【8月6日確定】SpaceX株9億1150万株が売却可能になる日|浮動株の31%を空売りする勢の"出口"にもなる

史上最大のIPOから、1ヶ月半が経った。

SpaceX株は2026年7月24日、115.07ドルで引けた。

公募価格は135ドル。

6月16日につけた最高値225.64ドルからは、約49%の下落だ。

時価総額は1.52兆ドル。

上場時の1.77兆ドルから、約14%減った。

そして日付が確定した。

8月4日に決算。

その2営業日後の8月6日から、9億1150万株が売却可能になる。

最初に、この記事で一番大事な区別を書いておく。

売却可能になることと、売られることは別だ。

ロックアップ解除は「売っていい」という許可でしかない。

売らない人もいる。

一部だけ売る人もいる。

だから以下に出てくる金額は、すべて「売れる上限」の話だ。

実際にいくら売られるかは、誰にも分からない。

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この記事でわかること
・8月6日に売却可能になる株の、確定した数字
・売却可能額1049億ドルに対して、指数の買いは43億ドル
・浮動株の31%が空売りされている状態を、どう読むか

読了時間:約6分

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■ 10日で確定した3つのこと

ひとつ目。

決算日が8月4日に決まった。

上場企業として初めての決算だ。

ふたつ目。

その2営業日後、8月6日から解禁が始まる。

対象は最大20%、株数にして9億1150万株。

CNBCが報じた数字で、複数のメディアが同じ数を伝えている。

三つ目。

条件付きの追加10%解除が、極めて厳しい状況になった。

報道されている条件はこうだ。

決算前の10営業日のうち5日以上、175.50ドルを超えて終える必要がある。

175.50ドルは、公募価格135ドルの30%高にあたる。

決算日8月4日から逆算すると、この10営業日は7月21日に始まっている。

7月21日から24日の4営業日は、すべて123.54ドル以下で終えた。

残りは6営業日。

5日以上必要だから、失敗できるのはあと1営業日だけだ。

しかも115ドル台から52%上げて、それを維持する必要がある。

可能性はゼロではない。
だが追加の4億5580万株は、8月時点ではロックされたまま残る見込みが強い。

つまり供給余力は「30%」ではなく「20%」で来る可能性が高い。

■ 売却可能額1049億ドル、指数の買い43億ドル

9億1150万株を、7月24日終値の115.07ドルで計算する。

約1049億ドルだ。

比較しないとピンとこない数字だと思う。

SpaceXがIPOで調達した金額は857億ドルだった。

売却可能になる株の金額は、史上最大のIPOそのものより大きい。

ここで前回の記事を訂正しておく。

前回、調達額を約750億ドルと書いた。

これは当初の売り出し計画の数字だった。

実際は需要が計画を上回り、最終調達額は857億ドルになった。

135ドルで割ると、約6.3億株。

これが今の浮動株、つまり市場で売買できる株だ。

そこに9.1億株が加わる。

今ある浮動株の、約1.4倍が追加で売却可能になる。

では、買う側はいくらあるのか。

SPCXは2026年7月7日、ナスダック100指数に採用された。

ナスダックが新規上場株の待機期間を3ヶ月から15営業日に短縮したため、異例の早さで入った。

この指数に連動する商品は200本以上、資産規模は約8000億ドル。

JPMorganの試算では、指数採用による資金流入は約43億ドル。

ロイターが報じている。

浮動株が薄いため、指数の中での比率が小さくなるからだ。

売却可能額1049億ドル。

指数の買い43億ドル。

差は約24倍ある。

ただし、この24倍を額面通りに受け取ってはいけない。

1049億ドルが初日に売られるわけではないからだ。

そして買い手は指数だけではない。

アクティブファンド、年金、ヘッジファンド、個人も買う。

実際、ARK Investは一株も売っていない。

7月中旬の1週間で5100万ドル超を買い増している。

だから正確に言えばこうだ。

つまりパッシブ資金だけでは、この規模の供給余力を吸収する装置にはならない。

なお、指数採用の初日、株価は7%下げて149.47ドルで終えている。

■ 浮動株の31%が空売りされている

供給余力だけを積み上げると、答えは「下がる」で終わる。

だが市場の反対側にも、極端な数字がある。

空売りだ。

株を借りて先に売り、後で買い戻して差額を取る取引のことだ。

データ会社Ortexの推計が、ロイター経由で報じられている。

7月下旬時点で、約1億9600万株が空売りされている。

浮動株の約31%だ。

