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東京―借金の取り立て・業界人・地獄の門番の笑い声

中学三年の春休み。
兄と二人で、当時東京で一人暮らしをしていた姉のところに遊びに行った時の話だ。
それが私にとっての初めての東京訪問だった。

九州の片田舎からまず、羽田なのか成田だったのか忘れてしまったのが、空港に降り立った。
空港のエレベーターに乗ったら、関東圏に住んでいる叔父一家がそのエレベーターから降りてきた。
私は「東京に来たら関東圏に住む親せきにこうやって出会えるんだ。」と思った。
がそんなことはない。
そんなことは二度と起きてない。
たまたま、会った。

姉の住んでいるマンションに向かった。私はその時点で東京の人の多さや、細くて高い建物群に怯えきっていた。
姉の住んでいるマンションも細くて高かった。

微笑ましいのだが、私たちは、両親から管理人さんへの土産の品を預かっていたのでまず管理人さんに挨拶に行った。
優しそうなおじいさんだったと記憶している。

その後、高層階の姉の部屋に行った。
マンションでそんな高層階に行ったこと自体が初めてだった。
東京は家賃と間取りのバランスがおかしい街なので私はただただ姉の部屋の狭さに驚愕していた。

なんとなく怯えたまま姉の部屋を出て、兄とエレベーターを待っていた。
すると、後ろから「ふぉっふぉっふぉつ」と言う笑い声が聞こえてきた。
私は、本当に東京のありとあらゆることに怯えまくっていたので、なぜか瞬間的にその声が地獄の門番の笑い声に聞こえたのだ。
「ひえ~~~!!!!!!!!!!」と叫んで飛びのいた。

地獄の門番のわけなく、その声の主はさきほどの管理人さんだった。
私たちを見て「また会ったね」の意味で笑いかけてくれていたのだ。
めっちゃくちゃに驚いた私に管理人さんも兄も、もっと驚いている。
「すみません、すみません、なんかびっくりしちゃって。。」と言いながら三人でエレベーターに乗り込んだ。

その後、確か渋谷に行ったのだ。そこもめちゃくちゃに人が多かった。
楽しむどころじゃなかった。
『渋谷はちょっと苦手~♪』どころじゃない。
苦手中の苦手。
皆、何用?

渋谷を無目的に歩いている途中で、兄と私はトイレか何かを借りたかったのか、なぜか雑居ビルに入った。
すると、一室で
…多分借金の取り立てをしていた。
初老とも言える年齢の男性が椅子に座って頭を斜め45度くらいにかたむけて口をへの字にして明らかに困っている。その人の前にこわもての男たちが3人くらい立って、何か怖い顔をしながら喋っているのだ。
言うなれば、詰めてた。
…めちゃくちゃ怖かった。
東京の街の片隅ではこうやって借金の取り立てをしているのだな、と思った。

夜は親が品川のプリンスホテルを予約していてくれたのでそこに移動した。
ご飯を食べに行く、と言ってもどこに行ったら良いか分からないので、確かプリンスホテル内のレストランか、ごく近くのレストランに行ったのだ思う。

食事中、近くの席の、恐らく女性二人組の話声が妙にはっきりと聞こえてきていた。
どうも、大大大スターのキムタク(現在もだけど当時のキムタク人気は凄まじいものがあった。)の話をしているのだ。しかもかなり、業界的な関わりを持っているようなのだ。
業界人の話だ。
なんというか、ちょっと、、、聞こえるように話してるような気すらした。
私は東京に来たら、こうやって業界人がすぐ後ろのテーブルにいるものなのだな、と思った。

初めて行った東京旅行がこんな感じで、私はしばらく東京に怯えまくっていた。
が、何かと縁もありたびたび足を運んでいる。
このGWも東京にいる。
(正確に言うと、東京にもいる。
私にとって、東京近郊は東京だ。)

それにつけても思う。
初回の東京、カオス過ぎた。

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