【京都料理長の実践レシピ図鑑|44野菜を一皿にする技術】39|白ねぎ
白ねぎの一本焼き 鶏出汁の蒸し煮 野菜味噌仕立て
Chapter 1|巡り — 温める・流す・巡らせる一皿
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ この一皿のコンセプト
白ねぎを一本丸ごと焼く。
そして出汁で蒸し煮にする。
二段階の火入れが
この一皿の核心です。
まずフライパンで
白ねぎの表面に香ばしい焼き色をつける。
メイラード反応による
香ばしさと旨みが生まれます。
そこへ鶏出汁を注いで
蓋をして蒸し煮にする。
高温で焼き固められた表面が
今度は鶏の旨みを吸い込みながら
内側からじっくり火が入る。
外は香ばしく焼けた層。
中はとろとろに溶けるような甘み。
一本のねぎの中に
二つの表情が生まれます。
そして今回の鶏出汁は
手羽や手羽元から丁寧に取ります。
昆布を加えることで
動物性の旨み(イノシン酸)×
植物性の旨み(グルタミン酸)の
相乗効果が生まれます。
さらに白ねぎの青い部分と
生姜を加える。
捨てるはずの青い部分が
出汁の香味野菜として
大切な役割を担います。
仕上げに野菜味噌をのせる。
発酵のコクと旨みが
焼きねぎと鶏出汁の旨みと重なり、
体の芯から温まる一皿になります。
Chapter 1「巡り」において、
白ねぎはアリシンが血行を促し、
体を温めて巡らせる素材です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 白ねぎの豆知識
白ねぎ(長ねぎ)は
ユリ科ネギ属の植物で
中国原産とされています。
白い部分は土に埋めて遮光することで
白く柔らかく育ちます。
甘みが強く、
加熱すると
とろけるような食感になります。
旬は11月〜2月。
寒さにさらされることで
でんぷんが糖へ変わり、
甘みがさらに増します。
独特の辛み成分は
アリシン。
加熱することで辛みは和らぎ、
甘みと旨みへと変化します。
昔から
風邪のひき始めや
体を温めたい時に
焼きねぎが食べられてきた理由も
この成分にあります。
料理長メモ:
白ねぎの青い部分は
今回は出汁の香味野菜として使います。
青い部分には
βカロテンやポリフェノールも含まれます。
捨てるのではなく、
出汁に旨みと香りを移すことで
一本を余すことなく活かします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 材料(2人分)
白ねぎ 2本(白い部分を使用)
ごま油 大さじ1
本格鶏出汁
鶏手羽元(または手羽) 300g
水 800ml
昆布 10cm角1枚
白ねぎの青い部分 2本分
生姜(薄切り) 3〜4枚
酒 大さじ2
塩 少々
蒸し煮用
鶏出汁 150ml
薄口醤油 小さじ1
みりん 小さじ1
塩 少々
野菜味噌
合わせ味噌 大さじ2
みりん 大さじ1
てんさい糖 小さじ1
昆布出汁 大さじ1
にんじん(みじん切り) 大さじ1
ごぼう(みじん切り) 大さじ1
しいたけ(みじん切り) 大さじ1
仕上げ
糸唐辛子 少々
白ごま 少々
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 料理長の目利き|白ねぎの選び方
・白い部分が長く太さが均一なもの
・外皮にハリがあるもの
・切り口がみずみずしいもの
・緑と白の境目がはっきりしているもの
・重量感のあるもの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 火入れの手順
Step 0|本格鶏出汁を引く
鍋に水と昆布を入れ、
30分ほど浸けておく。
鶏手羽元を熱湯で
さっと霜降りにして
臭みと余分な脂を落とす。
昆布を入れた鍋に
手羽元
白ねぎの青い部分
生姜
酒
を加えて火にかける。
沸騰直前で昆布を取り出し、
弱火で30〜40分、
アクを丁寧に取りながら煮る。
最後に塩で味を整え、
こして完成。
料理長メモ:
今回最大の設計です。
昆布のグルタミン酸と
鶏のイノシン酸。
二つの旨みが重なり、
深い出汁になります。
青ねぎは
香味野菜として働き、
出汁に自然な甘みを与えます。
捨てない設計。
それが料理長の考え方です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Step 1|野菜味噌を作る
小鍋に
合わせ味噌
みりん
てんさい糖
昆布出汁
を入れ、
弱火でゆっくり温める。
にんじん
ごぼう
しいたけ
を加え、
水分が飛ぶまで
