ショートショート|『変な家』に間取りをパクられた変な家のはなし
「私の家の間取り」のはなしをさせて下さい。
雨穴さんの『変な家』って本をご存知ですか?
ウチって、あの家の間取りと、全く同じなんですよ。
あれは、数年前の仕事帰りだったかな。
なんとなーく、本屋に寄ったんですよ。
そこで立ち読みしたのが、『変な家』だったんです。
もう最初は
「え?はぁ?なんでなんで?」
って感じでしたよ。
そりゃ、そうでしょ?
ウチの間取りが勝手に本になって出版されて、しかもベストセラーになって、平積みになってるんですよ。
しかも、「変だ変だ」と散々書かれた挙句、あらゆる角度から分析されて、勝手なストーリーをぶち込まれて。
そこまでされても、私には一円も入ってこないんですよ。
この本を読んで、別の意味で背筋が凍りましたよ。
まあ、ウチは確かに変な間取りなのは認めますけど、リフォームし過ぎて訳がわからなくなっただけだし、ツーバイフォー工法の家だから、間取りの自由度も低くて、その結果、意味不明な壁が残ってしまったり。
本当に、ただそれだけなんです。
確かに使いづらいですよ。
子ども部屋だって、窓がないし。
でも、元気に暮らしてますよ。
いつも、ワイワイガヤガヤうるさいくらいです。
夫婦仲も円満ですし、特に経済的にも問題ないと思いますね。
両親ももう高齢ですから、ウチに連れて来ました。
そのとき、また少しリフォームしたり、というのはありましたけども。
そりゃ両親とは、プライバシーの関係とか、適度な距離感っていうのも、お互いあると思いますからね。
妻のリクエストも取り入れましたね。
具体的には、ですか?
まあ…。例えばですけど、両親の部屋を密室にしたり、とかですかね。
(終わり)

