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#63-副業を5か月で本業超え、2年で1億円で売る型


副業を始めて5か月。月の利益が、会社員時代の月給を超える。
9か月で退職。会社の口座には、1年分の生活費(約1,330万円)が貯まっていた
退職から2年後、その副業を約1億円で他社に売却。

これが27歳の英国人エンジニアが、年収1,400万円の大企業EC部門のキャリアを「副業」に変えてしまった話です。

今日はこのpodcastを聞きました。
The Side Hustle Show 第736回「Replaced His Salary in 5 Months and Set Up a $700k Exit」(2026-04-30配信)
ホストはニック・ローパー(Nick Loper)。会社員でも始められる副業の収益化実例を、毎週ゲストを呼んで取材する番組です。

主役のジェイデン・クラーク(Jaden Clark)が選んだのは「高単価ドロップシッピング」。聞いただけだと「中国仕入れの怪しい在庫ゼロ商法」を連想する人が多いと思いますが、彼がやったのは真逆の正規ルート。今回は本編に加えて、ホストが運営するSide Hustle Nation の番組ノート、ジェイデン本人が運営する 1% Ecom Club(skool.com 上のオンラインスクール)を直接あたって、構造を整理しました。


「2週間の休暇」で目が覚めた27歳

ジェイデンは英国の大企業(売上数千億円規模)のEC部門で運用責任者をしていた人です。大学を出て、いい会社に入って、毎年昇進し、給与も上がっていた。「これが大人の正解」と全員に言われる人生を歩んでいました。

転機は27歳のとき、1年がかりで楽しみにしていた妻との海外旅行。最高の2週間を過ごして、英国の自宅に戻ってきた瞬間、ジェイデンは凍りつきました。

「これから40年、50年、自分はこの『年に1回の旅行』のためだけに、それ以外の50週間を耐えて生きるのか」。

本人の言葉では「ガラスが割れた瞬間(the glass shattering moment)」。会社員人生の全前提が、その日、彼の中で崩れました。

ただし、ジェイデンは慎重な人でした。「明日辞めてやる」と勢いで動くタイプではない。妻もいて、住宅ローンもある。「段階的に抜ける道を作る必要がある」と判断します。

副業として何をやるか。彼が出した条件は3つでした。

  1. 物理商品を売る(自分が興味を持てるから)

  2. 在庫を抱えない(失敗したときの損失を抑えるため)

  3. 顧客数が少なくても回る(本業しながら捌けるため)

この3つ全部を満たすモデルが、結果的に「高単価ドロップシッピング」でした。


「高単価ドロップシッピング」とは何か

「ドロップシッピング」と聞いて、AliExpressや中国工場から1個500円のスマホケースを「在庫なし」で売る怪しいモデルを思い浮かべる人が多いと思います。あれは詐欺に近いと、ジェイデン自身も話しています。「顧客はいつ届くか分からない安物を買わされ、店主は不満の処理に追われる。続かない」。

ジェイデンがやったのは別物です。

売る商品は、北米・英国の正規ブランドメーカーが作る1,000ドル(約15万円)以上の高単価品。具体的には:

  • ガゼボ(庭に置く大型の屋根付き構造物)

  • ペルゴラ(庭の屋根棚)

  • 屋外キッチン

  • 大型グリル

  • 火鉢(fire pit)

  • 庭用ファニチャー

  • 別のサイトでは: 車のメカニック工房用の機材(リフト・工具収納・ベンチプレス)

仕組みは、

  1. ジェイデンが Shopify でサイトを立ち上げる

  2. 正規ブランドメーカーに電話して「貴社の商品を私のサイトで売らせてください」と卸契約を結ぶ

  3. サイトで顧客が買う

  4. 注文情報をメーカーに渡す。メーカーが顧客宅に直接配送

  5. ジェイデンの取り分は、卸価格と販売価格の差(20〜40%)

ここがポイントです。ジェイデンは在庫を一切持たない。顧客が買って初めて、メーカーから配送される。だから、「売れなかった」リスクが構造的にゼロ。

代わりにジェイデンがやることは、Google広告 + SEO で集客して、電話で顧客対応するだけ。


5か月で本業給与を抜くまでの数字

ジェイデンの最初のサイトは庭・屋外リビング系。具体的にどう立ち上げたか。

1か月目: ニッチを決める+サプライヤー獲得

彼は「庭に2万ドル(約300万円)かけるような富裕層の50〜70代男性」を顧客像にしました。そこから、その人が買いそうな商品全部(ガゼボ、ペルゴラ、火鉢、屋外キッチン、グリル)を扱える複合サイトにする。「1人の顧客に複数商品を売れる」設計にすると、顧客獲得コストが分散できる。

サプライヤー獲得には、50社のメーカーに電話。「貴社の商品を販売したい」と。最初の電話の30社は門前払い。それでも諦めず、しつこく電話して4社の契約を取り付ける。

ジェイデンの電話の型は明確でした:

「『商品の卸契約を取りたい』と言うと、相手はすぐ電話を切ろうとする。私は『御社の商品の中で気になっているものがあって、技術的な質問をいくつかさせてください』と聞き役から入る。製品の話で30秒くらい盛り上がってから、『実は私はリテイラーなんですが、貴社の製品を扱わせてもらえないか』と切り出す」

