【詩】夢のかたち
小さいころ描いていた未来には
ケーキ屋さんやお花屋さん
学校の先生やお医者さん
「大きくなったらね」
そんな魔法のフレーズを
何の迷いもなく声にのせて
無邪気に笑って話せていた
いつからだろう
「将来の夢は?」そう聞かれても
言葉が喉につかえて
すぐに答えられなくなってしまったのは
背丈が伸びて
選ぶ服のトーンが
落ち着いていくみたいに
少しずつ大人という道を進んでいった
あのころ見上げていた大人は
背中が大きくて 頼もしくて
何でもできる無敵の人に見えた
けれど、いざその場所に立ってみると
知らないことやうまくできないことは
今でも山ほどあって、迷う日も
立ち止まってしまう時もちゃんとある
我慢することを覚え
社会という大きな渦の中で
生きていく術を身につけ
気づけば 未来を語るよりも
今日という一日を生きることに
精一杯になっていた
年齢を重ね何かを諦めるたびに
この手に新しく触れたものもある
ぎゅっと抱きしめたい大切な人
何気ないけれど
手放したくない守りたい時間
私が私に帰ってこられる
大切にしたい場所
あのころのように
無邪気に夢を
叫ぶことは少なくなったけれど
今この手のひらには
あの頃には持てなかった
いっぱいの「守りたいもの」がある
胸の奥には傷つきながらも積み重ねてきた
「経験」という勲章がある
夢は
なくなってしまったわけじゃない
人生という長い季節の中で
少しずつ形を変え
今も心の中で
静かに、確かに、息をしている