別会社のS3 Partnersは、7月16日時点で1億8500万株、浮動株の29%と推計している。

CNBCが報じた数字だ。

ふたつの会社が、ほぼ同じ絵を描いている。

IPO当時は約4000万株、浮動株の5〜7%だった。

1ヶ月半で、5倍近くに膨らんだ。

含み益も出ている。

7月16日時点で87億ドル。

7月22日時点で155億ドル。

1週間で68億ドル増えた。

Ortexの共同創業者は、利益確定の兆しがないと指摘している。

下落の途中で買い増しを続けている、と。

ここで確認しておきたい事実がある。

空売りした株は、いつか必ず買い戻さなければならない。

借りた株を返す必要があるからだ。

つまり1億9600万株の空売り残高は、1億9600万株分の将来の買い注文でもある。

8月6日に9億株が売却可能になる。
その同じ市場に、株を買い戻す必要がある人が1億9600万株分いる。

大量の株が市場に出てくることは、空売り勢にとっては買い戻しの機会にもなる。

つまり解禁は供給余力であると同時に、空売り勢の出口にもなりうる。

■ Days to Coverを計算すると、見え方が変わる

ここで、プロが空売りを見るときに使う指標を出す。

Days to Coverだ。

空売り残高を1日の平均出来高で割った数字で、全員が買い戻すのに何日かかるかを示す。

計算してみる。

SPCXの平均出来高は約5680万株。

Investing.comのデータで、7月20日の実出来高5204万株ともほぼ整合する。

1億9600万株を5680万株で割ると、約3.5日だ。

一般に、Days to Coverが5〜7日を超えると、買い戻しの渋滞が起きやすいとされる。

3.5日は、その水準に届いていない。

つまり空売り比率は極端だが、買い戻すための出来高は足りている。

「浮動株の31%が空売り」は、逃げられない状態を意味しない。
浮動株の約1割が毎日入れ替わる出来高がある。

これは記事を書く僕にとっても、都合の悪い数字だった。

でも書く。

■ 暗号資産のアンロックと比べると

暗号資産の世界にも、同じ構造がある。

新しいトークンが上場するとき、チームや初期投資家の分はロックされる。

数ヶ月後、それが順番に解除される。

多くのケースでは、解除日ではなくその前に価格が下がる。

日付が公開情報なので、先回りして売る人がいるからだ。

そして当日、実際の売りが想定より少ないと、逆に急騰することがある。

先回りして売った側が、慌てて買い戻すためだ。

これをショートスクイーズと呼ぶ。

空売りの買い戻しが連鎖して価格が跳ねる現象のことだ。

ただし、アンロック=下落ではない。

トークンによって結果はまったく違う。

そしてスクイーズにも条件がある。

空売りが多いこと。

買い需要があること。

買い戻す株が足りないこと。

今のSPCXは、1つ目だけが揃っている。

2つ目は決算次第で、3つ目はDays to Cover 3.5日が示す通り不足していない。

つまり条件の一部は揃っているが、全部ではない。

■ 解禁以外の供給源

供給源はロックアップ解除だけではない。

上場からわずか4日後の2026年6月16日。

SpaceXはAIコーディングツール「Cursor」の親会社を、600億ドルで買収すると発表した。

全額、株式での支払いだ。

株式交換による買収は、新株発行を通じて1株当たりの価値が薄まる希薄化につながる。

CNBCによると、IPO時の評価額ベースで約3.4%の希薄化になる。

クロージング予定は2026年第3四半期。

ロックアップ解除が波状で来るのと、同じ期間だ。

600億ドルを115.07ドルで割ると、約5.2億株になる。

ただし正確な株数は確定していない。

交換比率の解釈が報道によって分かれているためだ。

株数を確認したい場合は、SECに提出された8-Kを読むのが確実だ。

企業が重要な出来事を報告する書類のことだ。

その先の日程も出ている。

上場70日目にあたる8月下旬に7%。

第3四半期決算後に28%。

12月8日に、180日ロックが全解除。

イーロン・マスク本人の約64億株は別枠で、2027年6月12日まで動かせない。

つまりこの株の供給余力は、ひとつの日付ではなく複数の蛇口から順番に生まれる。

■ 下落の背景は打ち上げ失敗ではない

会社の中身も短く確認しておく。

2026年2月、SpaceXはマスクのAI企業xAIと統合した。

Grokを開発している会社だ。

これで決算の構造が変わった。

2025年の売上は187億ドル、前年比33%増。

一方、純損失は49億4000万ドル。

2024年は7億9100万ドルの黒字だった。

2026年1〜3月期は、売上47億ドルに対して純損失42億8000万ドル。

3ヶ月で、前年1年分に近い赤字を出した。

原因はAI部門で、2025年の営業損失は63億5000万ドル。

