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遠すぎず、近すぎず

触れれば
やわらかな色がこぼれてしまいそうで

離れれば
胸の奥の灯りが淡く消えてしまいそうで

そのあいだに
静かに息づく色のない場所がある

わたしは
その無色の空気にそっと腰をおろし
風が運んでくる気配を
ひとつずつ拾いあげている

寄り添いすぎれば
誰かの輪郭を曇らせてしまうし
離れすぎれば
声の色さえ見失ってしまう

だから
手を伸ばすときは
空気を撫でるように
そっと
そっと

言葉を置くときは
心があたたかく染まる方へ
迷いながらも
やさしさの色へ
光のほうへ

遠すぎず
近すぎず
そのわずかな間合いに
淡い願いが静かに灯っていく

戻りたくなる場所が
ひとつでも増えるなら
わたしの想いは
それだけでやわらかく満ちていく

ときどき
誰かのぬくもりの記憶が
薄桃色の光になって
胸の奥をそっと照らす日があって

その光に導かれるように
わたしはまた
柔らかな距離を抱きしめながら
歩いていく

触れすぎず
離れすぎず
ただ
心がほどける色の方へ

今日も
その静かな間合いを
大切に抱えたまま
そっと息をしている



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