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掌編小説|SOLID AIR(3)

二番ホームは閑散としているようで、それは俺がいる場所だけだった。
壁の裏側に回ると学生や外国人などがごちゃごちゃして、ベンチにもたくさん人が座っていた。
あーなんかやだな、と思った。
だからまた壁の向こうに戻った。
線路を挟んだ向こう側の一番ホームは人が疎だ。錆びた鉄骨と波板でできたホーム。自動販売機だけが最新型で、Bluetooth対応、みたいな表示がされている。
一番ホームに電車がずっと停まっている。特急列車。俺はそういう風景をただただ眺めているのが好きだ。彼女が昨日死んだ。
ニ番ホームに普通列車が入ってきた。
扉が開いて、一人だけ降りた。俺が乗り込むと電車がすぐに動き出した。いつもと同じ、むかつく広場が見えてくる。イヤホンにはくるりの「ばらの花」が流れている。隣の部屋のヤツが真夜中に歌ってたのを思い出した。こんな曲に合わせて、ランダムに歩いた。そして今ここにいる。
空港に行きたいと思った。
空港のデッキから飛び立つ旅客機を見たいと思った。そこで働く人たちの様子を見たいと思った。昔からくだらない迷路に付き合いきれず、壁沿いに進んだ。だから俺は知らない事が多すぎる。空港で働く人のことも知らないし、今乗っている電車のことも知らない。でも彼女はたくさんのものを知り過ぎた。俺みたいにスニーカーの踵を踏みつけたままどこにでも行けばよかったのだ。彼女も頑張っていた。頑張って俺みたく屁をこいたりしてだらしなくしようと努めていた。
空港は外国人だらけでうるさい。息苦しくなってきて頭が痛くなった。人気のないところを探しながら、空港デッキの方へと進む。デッキにも外国人の子供が出窓に乗り出し、興奮して騒いでいる。
『展望デッキ』と書かれた鉄のドアがあった。誰も気づいていない。俺はそのドアを開けて外に出た。
四月の寒い風がびゅーびゅー吹いていた。髪の毛が風に持っていかれて横分けになった。人はほとんどいなかった。地元の人が数人いるだけだ。
デッキの前の方に出ると、飛行機が何機もうろついていた。今にも飛び立ちそうな機体もあったし、向こうの方では着陸して減速しているのもあった。
誘導している人や、航空コンテナを運ぶバギーみたいな車も走っていた。こんなところで彼女は働いていたのか、と思った。

(終わり)

#なんのはなしですか

こちらの曲の歌詞を元に創作しました!

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