見出し画像

掌編小説|どうでもいい家

どうでもいい家は平屋で三角の屋根だった。
そこには重要な人物が住んでいた。重要な人物は猟銃を持って山にウサギを狩りに行く。別にウサギを食べたいとは思わない。でもまあ、食べられればいいかなあ、くらいの感じだった。松の枯葉が敷き詰められたような森の中に重要な人物はずんずん入っていく。まったく動物の気配はない。それでも構わず、彼はめちゃくちゃに森の中を歩き回り、ウサギを探した。重要な人物はそんな感じで夕方まで森の中をうろうろしたので疲れてしまった。太陽はもう真っ赤に燃えていて、あたりは少し薄暗くなり始めていた。重要な人物はそろそろ家に帰ろうと思ってまた森の中をめちゃくちゃに歩いた。そこにウサギが一羽ぴょこん、と現れた。重要な人物は猟銃を構えて、ウサギに照準を合わせた。ウサギはぴょんと跳ねていなくなってしまった。重要な人物はウサギが跳んで行った方向に向かって歩いた。すると、どうでもいい家が見えてきて、窓からぼんやりと暖かな光が漏れていた。重要な人物はウサギのことは諦めて、どうでもいい家に帰ることにした。中には、まるでウサギのような白くて可愛らしい妻が夕飯の支度をしていた。重要な人物は猟銃を構えて照準を合わせた。可愛らしい妻はぴょんと跳ねていなくなった。重要な人物は家を出て、妻が跳ねて行った方向に向かって歩いた。森の中はもう真っ暗で森の木々たちもすべて幹に顔が浮かび上がり始めていた。重要な人物はそんなことには一切構わず、ずんずんと森の中に入って行った。

(終わり)


#なんのはなしですか
#自動筆記

【自動筆記、的な方法で書いてみました】
割といつも自由に書いているのですが、「こんな感じのはなしが書きたいなあ」というイメージがあって、そのイメージが消える前に、ワーっと書きます。
最近不調ということもあり、書きたいなあ、の前に陳腐だなあ、そんなこと書いたってなあ、が勝ってしまうことが多いです。
これはタイトルから何から何も考えずに『自動筆記』的にやってみた、というやつです。
とは言え出来るだけキチンとしたはなしを書こうとは意識しました。そういう意味では自動筆記とは言えないです。目的は不調を脱することなのでそこまで追求はしていません。
自動筆記を本気で取り組んでいる方、中途半端に利用して申し訳ありません。

いいなと思ったら応援しよう!