炒り煮にする。
艶が出たら完成。
料理長メモ:
野菜の甘みと
発酵味噌の旨みが重なり、
奥行きのある味になります。
冷蔵で約1週間保存可能。
豆腐や田楽、
おにぎりにも応用できます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Step 2|フライパンで焼き色をつける
白ねぎを
5〜6cm長さに切る。
フライパンへ
ごま油を熱し、
中強火で焼く。
転がさず、
一面ずつじっくり焼く。
全面に焼き色が付いたら
一度取り出す。
料理長メモ:
転がさない。
これが最大のポイントです。
焼き色を待つことで
メイラード反応が進み、
香ばしさと甘みが生まれます。
焦がすことを恐れない。
焼き色は旨みです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Step 3|鶏出汁で蒸し煮にする
同じフライパンへ
焼いた白ねぎを戻す。
鶏出汁
薄口醤油
みりん
塩
を加える。
蓋をして
弱火で8〜10分蒸し煮にする。
出汁がほぼ煮詰まり、
ねぎに艶が出たら完成。
料理長メモ:
焼き色を付けたあとに
蒸し煮へ移ることで、
外は香ばしく、
中はとろとろ。
二段階の火入れだからこそ
この食感が生まれます。
出汁が煮詰まる過程で
鶏の旨みが
ねぎの中心まで染み込みます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 出汁・ソースの設計
白ねぎ(アリシン・甘み)
×
鶏手羽元(イノシン酸・コラーゲン)
×
昆布(グルタミン酸)
×
白ねぎの青い部分(香味・βカロテン)
×
生姜(ショウガオール)
×
野菜味噌(発酵のコク)
×
ごま油(香ばしさ)
七つが重なることで
体の芯から温まる
深みのある一皿になります。
昆布と鶏という
植物性と動物性の旨み。
その出汁を
白ねぎが吸い込むことで、
白ねぎそのものが
旨みの器になります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 盛り付けのポイント
黒い器、
または白い器がおすすめです。
蒸し煮にした白ねぎを
斜めに切って盛り付ける。
野菜味噌をたっぷりのせる。
糸唐辛子を天盛りに。
白ごまを散らす。
焼き色の茶色
ねぎの白
味噌の褐色
糸唐辛子の赤。
色のコントラストが
料理を美しく見せます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ カフェアレンヌの厨房から
「ねぎがこんなに甘くなるんですね。」
「外は香ばしく、
中は驚くほどとろとろ。」
「鶏出汁がじんわり染みています。」
「野菜味噌との相性が最高ですね。」
そんな言葉をいただきます。
白ねぎは
一本丸ごと使い切る。
青い部分は出汁へ。
白い部分は焼いて蒸し煮へ。
捨てるところがない。
それが
この一皿の設計です。
Instagram:https://www.instagram.com/cafehaleine
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 料理長の一言
焼く。
蒸し煮にする。
青い部分も出汁に使う。
白ねぎを一本、
余すことなく使い切る。
体を温める野菜は、
時間をかけることで
本当の甘みと旨みを見せてくれます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 次回予告|40|三つ葉
Chapter 4|浄化 — 内側を軽やかに整える一皿
三つ葉と卵の澄まし仕立て
三つ葉の清涼な香りを
澄まし汁の中へ閉じ込める。
料理長の出汁設計をお伝えします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【なぜ白ねぎは巡りなのか?料理長の目利きと保存法はこちら】
📕 有料版第1弾・野菜アンチエイジング図鑑
https://note.com/lucky_emu3608/n/n3bc7ed41da43
📖 同じ野菜の「知識編」はこちら
野菜アンチエイジング無料シリーズ
https://note.com/lucky_emu3608/m/m58420af3cd5a
【野菜ソムリエ料理長のランチブッフェ|金・土・日・祝 営業】
🌿 Cafe Haleine(カフェアレンヌ)
https://www.instagram.com/cafehaleine
このシリーズは毎日1皿ずつ、全44回でお届けします。
