大企業の新規事業開発のリアル #3 巻き込み力
前回の記事では、大企業の新規事業開発でテーマオーナーに求められる3つの力のうち、「意志力(WILL)」について書きました。
意志力(WILL)
巻き込み力
実行力
今回はその2つ目、「巻き込み力」について話していきます。
チームワークの世界で有名なアフリカのことわざに、
「早く行きたければ一人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け」
という言葉があります。新規事業にもこれ、けっこう当てはまるんですよね。
アイデアを出したりPOCをつくるような初期フェーズでは、1人でどんどん進めるのもアリ。でも、もっと先へ行こうと思ったら、やっぱりチームで動くのが大事になってきます。
特に大企業の中だと、いわゆる「スタートアップのカリスマCEO」みたいなスーパーマンって、なかなかいないんですよ。だからこそ、アーリーフェーズからでも、お互いの弱みを補い合えるチームが必要不可欠だと思っています。
つまり、「人を巻き込む力」って、新規事業をやるうえで欠かせない。でも、問題は「どうやって巻き込むのか?」ってところですよね。僕はこの「巻き込み力」には、2つのタイプがあると思ってます。それがこの2つ。
強さによる巻き込み力
弱さによる巻き込み力
イメージを図1に載せました。

強さだけだと、「押しつけ感」や「独りよがり」になりやすくて、チームが自立しづらい。一方で弱さだけだと、チームとしての方向性が見えづらくなって、リーダー不在の印象を与えることもある。
だから理想は、両方のリーダーシップを状況や相手に応じて使い分けられる柔軟さを持っていること。ただし、自分がどっち寄りなのかは、一度客観的に見ておくのがオススメです。その判断のヒントになる問いが、次の2つ。
明確なVisionを描いて、人を惹きつけるのが得意か?
自分の苦手なことや弱みを正直にメンバーに共有して、助けを求められるか?
この2つ、どっちも「はい」と言えたら理想です。でもどちらかに答えることができなくでも問題ないです。あなたがどっちのタイプかすぐにわかりますからね。
なんでこの2つの問いが大事かっていうと、僕の経験からきてます。
以前、「全体的な能力が高くて、強さで引っ張るタイプ」の人がいました。ただ、その人は「共感できるVision」を描くのがちょっと苦手だった。そのせいで、チームメンバーにとって「何を目指してるのか」が伝わらず、人がついてこなかったんです。
しかも能力が高いがゆえに、自分の弱みを見せられず、メンバーの「自分が役に立ててる感」も薄くなって、結局チームは解散に。
一方で、明確なVisionはなくても、「自分の弱さをオープンにすることで人を巻き込む」タイプの人もいました。このスタイルだと、「この人助けたいな」と思わせる力があるんです。
「自分でも何か貢献できそう」って感じさせられるから、メンバーの自立性も貢献実感も育ちやすい。新規事業では、そういうチームの方が最終的にいい成果を出すことも多いです。
もちろん、どういう状況にあるかとか、周囲の人の能力にもよりますけど、参考になれば嬉しいです。
最後に、「巻き込み力」を理解した上での実践編として、2つの巻き込み方をご紹介します。これ、行動経済学的にも理にかなっていて、僕自身の経験からも有効だと感じてます。
最初からフル稼働を求めるんじゃなくて、10%くらいの小さなタスクからお願いしてみる
(=フット・イン・ザ・ドア・テクニック)
小さなお願いから入ると、人は後からくるもっと大きなお願いにも応じやすくなります。
最初に少しでも関わってもらえれば、「自分はこのプロジェクトの一員だ」っていう認識が生まれて、どんどん巻き込まれやすくなるんです。
2.アイデアを早めにカタチにして、見せながら巻き込む
(=現実バイアス)
人って、抽象的な話よりも「目に見えるもの」に反応しやすいんです。たとえば、ワイヤーフレームや簡単なプロトタイプでもあると、「あ、もう動き出してるんだ」「本気なんだな」って感じてもらえる。すると相手の意思決定もラクになって、巻き込みやすくなります。
個人的には、特にこの2番目の方法の方が強力だと感じてます。
「絵に描いた餅」は食べられない。そういうことです。
だからもし、いいアイデアがあるなら、ちょっと荒くてもいいから形にして、まわりの人に見せてみてください。そこから、巻き込みが始まりますよ。
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