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夢の色をさわる

子どものころの私は
夢を見るのが少しこわかった
眠りの底で
知らない景色がひらいて
気づけば朝で
置いていかれた影だけが
枕のそばに落ちていた

夢はいつも
私の名前を知らないまま
ふいに始まって
ふいに終わって
私はただ
波にさらわれた砂のように
静かにそこに残っていた

ある日
現実のほうが
夢みたいな色を落としてきた
夕暮れの空き地で拾ったビー玉のように
理由もなくきらりと光って
その色が
胸の奥にそっと沈んでいった
あれがきっと
うれしさを自分で選んだ
いちばん最初の瞬間だった

今の私は
自分の夢をまだ言葉にできない
名前をつけると
どこか遠くへ逃げてしまいそうで
だからまだ
触れるだけにしている

ざらついているのか
透きとおっているのか
指先でそっと確かめて
そっと離す
その繰り返しが
今の私をつくっている気がする

未来の私は
今日の私を思い出して
なんだか全部夢の色みたいだったな
と笑うのだろう

それでいい
夢みたいに終わる日々を
ちゃんと歩いた証になるから

だから未来の私へ
夢はね
見るものでも
叶えるものでもなくて
きっと
触りながら
少しずつ色を変えていくものなんだ
あなたの手の中で
どんな光になっているのか
静かに楽しみにしている


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