サプライヤーとの最初の電話で「ドロップシッピング」という単語は絶対に出さない。「リテイラー」「販売パートナー」と名乗る。これでハードルが大きく下がります。

2〜4か月目: Google広告でテスト販売

最初の売上は立ち上げから1週半後。約£2,000(約38万円)の屋外キッチンが売れた。「初売上は、嬉しさより安堵だった」とジェイデン本人。

集客に使ったのはGoogle広告。彼が徹底したのは「ロングテールの購入意欲が高いキーワードに集中する」こと。

たとえば「ペルゴラ(pergola)」だけの単一語キーワードは1クリック1ドル、コンバージョン率0.1%。1コンバージョン獲得に1,000ドル(約15万円)かかる。一方、「10フィート×16フィート オーク材 ペルゴラ」のような具体的なロングテールは、1クリック3ドル、コンバージョン率1%。1コンバージョン獲得は300ドル(約4万5,000円)で済む。

3,000ドルの商品で1コンバージョンが300ドルなら、十分採算が合う**。高単価だから、CPC(クリック単価)が多少高くても回せる**」。

5か月目: 月利益が会社員月給を超える

5か月目に、月の純利益がジェイデンの設定した目標「£7,000(約133万円、月収)」に到達。これは、彼の年収(£75K、約1,425万円)の月換算(£6,250、約119万円)を超える数字でした。

本人の言葉:「初売上はそれほど特別じゃなかった。月7,000ポンドに届いた日のほうが、はるかに大きな転機だった。会社を辞められると初めて確信した」。


9か月目に退職——「現金1年分」を確保してから

5か月で本業給与を超えても、ジェイデンはすぐ辞めませんでした。

「事業者として最初の数年は、必ず波がある。月によっては落ち込む可能性がある。そこで焦って判断ミスをするのが一番怖い。だから先にバッファを作ろう」。

9か月目、会社の銀行口座に£70,000(約1,330万円)の現金が貯まった時点で、ようやく退職。

ここが、副業から事業化する判断軸として印象的でした。「辞めるための数字」を、月収ではなく「現金備蓄1年分」に置く。月収が連続で本業を超えた瞬間に飛び降りる、ではなく、現金で1年分の生活費を確保してから飛ぶ。

このスタイルが日本人読者にも違和感なく刺さる理由は、日本人の慎重さと相性がいいからです。「もし副業が来月から半分になっても、1年は持ちこたえられる」。これが言えるかどうかで、退職後の判断の冷静さが変わる。


2年で売却額1億円——「売れる副業」の組み立て方

退職から2年後、ジェイデンは自分が育てたECサイトを米国のEC統合ファンドに**$700,000(約1億500万円)**で売却します。

ここに至るプロセスにも、副業を「資産」として組み立てるヒントが詰まっています。

売却を決めた理由は、皮肉なことに「燃え尽き」

ジェイデン本人が正直に話していました。「最初のサイトはオペレーション設計が甘く、何でも自分でやっていた。月£200,000(約3,800万円)の売上が立つようになっても、電話対応も、広告運用も、サプライヤー交渉も全部1人。完全に燃え尽きた」。

結婚記念日に妻と訪れたスパで、90分静かに横になっている時間が、ジェイデンには拷問だったそうです。「頭の中の事業の声が止まらない」。スパから出て、その日に「売る」と決めた。

売却プロセスは米国のM&Aブローカー経由

EC事業の売買は、欧米では普通にマーケットが立っています(Empire Flippers、Quiet Light Brokerage、FE Internationalなど)。ジェイデンはブローカー経由で買い手を見つけ、引き継ぎ期間3か月(通常より長い理由は、彼が業務を属人化させていたから)で売却完了。

買い手は「EC統合ファンド」だった

最近、欧米では「個人運営のEC事業を複数買い取って、運営チームを統合してコストを下げる」というEC統合ファンドが急増しています。ジェイデンの事業は、そのファンドにとって5件目の買収でした。

ここが日本の副業者にとって耳寄りな話で、「副業を売る」というEXITは、欧米EC界隈ではすでに仕組みとして整理されているんです。日本ではまだM&A市場が個人副業まで降りてきていませんが、バトンズやTRANBIなどの中小M&A仲介プラットフォームで、月商数百万のECサイトの売買は普通に成立し始めています。


なぜ今、日本でこれが効くのか

日本でこのモデルが効く理由は3つあります。

1. 高単価×ニッチ商品の正規卸ルートが手薄

日本で「庭ファニチャー」「車工房機材」「楽器(中〜高単価帯)」「業務用厨房機材」「3Dプリンタ周辺機器」「キャンプギア(高単価帯)」あたりのECを見渡すと、メーカー直販と楽天モール内の量販店、そして「設備系商社」しか上位にいない。正規ブランド × 専門ニッチ × Shopify個人運営の領域は、まだ薄い。

