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『魔法社会物語』小笠原村編1

小笠原村診療所に助けを求める知的水棲モンスターの様子


魔法大陸出現から数年、南方の離島にもその影響は及びつつあった。小笠原諸島の海域に棲息する「知的水棲モンスター」は、近年になって急速に言語能力と社会性を発達させ、人間と基本的な意思疎通が可能となっていた。


ある嵐の明けた日、一体の水棲モンスターが島の浅瀬に現れ、明らかに苦しげな様子で身を横たえた。その体には魔力の異常な流れを示す紫色の発光が見られ、局所的な鱗の損傷も確認された。目撃者が110番通報し、応急措置を施したのは、小笠原村診療所の医師と看護師だった。


診療所の医師は、かねてより東京都の魔法災害対策会議に参加していたこともあり、水棲型生命体に対する基本的な医学的対応訓練を受けていた。魔力測定器を用いて負荷の分布を確認し、古代魔法語を用いた簡単な会話で、苦痛の原因が海底鉱石の放射線にある可能性を把握。


モンスターは診療所の裏手に設けられた海水槽に一時保護され、魔力抑制薬の投与と安静を経て、徐々に回復の兆しを見せた。島民の一部は当初、不安を示したが、診療所が公開した説明会によって理解が進み、現在では「海の隣人」として見守る空気が広がりつつある。

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