「共感しすぎた私が、音に壊されかけた話。――“ふつうの暮らし”ができないということ」
◆「共感すること」が仕事でも生き方でもあった
介護福祉士の資格を取得し、業務手順書を自作して職場に導入。不器用ながらも、少しずつ職場でのコミュニケーションもとれるようになっていました。
私はASDの特性を持っていて、「共感しよう」「うまくやろう」と努力すること自体が、自分のエネルギーの大部分を使うことでした。
それでも、支援の現場で人と関わることは嫌いではなく、むしろ「誰かの役に立てているかもしれない」と思える時間は、自分にとっても希望のようなものでした。
◆「自宅」に起きた異変
そんな矢先、住んでいたアパートでトラブルが起こりました。階下の住人のゲームによる重低音が、深夜まで鳴り響くようになったのです。
最初は我慢していました。でも、夜中まで続く振動と音で、眠れなくなってしまいました。
私は聴覚過敏の傾向があり、特に低音の響きに対して強いストレスを感じます。それが毎晩続くことで、日中の仕事にも影響が出始めました。
◆助けを求めても、楽になれなかった
心療内科にも、耳鼻科にも行きました。処方された精神安定剤も試しました。でも、全く効きませんでした。
「眠りたいだけなのに、なぜ…」
「家なのに、安心できない」
そう思うたび、心のエネルギーが少しずつ削れていきました。
◆一軒家へ。ようやく得た静けさ
結局、私は中古の一軒家に引っ越すという選択をしました。環境が変わったことで、ようやく音のストレスから解放され、少しずつ心も身体も回復していきました。
時間もお金もたくさんかかったけれど、「安心して眠れる場所」があるというのは、何よりも大事なことだと身に染みて感じました。
◆そして気づいたこと
結局、私は「静かに、ひとりで過ごせる場所」がないと、生きていくのが難しいのだと痛感しました。住まいでさえ、“多数と共にある暮らし”には限界があった。
「ただの騒音」ではない、「ただの共同住宅」ではない。私にとってはそれが大問題だったのです。
◆最後に
この体験を、私は今でも忘れていません。
でも、それは「弱さ」や「逃げ」ではなく、生き延びるための選択だったと、今では思えています。
「安心できる空間が、自分にも必要なんだ」と、
やっと認められるようになりました。
同じように悩む誰かが、少しでも自分を責めずにすみますように。
そして、それぞれに合った“居場所”が見つかりますように。
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