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ithem_noramoyo
未定義の私
世界はときどき
私に名を置こうとする
けれど、その音は
触れたそばからほどけて
静かに空気へ溶けていく
私はただ
流れてくる気配を受け取り
その揺れの輪郭を
遠くで見守るように眺め
やがて、何も持たずに
元の静けさへ戻る
どの道も
同じ明るさでひらけている
選ぶという行為が
まだ形になる前のまま
足だけが
その瞬間の私を示していく
通り過ぎたものたちは
あとから微かな光となり
胸の奥でゆっくり沈む
記憶と呼ぶには曖昧で
忘却と呼ぶには温かい
名のない余韻として
私は輪郭を持たない
だからこそ
触れた世界がそのままの姿で
私の中を通り抜けていく
何も引き留めず
何も拒まず
ただ、通過の気配だけが残る
定義されず
固定されず
移ろう呼吸のなかで
私という不確かな点が
かすかに揺れ続けている
その揺れが
私の唯一の形であるかのように
世界はまた
新しい意味を差し出してくる
私はそれを受け取り
重さを測り
そっと手放す
どれもが一瞬で
別の色へ変わっていくから
今日もまた
何も持たず
何も捨てず
未定義のまま
歩いている
歩くという行為さえ
まだ名前を持たないまま
ただ、続いている
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