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emma4308
霧の奥の姿
夜明け前の空気はまだ色を持たず
世界の輪郭が静かに息を潜めている
その沈黙の中で胸の奥がかすかに揺れ
水面に落ちた光のように
理由もなく広がっていく
人は見た目で決めつける
少し近寄りがたい空気をまとった子が
帰り道で子猫をそっと抱き上げることも
誰も知らないまま
ただ雰囲気だけで悪いと呼ばれてしまう
その手が誰よりも優しいこともあるのに
その優しさは
霧の奥に隠れたまま気づかれない
霧の中に立つと世界の音が遠ざかり
心の声だけが淡く響きはじめる
触れようとすればすり抜けるのに
確かな温度だけが胸に残り
その温度が
見た目では測れないものの存在を
静かに知らせてくる
遠くで水がひとすじ流れ
忘れていた記憶をそっと揺らす
名前のない想いが胸の奥で形を変え
光にも影にも属さないまま
ただそこに留まり続ける
誰にも見せない優しさのように
私はその揺らぎを抱えたまま
まだ色のない空を見上げる
霧の奥にある姿は
目に映る形とは違うことを
静かに思いながら
胸の奥の灯りが
ゆっくりと息をするのを感じている
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