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maumau_5
港町の記憶【額に入った夕暮れ】
「サユミの事が好きだ。」
踊り場で、俺はユウゴに打ち明けた。
「サユミ?」
ユウゴは変な顔をしている。
「普段女の話なんかしないのに、どうしたんだ突然。」
「ああ。でも俺はサユミの事が好きなんだ。オマエには言っておきたくて。」
「誰だよ、サユミって?」
「…え?いつも三人で遊んでるじゃないか。」
「俺とオマエと"サユミ"の三人で?
本当に分からないよ。"サユミ"?…」
「何言ってんだよ!塾も一緒だし、先週もベイエリアで遊んだだろ。」
「オマエ勉強のし過ぎだよ。少しは寝ろよ。妄想と現実がごっちゃになってるんだよ。」
俺は、分からなくなった。
サユミは港町の中学で、俺たちは山の中に住んでいて。
「ベイエリア」は間違いなくあって、でもそこにはどう行くか分からなくて。
サユミの顔も声も髪の香りも、打ち明けるまでは覚えていて。
俺は…確かに誰かのことが好きだった。
踊り場に飾られた絵は、港町の夕暮れを描き出していた。
