青い海と、あの頃の朱色。国鉄色の急行に思いを馳せて
タイムラインを眺めていた手が、思わず止まった。 画面に現れたのは、澄み切った青い海と、新緑の山肌を縫うように走る、懐かしいクリームと朱色の列車。
「あ、国鉄色の急行だ……」
若い世代には新鮮に映るかもしれないこのツートンカラー。しかし、僕たち(あるいは私世代)にとっては、旅の記憶そのものだ。
クーラーの効きが少し甘くて、窓を開けると潮風が勢いよく吹き込んできたこと。 ガタゴトと小刻みに揺れるボックス席で、硬いプラスチック容器のお茶を飲みながら眺めた車窓。 気動車特有の、お腹に響く重低音のエンジン音。
この絵を見ていると、潮騒の音と一緒に、あの頃のディーゼルカーの匂いまで蘇ってくるような気がする。
効率やスピードもいいけれど、目的地に着くまでの「時間そのもの」を味わっていたあの時代の旅が、たまらなく愛おしい。そんなノスタルジーに、今夜は少し浸ってみようと思う。
青い海、切り立つ緑の断崖、そして高架橋を渡る国鉄急行色の気動車――。 この組み合わせを見ただけで、かつての日本海沿いや山陰の厳しくも美しい海岸線を思い出す。
今ではすっかり見かけることが少なくなったこのツートンカラー(クリーム4号に朱色4号)は、日本の風景に見事に溶け込む。新緑の緑にも、海の青にも、そして夕暮れの茜色にも不思議なほど映えるのだから、当時のデザイナーのセンスには脱帽する。
急行列車が全国を網の目のように走っていた時代、私たちはもっと不便で、もっと自由だった気がする。 ネット予約もスマホもない。時刻表を片手に、この朱色の列車に揺られて揺られて、まだ見ぬ街を目指した。
便利になりすぎた現代だからこそ、この絵が持つ「どこかへ連れて行ってくれそうな空気感」に、私たちは強く惹かれるのかもしれない。
