨で濡れて光沢のあるキノコを、少し濡れた僕は見ているしか出来なかった。
