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【毎週ショートショートnote】髭は恋をする。

「いでぇでぇでぇでぇ!」
シュレッダに紀香の髭が挟まれている。

近くの席に座る陣内は、落ち着き払った手つきで停止ボタンを押した。

「ステキやん」
紀香は一瞬で恋に落ちた。

「何でやねん!」
「それ、ワシのことやないかい!」
「そんなわけ、無いやろ!」

切れ味鋭い陣内のツッコミ。

紀香は今まで全く気づいていなかった。
彼は周囲の言葉を聞き逃さず、その内容を分析し、一番言って貰いたそうな事を置いて行っているのだ。
何となく叫んでいるだけとしか思っていなかった…

明くる日の朝。

紀香は髪型を変えて出勤した。
陣内はどうツッコんでくれるのかな?

「お。紀香!
ええなあー。
髭整えたんやなあ。
凄くええ思うわ。」

「ちゃうやん!
髪型やん!
何やねん陣内は!
気付けへんのかい!
女心言うの全然分かってへんやん!
結局うるさいだけやん自分!
いい加減にせぇ!」
図らずも、するするとツッコミワードが出てきたのだ。

陣内は綺麗な二重瞼で見つめながら、

「ええやん。自分。」
と言った。

(411文字)

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