毎週ショートショートnote|雨乞い難民
環は二年生のときにこの学校に天候してきた。前の学校でもそれなりに楽しくやっていたけれど雨が全然降らないから、天候した。
隣の席の境さんはたまに学校に来る。
欠席の日は、担任のカーサ先生が境さんの机の上に花瓶を置いた。環は先生がそんなことをするから境さんが来なくなるんじゃないかと思った。
境さんはその朝、学校に来た。来てすぐ花瓶の腐った水を流しに空けて、先生の机に置き直した。
一時間目が始まった。カーサ先生の古典の授業だった。小さい家で暮らす良さをアピールする随筆だった。そこは三メートル四方の広さで、つまり今に直すと四畳半より少し広いくらいだった。
環の部屋は四畳半だったから、「広いじゃん」と呟いた。境さんがそれに反応して「広いよね」と言った。
窓の外は少しずつ曇り始め、雨が降り始めた。授業は中断された。みんな図工の時間に使う筆洗いを持って、グラウンドに出た。
カーサ先生だけが花瓶を持っていた。
環は雨に打たれながら、天候して良かった、と少しだけ思った。
430文字
毎週ショートショートnoteに参加しています
