[ひと色展/ショートショート] 君は知っているかい?
「あなたに会えた偶然は運命だったとか、出会いは突然やってくるなんて言うけどさ、そんなのは当たり前じゃない?いつだってさ、出会いは突然やってくるもんだと思うんだよね」
まっすぐな目で君はそう語るけど、私はいつ君に話しかけようか迷っていたんだよ。
入学式の時、君は緊張していただろう?
在学生側から見ていて、私が少し不安になるくらい、君の緊張は空気に乗って私まで伝わってきたよ。
学内の案内板を真剣に見つめる君の横顔には、希望と決意が色濃く表れていた。自分では気づいていなかったかもしれないけどね。
君が友人と笑いながら私の学部棟の前を通った時、満ち足りた君のすぐ傍に居合わせられた事は、実は嬉しかったんだ。君にとっては単なる日常だったかもしれないがね。
まあ、君にとってはこの出会いは夕立のような、突然のものだったように感じるかもしれない。
私がサークルの勧誘として声を掛けた時の君の驚いた顔がそれを物語っていたもの。
今も、君は私の隣を歩きながら、出会いは予期できないものだと力説している。
しかし、私にとって君との出会いは偶然や突然ではなく、躊躇の重なりが生んだ必然だったんだ。
でも、それは私だけの秘密にしておくよ。
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フォローさせていただいているkojuroさんの記事から見つけた、イシノアサミさんの『ひと色展』の企画に参加させていただきます。
オリーブグリーン。見た感じの第一印象は、お洒落な大人のカッコいい女性というイメージでしたが、ちょっと勇気を出すのに躊躇する彼女の気持ちもイラストから連想できたので、そのような気持ちを描けたらと思い、創作しました。
