【駄文6】博士と不死鳥の騎士団 -やさしい令和-
サムネ画像:コニシ木の子さんの記事より抜粋
前話はこちら(読まなくてもたぶん分かります
。)
【登場人物】
博士
子供部屋おじさん。親が金持ち。還暦。
蝿男
首から上が蝿。博士部屋在住。地の文担当。
旧ジャニ
イケメン男。博士部屋在住。詐欺行為しがち
「暴力はダメだと思います!」
旧ジャニが突然叫び出した。
「気が触れた。」と俺は思った。
優秀なヤツだが、非常識だから時に困惑する。
「イケメン君。どうしたんだい。お昼ご飯が気に入らなかったのかい?」
まあ博士にしてみりゃそんな所だろう。
「違いますよ。私は居たくもないこんな六畳間に軟禁されて、コレが暴力以外のなんだっていうんですか?」
博士も俺も、無視する事にした。
話に成らないからだ。
誰が国会議事堂外で、好んで野党と話をするか、と云う道理である。
「また無視ですか?それなら帰らせて頂きます。」
そう言って旧ジャニは家に帰ろうとしたが、此処に連れて来た時に、家までの道順は分からない様にアイマスクを着用させて来た訳であり、つまりヤツは家に帰れ無い。
万一帰れたとしても、全身にAirTagを埋め込んで有るので、一生iphoneに怯えながら暮らす事に成るだろう。AirTagのエネルギも旧ジャニ本体の神経と繋げて有るので電池切れの心配も無い。
「何が不満なんですか?金?女?名誉?
あ!名誉ですか?」
博士の満足は三つしかないらしい。金が有るから女は何とか成る。名誉だけは本人の実力と関係して居る為、今博士は仕方が無く研究をして居る訳だ。初めて動機が明確に成った。
「蝿男など、三つともないのに、幸せそのものではないですか?
幸せを追い求め過ぎると逆に不幸になりますよ?」
糞人間の癖に、俺を引き合いに出して急に哲学的な事を云うものだ。
所詮手塚治虫の漫画の受け売りか何かだろう。
「とにかく家もしばらく空けているし、一度帰らせて下さい。」
旧ジャニは智慧の効く男だ。一度でも帰したら道順も知れるし、俺達の考え付かない方法で姿を眩ますに決まって居る。
「そこまで言うのであれば、一度帰りなさい。キミ。運転して差し上げなさい。」
博士はそう言って軽トラの鍵を思いっ切り投げ付けて来た。まるで少年野球体験児童の初めてのキャッチボールの様に。
まあ、力加減を知らないので仕方が無い。
*
然して、旧ジャニ宅に到着した訳だが。
俺は軽トラの荷台に括り付けた旧ジャニの緊縛を解き、アイマスクを外して、大川栄策ばりのタンス運びの要領で玄関先まで運び込み、チャイムを押下した。
あ。間違えた。チャイムは押さなくても良かった。
すると、中から20代女子がワンサカ出て来た。全員選りすぐりの美女で有る。
それを迎え討つのが、俺こと「蝿男」だったものだから、美女達は一瞬怯んだが、持っていた金属バットやら3番アイアンやらサンドウェッジやらでタコ殴りにされた。
*
気を失って居た様だ。
全身が痛い。床が冷たい。首が重い。血の匂いがする。視界が鉄格子に囲まれて居る。?
俺は鉄仮面を被せられて、牢屋に閉じ込められて居た。ガッデム!
「具合はいかがですか?」
旧ジャニは鉄格子の下の隙間から何やら平皿を差し入れて来た。
見ると、ぬるくて気の抜けたビールが入って居るでは無いか。俺は蝿ゲノムが優勢と成り、気付いたらぴちょぴちょと皿に口吻をくっ付けて飲んでしまった。
「あ。別に毒ではないですよ。喉乾いたかなと思いまして。
私は暴力の類は嫌いですから。でも逃げられたら困りますので、しばらくここに居ては貰いますよ。」
拍子抜けするでは無いか。
だが、妙に優しい、では無いか?
俺が暫く忘れて居た、暴力に支配されて居ない世界、では無いか。
…!
俺は勘が鋭いから直ぐに気が付いた。
コレは俺の信念を狂わせる為の、新たな拷問方法である!
(つづく)
