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歴史は常にパリから始まる?(ぼやき)

 ふと思ったテーマである。近代の歴史を構造化する方法はいくつもあるが、やり方によっては政治は常にパリから始まるとも言えると思った次第である。

 以前の記事で19世紀・20世紀・21世紀の政治対立軸の変容について書いたことがある。

 19世紀は保守主義と自由主義の対立が特徴だった。片方に王侯貴族による保守的な封建政治があり、それに対してジャコバン派のような自由主義勢力が革命を起こしたのである。1848年革命やドイツ・イタリアの統一も保守主義を自由主義の対立軸の一貫として捉えることができる。いわゆる市民革命である。

 20世紀は一転して資本主義と社会主義の対立が特徴だった。片方にブルジョワを中心とする自然発生的な資本主義社会があり、それに対して労働者階級の解放を叫ぶ社会主義勢力が存在する。1917年のロシア革命とソビエト連邦の誕生は20世紀の歴史において最大の事件とも言えた。

 21世紀は更に対立軸が変わる。リベラルはいつしかエリートの思想となり、対する勢力として右派ポピュリズムが台頭し始めている。1979年のイラン革命はイスラム世界に衝撃を与え、現在まで続くイスラム主義の端緒となった。似たような右派ポピュリズムは欧米諸国にも広まり始めている。

 この流れが最もわかりやすいのがアメリカである。アメリカ共和党は19世紀は奴隷反対運動の自由主義者の党だったのだが、20世紀になると資本主義政党となった。いつの間にか支持地域も民主党と入れ替わってしまった。そして、21世紀になると右派ポピュリズム政党となり、所得水準が民主党とい入れ替わってしまった。

 イギリスも似た歴史をたどるように思える。19世紀は保守党と自由党が二大政党だったが、20世紀になると保守党と労働党が二大政党となった。最近は右派ポピュリズム政党のリフォームUKが台頭し、既存の政党制は崩壊の瀬戸際である。

 他にも例を上げればキリがないのだが、とにかく19世紀は自由主義、20世紀は社会主義、21世紀は右派ポピュリズムが革命勢力として支配的ということである。

 さて、この3つの流れが始まった震源地はいずれもパリである。

 19世紀の自由主義革命の源流が1789年のフランス革命にあることは間違いない。この革命がきっかけでナポレオンが欧州を席巻し、後のナショナリズムの時代がやってきた。

 20世紀の社会主義革命の源流は1871年のパリ・コミューンに見出すことができる。これが史上初の社会主義革命と言えるのではないか。この運動は1917年のロシア革命で一気に広まった。

 21世紀の右派ポピュリズム革命の源流は明確ではないが、最初に起きたのは1979年のイラン革命といえる。このイラン革命を起こしたホメイニはパリに亡命して活動を行っていた。右派ポピュリズム運動は2016年のトランプ当選で一気に広まったと言えるか。

 若干こじつけではあるが、19世紀・20世紀・21世紀の主要な政治潮流の源流はいずれもパリにある。近代の政治はパリが震源地と言っても過言ではない。パリは今も昔も多種多様な政治勢力が交錯する土地なのだろう。

 興味深いことに、これらの政治革命は戦争の歴史とは一致していない。20世紀を引き裂いた二度の世界大戦は社会主義革命それ自体によって起こされたわけではなかった。むしろ、ナショナリズムやナチズムのような古い思想によって引き起こされ、共産主義が勝者となった。ソ連共産主義は第一次世界大戦の混乱が生み出し、第二次世界大戦によって世界の半分を支配したのだ。

 そう考えると、21世紀の世界規模の戦争もまた右派ポピュリズム革命とは違った運動によって起きるのかもしれない。例えば中国がメインになって戦争が起きるとすればどうか。中国共産党は20世紀的な古い社会主義運動によって生まれた政党である。その共産主義が右派ポピュリズムの勢力によって打倒されるという展開も想像できるかもしれない。


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