Photo by
ki50fif
毎週ショートショートnote|ときめきトゥーシューズ
ベッドにへばり付いた身体を無理矢理引き剥がす。
一歩目を踏み出そうにも床が見える所などなく、仕方なくモノを踏みながら歩いて行く。
鏡に映る自分の姿は部屋と同じで、色んなものがデコレートされて忙しかった。
でも、どんなモノにだって思い出はあるし、いつか脚光を浴びる日が来るかも知れないと思うと捨てることは出来なかった。
顔を洗うと左のつけまつ毛が少しだけ剥がれ、視界の一部が遮られた。ネイルアートは傷だらけで、それでも粘り強く鈍い光を放っている。
壁一面に貼られたポスターは、自分の八方美人を突きつけられているようで、見る度に気分が落ち込んだ。
左の視界を遮る黒い塊を剥がし、ゴミ箱に捨てた。そのままポスターも全て剥がした。
ベッドサイドに並んだ、眼鏡、香水、ぬいぐるみ、充電ケーブル、指輪、髪留め。全て45リットルの透明袋に入れた。
真っ白になった部屋の真ん中には、トゥーシューズが一組あって、その上に私という人間だけが乗っかっていた。
410文字
毎週ショートショートnoteに参加しています