2. 日本のメーカーは「正規ルートのリテイラー」を歓迎する

日本のメーカーは中国系のドロップシッピング業者には強い拒絶感がありますが、「正規の屋号で、卸契約を結びたい」という個人事業主には、意外と門戸を開きます。建材・設備・園芸・楽器・業務機材といった専門領域では、地方の専門店経由の販売が主流で、メーカーは「新しい販路を作ってくれる人」を歓迎する文化があります。

3. 高単価ECは Google広告で個人でも戦える

低単価ECは、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの大手プラットフォームに駆逐されていますが、1個10万円以上の専門商材は、購入者がプラットフォームではなく専門サイトで比較検討する文化が残っています。Google広告のロングテール戦略は、日本市場でも完全に有効です。

具体的な日本版ニッチ候補:

  • 庭・屋外リビング系(ガゼボ、パーゴラ、ガーデンファニチャー)

  • 車のメカニック向け工房機材(リフト、工具収納、エアコンプレッサー)

  • 楽器(電子ドラム、デジタルピアノ、ハイエンドオーディオ機器)

  • 業務用厨房機材(コーヒーマシン、製パン機、業務用ミキサー)

  • 釣り・キャンプギア(高単価帯)

  • 補聴器・介護機材(高齢化市場、専門知識×高単価)


つまずきの3パターン——失敗の正体

ジェイデンが4年この型を回し(最初のサイトを売却した後も2サイト並行運営+スクール150人)、その中で副業者が詰まる場所は決まっています。

1. 中国系商品でドロップシッピングを始めてしまう

最も多い失敗。「AliExpressから安物を引いてきて、Shopifyで売る」モデルは構造的に詐欺に近い。顧客は配送日が分からず、品質も担保されない。レビューが落ち、Shopifyから停止される。正規ブランド × 専門ニッチが鉄則

2. 集客を「広い」キーワードから始める

「ガゼボ」「ペルゴラ」のような単一語キーワードでGoogle広告を回し、コンバージョン率0.1%で広告予算を溶かす。ロングテール商業キーワード(具体的な寸法・材質・ブランドを含む長い検索語)に絞ることで、コンバージョン率が10倍になる。

3. オペレーションを最初から組まない

ジェイデン本人の最大の反省。「副業として始めた頃の運用を、月売上3,000万円になっても続けていた。売却前提なら、月売上1,000万円を超えた瞬間にカスタマーサポートを誰かに引き渡す設計を作るべきだった」。属人化したまま事業を伸ばすと、買い手にとって価値が下がる。引き継ぎ期間が長引き、売却額も下がる。


今日できること

明日からの1週間で、3つだけ動いてください。

1. 「1個10万円以上で売れるニッチ」を10個書き出す(30分)
家族や友人が「あれ高いよね」と話す商品カテゴリを、思いつくまま10個リスト化。庭、車、楽器、釣り、キャンプ、ペット、業務用、健康・介護機器、3Dプリンタ周辺、楽器など。

2. そのうち1つで、日本のメーカー5社をリスト化(1時間)
Google検索で「ジャンル名 + メーカー」「ジャンル名 + 卸 + 取扱代理店」を叩く。正規メーカーの問い合わせフォームのURLを5社分メモする。

3. 1社に問い合わせる(30分)
「貴社の○○製品を、私が運営する専門ECサイトで取り扱わせていただきたい」とメール。返信があれば、卸条件・最低発注数・配送形態を聞く。返信がなくても、それが市場調査の第一歩です。

「副業を売る前提で組む」という発想は、日本の副業文化にはまだ薄いです。でも、月利益15万円のECサイトを2年かけて月利益100万円まで育てて、それを2,000万円で売る——というモデルは、いまの日本でも完全に再現可能なところまで来ています。


このnoteは、英語圏のビジネスPodcastを一次情報として、海外マイクロビジネスの最新事例を日本語に翻訳して届ける場所です。


参考情報

  • Podcast: The Side Hustle Show「Replaced His Salary in 5 Months and Set Up a $700k Exit - Ep. #736」(2026-04-30配信) https://www.sidehustlenation.com/high-ticket-dropshipping-3/ ホストはニック・ローパー(Nick Loper)

  • 登場人物: ジェイデン・クラーク(Jaden Clark)、英国の副業者→事業家。1% Ecom Club 創業

  • 登場コミュニティ: 1% Ecom Club(skool.com 上の高単価EC運営者向けスクール、約150人)https://www.skool.com/the-1-ecom-club/about

  • 言及ツール: Shopify / Google 広告 / Data for SEO API(キーワード調査)/ Ahrefs / SEMrush

  • EC事業売買マーケット:

  • 日本のM&A仲介プラットフォーム:

  • 注釈: 売上数字(5か月で月£7,000利益、9か月で£70,000現金、月£200,000売上、$700,000売却)はPodcast内でのジェイデン本人発言。Side Hustle Nation の番組ノートおよび本人運営の 1% Ecom Club コミュニティの稼働状況と矛盾なし。事業の売却額については買い手側非公開のため第三者一次ソースでの完全確認はできていない

  • ※為替は1ドル≒150円、1ポンド≒190円で概算

#副業 #副業収入 #マイクロビジネス #EC #ドロップシッピング #創作大賞2026 #ビジネス部門

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