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超短編小説|涙の行方

だるま落としの要領でマンションの階が下がって行く。私はかつて五百階に住んでいたのだが、今は五階だ。巨大な木槌を握った一つ目の怪物が、かつて四百九十六階だった一階を叩き飛ばす。その勢いで更にカン、カン、カンとリズムに乗って三階分飛ばした。ついに私の階が一階になった。窓の向こうの景色を眺めると見覚えのある顔があった。母だった。私は窓を開けた。「久し振りね…」と母は言った。私は窓を乗り越え、母に抱きついた。涙が止まらない。それを見ていた一つ目怪物の瞳からも大きな一粒の涙がこぼれた。その涙はpH値が1で私と母に直撃した。

#なんのはなしです家

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