【駄文4】博士とアズカバンの囚人 -特殊詐欺-
前話はこちら(読んでも読まなくても同じです。)
【登場人物】
博士
子供部屋おじさん。親が金持ち。還暦。
蝿男
首から上が蝿。博士の部屋に在住。
「キミ。おかしいぞ。」
朝から博士が五月蝿い。
「キミ。イケメン君のモニター期間はとっくに終了しているのだが?」
終了してるなら、自分でその旨伝えれば良いじゃ無いか。
「イケメン君」と言うのは博士の発明品、「ボッッコちゃん」の14日間お試しモニターに応募して来た、20代旧ジャニーズ事務所系イケメンのことである。
確かに、もうかれこれ30日は経過して居る。
「キミ。14日間と、ちゃんと伝えたのか?」
本当に放って置いて欲しい。
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が良い所に差し掛かって来たのに。
「キミ。聞いているのか?電話を掛けて確認してみてくれたまえ。」
俺の口は「口吻」だ。
俺は蝿男だから発話不能なのだ。
「キミ。そうやって蝿であることを利用して仕事を放棄するのか?」
膂力では圧倒的差がある。博士は武力行使を厭わない。仕方がない。やるか。
三秒おきにメールを送り付ける簡単なプログラムを作成した。
先ずはメンタル攻撃だ。
蝿男以前、俺は色々とやって来たのだ。プログラミングもそのひとつだ。
敵が網に掛かった。未読無視をして居る様だ。このパソコンはハッキングだ。
遠隔操作して見ると……やってやがる。
博士の特許を侵害して、『ボッッコちゃんサイト』を立ち上げてやがる。
何故かメールボックスに、注文も来て居るぢゃないか。あんな糞みたいな代物なのに。
代金の振込先を博士の通帳番号に変更してやろう。パスワードなんて、「○×方式」で簡単に撃破出来るのだ。
本当であれば警察に突き出してやっても良いのだが、そもそも俺達は社会的信用が無い。依って、私刑だ。
博士は生粋の「子供部屋おじさん」で在るから、三大欲求が爆発しない限り、この二階の六畳間から一歩も出ない。尚、出ても役に立た無い。
俺は博士の許可を得て、軽トラで旧ジャニ宅へ向かった。
*
『オイ!』
とスケッチブックに記載し、旧ジャニの枕元で待機して居る。
異変に勘付いて、旧ジャニが起床する。
俺はピン芸人の様に、譜面立てに設置したスケッチブックを捲った。
『お前、やりやがったな!』
「あ。いや。違うんです。聞いて下さい。」
『何を聞くって言うんだ?』
「ほら。あのAI搭載機能がどれくらい通用するか、試してみたくなったんです。もちろんお試しです。」
『何言ってんだ。お前の通帳に代金が振込まれる様にしてたぢゃ無いか。』
「何で話が噛み合うんだ?いや、何で俺の通帳に振込まれるとか知ってるんだ?あれ?違う。それはメールの応募フォームからしか行けないヤツだから、ネット上では無料になってるはず。あれ?寝ぼけて要らんことまで言ってる?」
俺は予めスケッチブックに記載した、最後の頁を捲った。
『全てお見通しだ。警察に行きたく無ければ俺と一緒に来い。』
「あーもう。分かりましたよ。」
*
博士は勿論、旧ジャニをシリアのアレッポかと思うほど徹底的にボコボコにして、半殺しを経由させ、従わせた。
コソコソ詐欺行為などして居るから天誅が下るのだ。
漢は黙って武力行使なのだ。
米中露を始めとする世界強国スタイルなのだ。
ワールドスタンダードなのだ。
こうして、この狭い二階の六畳間に成人男性三人が暮らすことと成った。
正義は勝つ!
(つづく)
