遠い灯
深い夜を歩く人がいた
足元には静かな影が寄り添い
胸の奥では小さな波が揺れていた
言葉にならない想いが
ゆっくり沈んだり浮かんだりして
そのたびに心がかすかに震えていた
その人のはるか遠くで
ひとつの灯が静かに息をしていた
名前もなく
形もなく
ただあたたかさだけを抱えた光だった
呼びかけることはできないけれど
消えずにそこに在り続ける強さを持っていた
急がなくていいよと
声を持たない灯は
やわらかな気配だけを送り続け
冷えた心にそっと触れていた
そのぬくもりは
凍えた手を包む布のように
静かに寄り添っていた
夜は時に
人の歩みを奪うほど深くなる
進むことも戻ることもできず
ただ立ち尽くすしかない瞬間がある
けれど立ち止まることは
失うことではなく
心が息を整えるための
大切な時間なのだと
灯は知っていた
人はいつか
自分の歩幅を思い出す
忘れていた呼吸が胸に戻り
小さな火がそっと灯る
その火は弱くても
確かに未来へ向かう力を持っている
その力は
誰にも奪えないものだった
灯は道を示さない
ただ遠くで揺れている
選ぶ未来はその人自身のものだから
無理に引き寄せず
ただ見守ることを選んでいた
その優しさは
静かな祈りのように広がっていた
やがて朝が来る
薄い雲の向こうから
やわらかな光が差し込み
閉じていた窓の隙間に
新しい色が生まれる
その瞬間
夜を歩いていた人は
ほんの少しだけ顔を上げる
それだけで十分だった
また笑える日が訪れることを
遠い灯は静かに信じている
言葉がなくても
想いはそっと届いている
あなたがあなたのままで
もう一度歩き出せるように
灯は今日も
遠くで静かに息をしている
本詩は 大切なNoterさんの想いに触れた時
胸にそっと生まれたコトバを 紡いだものです
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