Starlink(衛星ネット事業)は稼いでいる。

2025年の売上113億9000万ドル、営業利益44億2000万ドル。

そして借金だ。

2026年6月22日、SpaceXは250億ドルの社債を発行した。

格付けは投資適格で、S&PがBBB、Moody'sがBaa1、FitchがBBB+。

ところが債券の実際の値段は、それと一致していない。

7月初旬、SpaceX債の上乗せ金利は米国債より1.62%ポイント高い。

BBB平均は0.92%ポイント。

ジャンク債(投資不適格債)の平均は1.55%ポイントだ。

投資適格の格付けを持つ債券が、ジャンク債の平均より高い金利を要求されている。

一方、ロケット自体は前進している。

2026年7月24日、Starshipは13回目の試験飛行で新型Starlink衛星20基すべてを投入した。

つまり下落の背景にあるのは打ち上げの失敗ではなく、借金でAI投資を続ける構造への評価だ。

■ 8月6日を、何で判断するか

観察すべきは4点だ。

すべて公開情報から取れる。

① 8月4日の決算内容

AI部門の損失が縮小したか拡大したか。

これが需給の話か、事業の話かを分ける。

② 実際の売却量

「売れる」と「売った」は別だ。

役員や大株主の売買は、SECへの届け出で公開される。

③ 出来高

出来高が伸びずに株価が下がるなら、売りは細い。

出来高を伴って下げるなら、本当に供給が出ている。

④ 空売り残高の推移

減少に転じれば買い戻しが入っている。

増加が続けば、まだ下を見ている資金が残っている。

参考として、専門家の見方も割れている。

アナリスト33人のうち27人が買い推奨で、目標株価の中央値は226ドル。

一方で下限は62ドル、上限は800ドル。

Morningstarの理論価値は63ドルだ。

つまり62ドルから800ドルまで散っている状態は、専門家の間にも合意がないことを示している。

■ この記事の検証手順

ロックアップの正確な条件と株数は、SpaceXがSECに提出した目論見書に載っている。

「SEC EDGAR」で「SpaceX 424B4」と検索すれば一次ソースにたどり着ける。

買収の発行株数は、同じEDGARで8-Kを確認する。

空売り残高はOrtexとS3 Partners、出来高と平均出来高はNasdaq公式かTradingViewで見られる。

決算日と時刻はSpaceXのIRページが一次ソースだ。

決算日と解禁日の報道は、ここで確認できる。

https://qz.com/spacex-earnings-date-insider-share-unlock-072126

空売り残高と含み益の報道は、こちら。

https://www.investing.com/news/stock-market-news/spacex-short-sellers-gain-155-billion-as-shares-fall-below-ipo-price-4808635

■ 日本から買う方法

SPCXはナスダック上場なので、日本の証券会社から買える。

・短期トレード・24時間取引したいなら
moomoo証券

・長期保有・NISAで積み立てたいなら
SBI証券/楽天証券/マネックス証券

・マイナー銘柄まで幅広く買いたいなら
サクソバンク証券

■ 関連銘柄(2026年7月26日時点)

・EchoStar(ティッカー:SATS)
SpaceX株を保有していると報じられている

・AST SpaceMobile(ティッカー:ASTS)
衛星通信の関連銘柄として連動しやすい

・Invesco QQQ Trust(ティッカー:QQQ)
ナスダック100連動。SPCXを間接的に保有している

いずれも最新の保有状況を自分で確認してほしい。

■ 最後に

8月6日は、売り圧力が確定する日ではない。

供給余力が増える日だ。

9億1150万株が売れるようになる。

そのうち何株が実際に売られるかは、決算と、持っている人の判断で決まる。

そして、その供給を受け止める側にも1億9600万株の買い戻し需要が控えている。

IPO株を見るとき、多くの人は会社を見る。

ロックアップの日付を見る人は、その次に来る。

だが日付を知っているのは自分だけではない。

浮動株の31%を空売りしている資金も、同じ日付を見ている。

供給を数えるだけでは足りない。

その供給を誰が待っているかまで数えて、はじめて需給になる。


この記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。株価・空売り残高・ロックアップ日程・買収条件はいずれも変動する。投資は必ず自己責任で、最新の一次情報を確認したうえで判断してほしい。

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