笑病記 Season 2 Vol.8 煩悩坂 −魂を置いて来た初冬の朝−
リハビリ病院からポーラ美術館まで、たった 1.1km。
だが――高低差は 108m。
煩悩の数と同じという、地獄と悟りを同居させた坂道だ。
【登り篇:魂、仙石原に置いてくる】
出発前の血圧は 112/80。
「今日はいいコンディションですね」と療法士さんに笑われ、
その笑顔を追って坂を登り始めた。
だが僅か5分後、
息は風船、足は鉛、視界は霧。
煩悩という名の酸素がすべて奪われていく。
登れば登るほど、
自分の魂だけが少しずつ体から抜け出していくような感覚――。
そう、俺の魂は仙石原のどこかに置いてきた。
【下り篇:悟りから試練へ】
「下りは楽勝ですよ」と言った自分を叱りたい。
足が笑う。膝も笑う。
だが一番笑っていたのは俺自身だった。
重力がリハビリ相手になるとは思わなかった。
一歩踏み出すたびに、地球に押し返される感覚。油断をすれば止まらない恐怖!
悟りは上り、試練は下り。
それでも、笑いながら歩いた。
その姿は、生まれたての子鹿だ!
病院に戻り、血圧を測る。
90/60。
魂が山に残ってる数値だ。
ベッドに倒れ込みながら思った。
――肉体はここに戻ったが、心はまだ、煩悩坂を歩いている。
煩悩108m − 登る者は悟り、下る者は笑う −
📍舞台:箱根リハビリテーション病院 → ポーラ美術館
📏距離:1.1km ⛰️高低差:108m(煩悩の数)
🩺血圧:出発前112/80 → 帰還後90/60(魂一部、仙石原残留)
💬結論:悟りは上りに、試練は下りに、そして生命は歩みに宿る。
次は緩いコースにします😅
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