水彩画のような夏の記憶と、1番ホーム
ふと、7月のあの日のことを思い出す。
激しい雨が通り過ぎた後の、あの独特の静けさ。蒸し暑いけれど、どこか清々しい空気。私はいつもの駅で、少し遅れている列車を待っていた。
ホームの屋根から滴る水滴の音。濡れたバラスト(線路の石)の匂い。 見慣れたはずの駅の風景が、雨上がり特有の光の加減で、まるで一枚の水彩画のようにキラキラと輝いて見えたのを覚えている。
特別なことがあったわけじゃない。ただ列車を待っていた、それだけの時間。 それでも、あの夏の瑞々しい空気感は、今でも私の中で色褪せずに残っている。
急いで駅に駆け込むと、ホームにはもう、雨上がりの爽やかな風が吹き抜けていた。 濡れた線路が光を反射して、いつもより少し綺麗に見える。
スマホを見ながら列車を待つ人、静かに座っている人。みんな、雨の手触りを少しだけ肌に残しながら、日常の続きを待っている。
夏の雨上がりって、どうしてこんなに懐かしい気持ちにさせるんだろう。 そんなことを考えながら、私はいつもの1番ホームで、近づいてくる列車の音に耳を澄ませていた。
