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人が怖いのは、失敗じゃない。「恥をかくこと」だ。

人生で一番怖いのは、失敗することじゃない。
「恥をかくこと」だ。

一度、死ぬほど恥をかくと、不思議と何も怖くなくなる。
そこまでいけない人には、小さく慣らす道がある。

── 人口4万人の港町で、毎日5件以上、年間1,200件の経営の相談を受けている、荒川健生です。

今回は、「恥」について。


■ 二次会のカラオケで、最初の1曲が入らない

先日、地元の会合の後、二次会でカラオケに行った。
10人ほどいた。
全員、大人だ。

最初の1曲が、入らない。

端末が、机の上を回る。
「いや、自分は後で」
「どうぞどうぞ」
「先輩からで」

5分経った。誰も入れない。
店員が飲み物を運んできても、まだ回っていた。

結局、入れたのは20代の男性だった。

うまくはなかった。
音程も、はっきり外れていた。

でも、彼が歌い終わった瞬間、部屋の空気が変わった。

次が入る。その次も入る。
さっきまで断っていた人たちが、順番待ちを始めた。

そして、誰もうまいひと、楽しそうな人。
場は盛り上がった。

自分は、その様子をずっと見ていた。

最初に歌った人が、一番うまいわけじゃない。
一番、恥に強かっただけだ。

そして、場を動かしたのは、その人だった。

これは、カラオケだけの話じゃない。

■ ひとが怖がっているのは、失敗じゃない

あなたにも、動けていないことがひとつくらいあるはずだ。

その理由を、もう一度考えてみてほしい。

お金がないから。
時間がないから。
準備が足りないから。

たぶん、そう答える。

でも、本当にお金と時間が揃ったら、動くだろうか。
動かない人は、揃っても動かない。

なぜか。

答えは、シンプルだ。
「怖いのは失敗じゃない。人に見られることだ。」

失敗は、自分の中で処理できる。
恥は、他人の記憶に残る。

だから、ひとは失敗より恥を避ける。

これは、意志が弱いという話じゃない。
我々は、集団から外されることを命の危険として扱うようにできている。
村を追い出されたら生きていけなかったからだ。

「みっともない」は、生存本能の名残だ。

あなたが臆病なんじゃない。
そういう仕組みで、できているだけだ。

■ 恥の正体は、理想と現実のズレだ

ここで、もっと踏み込んでいく。

そもそも、恥とは何なのか。

自分の答えは、これだ。

恥とは、「こう見られたい自分」と「いまの自分」のズレだ。

だから、どうでもいい相手の前では、恥をかかない。
知らない街で転んでも、平気だ。

でも、同級生や会社の同僚の前では、転べない。
つまり、恥を感じている場所には、必ず「なりたい自分」がある。

ここが大事だ。

恥は、あなたの弱点を教えているんじゃない。
あなたが伸びたい方向を、教えている。

恥ずかしい、と感じた瞬間。
そこが、いま自分の立っている場所と、行きたい場所の境目だ。

だから、恥は消すものじゃない。
感じるもの。

「いま、何が恥ずかしかったか」
「なぜ、それが恥ずかしかったか」

この2つを自分に聞ける人が、伸びていく。

恥を感じない人生は、楽だ。
でも、何も伸びない。

■ 恥には、二つの壊し方がある

では、その恥と、どう付き合うか。

道は、二つある。

ひとつは、一度で壊す道だ。

人前で大失敗した。
思い切って告白して振られた。
起業して、うまくいかなかった。

その瞬間は、人生が終わったと思う。

でも、数か月後に振り返ると気づく。

「あれ、意外と終わってなかった」

このとき、頭の中で何かが壊れる。
壊れるのは、「恥の基準」だ。

「あれ以上の恥はない」

そう思えた瞬間から、ひとは動けるようになる。

もうひとつは、小さく慣らす道だ。
こちらのほうが、たぶん現実的だ。

たとえば、発表。
研修や会議で、手をあげること。
講師に、質問すること。

あれも、立派に恥だ。

手をあげる直前、心臓が少し速くなる。
「変なことを聞いたらどうしよう」
「みんな分かっているのに、自分だけかもしれない」

あの一瞬に、恥の全部が入っている。

でも、それを一度やると、次は少し軽くなる。
三度やると、ほとんど何も感じなくなる。

そして、面白いことが起きる。

質問した人には、答えが返ってくる。
発表した人には、意見が集まる。
手をあげた人の顔と名前は、覚えられる。

黙っていた人には、何も起きない。

恥をかいた分だけ、情報が入る。
情報が入るから、判断が変わる。
判断が変わるから、結果が変わる。

大きく壊すか、小さく慣らすか。
どちらでもいい。

でも、避け続ける道だけは、どこにもつながっていない。

■ 話せなかった日

自分の話をする。

新卒入社して2年程だったとき、
朝礼で、うまく話せなかった日がある。

用意した言葉が、出てこなかった。
途中で何を言っているのかわからなくなった。
ただ、ひたすら用意したものを読み上げた。

見ていられずに、補足説明をされた。

終わった後、自分は人前で話すのは苦手だと思った。
準備もしたつもりだった。
けど、その時は恥ずかしい思いがいっぱいだった。
些細だけど、どん底に落ちた気持ち。

でも、人生は終わらなかった。
むしろ状況は変わらず、どっちかというと頑張っている人になった。

自分が思うほど、他人は自分を見ていない。こと。

これは、頭で理解しても意味がない。
恥をかいた後にしか、腹に落ちない。

■ 先に恥をかいた人が、先に進んでいる

うまくいっている経営者を見ていると、共通点がある。

みんな、恥のエピソードを持っている。

しかも、笑いながら話す。

「あのとき、20人集めるつもりが3人しか来なくてね」
「試作品、全部売れ残ってさ」

隠していない。
むしろ、ネタにしている。

つまり、こういうことだ。

恥をかいた人が、うまくいったんじゃない。
恥をかける人だから、先に進めた。

同じ人を見ている。
なのに、見える景色がまるで違う。

結果だけを見れば、「あの人は運がいい」になる。
過程を知れば、「あの人は先に恥をかいた」になる。

■ 伝えたいこと

恥を避ける人生より、恥を更新する人生のほうが、面白い。

これからやっていきたいこと。
「恥ずかしい」と感じた瞬間を、記憶する
そこに、あなたが伸びたい方向が書いてある。

また、誰か1人に、いまやろうとしていることを話す。
言ってしまえば、引き返しにくくなる。
恥は、逃げ場をなくしてから動く方が早い。


あなたが最後に恥をかいたのは、いつだっただろうか。

思い出せないなら、たぶん、少し止まっている。

最初の1曲を、入れる側に回ればいい。

「あなたの一番恥ずかしかった体験はなんですか?」

追伸
「最初の1曲を入れる側に回れ」と書いた。
あのカラオケで、自分が何をしていたか。
端末が回ってきたとき、無言で隣に渡していた。

一番うまく逃げたのが、この記事を書いている人間だ。


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