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娘に会いたいとは言えなくて|る~なの店に来た75歳の父親の話


年齢を重ねると、不思議なことがあります。

会いたい人がいても、素直に「会いたい」と言えなくなるのです。

特に親子はそうかもしれません。

若い頃は忙しさに追われ、気がつけば子どもは大人になり、自分も老いていく。

本当は話したいことがたくさんあるのに、何から話せばいいのかわからない。

もし今、あなたにも「気になる人」がいるなら。

この物語が、少しだけ心を軽くするかもしれません。

今夜のる~なの店には、一人の男性が訪れました。

カラン――午後の陽だまりに訪れた客

カラン――。

扉のベルが静かに鳴りました。

入ってきたのは70代くらいの男性でした。

背筋は伸びていますが、どこか疲れた表情をしています。

ママは微笑みました。

「いらっしゃいませ。」

男性は小さくうなずき、カウンター席へ腰を下ろしました。

「ブレンドをお願いします。」

「かしこまりました。」

コーヒーの香りが店内に広がります。

しばらく二人とも何も話しませんでした。

やがて男性がぽつりと口を開きます。

「今日、妻の七回忌だったんです。」

ママは静かに耳を傾けました。

「そうでしたか。」

「娘もいるんですがね。」

そこで言葉が止まりました。

男性はカップを見つめながら続けます。

「来ませんでした。」

娘から届いた一通のメール

法要を終えた帰り道。

男性のスマートフォンにメールが届きました。

送り主は娘でした。

久しぶりの連絡でした。

そこにはこう書かれていました。

『お父さんへ

体調を崩して入院しています。

七回忌に行けなくてごめんなさい。』

男性は苦笑しました。

「私はね。」

「娘が来なかったことばかり考えていたんです。」

「でも、娘も大変だったんですよね。」

ママは静かにコーヒーを注ぎ足します。

男性は少し遠くを見るような目をしました。

「若い頃は仕事ばかりでした。」

「家族のためだと思っていたんです。」

「朝早く出て、夜遅く帰る。」

「子育ては全部妻任せ。」

「娘と話す時間なんて、ほとんどありませんでした。」

カップを握る手に力が入ります。

「それなのに、口を開けば厳しいことばかり言っていました。」

父親らしいことを何もしてこなかった

店内には静かなピアノの音楽が流れています。

男性は自嘲するように笑いました。

「娘が小さい頃、運動会にもほとんど行けなかった。」

「学校の話も聞いてやれなかった。」

「褒めた記憶もあまりない。」

「父親らしいことを何もしてこなかったんですよ。」

ママはすぐには答えませんでした。

男性は続けます。

「妻が亡くなった時も、娘に責められました。」

『お母さんばかりに無理をさせた。』

そう言われました。

反論できませんでした。

事実だったからです。

しばらくして男性は小さな声で言いました。

「嫌われたままなんでしょうね。」

ママは首を横に振りました。

「本当に嫌いだったら。」

男性が顔を上げます。

「メールは送らないんじゃないでしょうか。」

その言葉に、男性は黙り込みました。

会いたいとは言えなくて

しばらく沈黙が流れました。

やがて男性は苦笑します。

「情けない話です。」

「娘に会いたいんですよ。」

「でも今さら言えなくてね。」

ママは優しく微笑みました。

「お父さんだからですか。」

男性はうなずきます。

昭和の父親でした。

弱音を吐くことも。

甘えることも。

謝ることも。

ずっと苦手なまま生きてきました。

「後悔しているんですね。」

ママの言葉に、男性は静かに答えます。

「ええ。」

「今になって。」

夕暮れ時の窓の外には、茜色に染まる空が広がっていました。

ママは言いました。

「後悔できるのは、大切だった証拠だと思います。」

男性は何も言いませんでした。

ただ、その言葉をゆっくり受け止めているようでした。

小さな一歩

帰り際。

男性はふと立ち止まりました。

「手紙を書いてみようと思います。」

ママは微笑みます。

「いいですね。」

「うまく書けなくても。」

「気持ちは伝わるかもしれません。」

数日後。

娘から返事が届きました。

『手紙ありがとう。

退院したら会いに行くね。』

たったそれだけの短い文章でした。

けれど男性は何度も読み返したそうです。

そして少しだけ泣いたそうです。

会えなかった時間は戻りません。

言えなかった言葉も消えません。

それでも。

人はいつからでも、大切な人へ心を向けることができるのだと思います。

帰り際、ママは壁に書かれた言葉をそっと指差しました。

伝えたい気持ちほど、言葉にならないことがある

今夜のる~なの店は、静かに灯りをともしていました。

まとめ

年齢を重ねるほど、謝れなくなることがあります。

会いたいと言えなくなることもあります。

けれど、言葉にしなかった気持ちは伝わりません。

今回の父親のように、小さな一歩を踏み出すことで、止まっていた時間が動き出すこともあります。

私自身、人との関係は「遅すぎる」と思った時こそ向き合う価値があると感じています。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

もしあなたにも思い出す人がいるなら、その人はきっと大切な人です。よろしければスキやコメントで、あなたの想いも聞かせてください。

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#人生を見つめ直す
#大切な人

※おまけ <ママからのお願い> 疎遠だった娘さん・息子さんへ
6月21日(日)は父の日です。優しいひとことを贈ってあげてください。
その一言を待っています!誕生日とはまた違う父を想う日。大切にしてくださいね💛


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