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改正皇室典範が成立したことに伴い、皇族のあり方についての憲法の規定を明確化するための憲法改正を提案したい。

 日本の第221回特別国会で、天皇の皇位継承などについて定めた法律である皇室典範の改正が可決された。これについてのニュース記事が配信されたので、note記事をまとめることにした。



初めに

 令和8年(2026年)の皇室典範改正を契機として、改正皇室典範の新旧対照表と日本国憲法の条文を読み進めたところ、皇族のあり方についての憲法の規定に不明確な点がいくつかあり、看過しがたいと強く感じるようになった。そこで、このnote記事では、憲法のどこが不明確であるのかを明らかにし、皇族のあり方についての憲法の規定を明確化するための憲法改正をすることを提案したい。なお、改正案の具体的な文面を一字一句まで完全に詰めて今すぐ提示することは筆者の手に余るが、皇族のあり方の根幹に相当すると筆者が考えている規定についてのみ、試案を示すことにしたい。



2026年7月17日配信ニュース記事

 配信されたニュース記事は、引用しておかないと配信停止により消えてしまうおそれがあるので、全文を引用しておく。

改正皇室典範が成立 男系維持、高市政権の意向反映
2026年07月17日 16時37分 共同通信

 改正皇室典範は17日の参院本会議で賛成多数により可決、成立した。1947年の施行以来、実質的な内容を伴う初めての本則改正となった。現行の皇室典範が認めていない「女性皇族が婚姻後も皇族身分保持」と「旧11宮家の男系男子の養子縁組」をいずれも可能とする内容。養子の子孫が男性なら皇位継承権を与え、「男系男子」維持を重視する高市政権の意向を反映した。

 2017年6月に成立した天皇退位特例法の付帯決議が政府に検討を要請してから9年超が経過。「立法府の総意」に向けた衆参両院の議論は、各党の見解が対立する皇位継承策を切り離し、皇族数確保に絞った経緯がある。一部野党は総意の内容を踏み越えたと反発。衆参いずれも全会一致にはならなかった。

 養子の対象は1947年に皇籍離脱した旧11宮家のうち、配偶者と子がいない15歳以上の男子とした。縁組の時から皇族となり、意思に基づき皇籍を離れることはできない。養子本人は皇位継承資格を持たないが、男性子孫には付与する。近年の天皇直系ではない「傍系」が天皇となる可能性がある仕組みだ。

47NEWS



改正皇室典範の新旧対照表(一部改変)

 内閣官房webページ内「国会提出法案(第221回 特別国会)」に、「皇室典範等の一部を改正する法律案」の骨子、要綱、法律案・理由、新旧対照表、参照条文が掲載されている。そこで、皇室典範の新旧対照表に次の三つの改変を加えて引用する:

  • 第一条から第八条まで、第十一条、第十六条から第二十一条までの各条文は、今回の法改正の対象外であるため、引用元の新旧対照表にはそもそも記されていない。しかし、このnote記事の執筆には必要な条文であるので、e-Gov法令検索「皇室典範」から引用し、「改正案」欄と「現行」欄の双方にそのまま記す。

  • 第二十二条から第三十七条まで(第四章と第五章)の条文は、やはり引用元の新旧対照表には記されていないが、たとえば「第二十二条~第二十七条 (略)」といった形式で「改正案」欄と「現行」欄の双方に記す。

  • 新旧対照表では改正部分に傍線(横書きならば下線)を引いて目立たせることになっているのだが、noteでTeX記法を用いて作表した場合(作表方法については「noteでTeX記法を用いて作表する方法(覚え書き)」を参照)、閲覧環境によっては下線が細すぎて改正部分が目立たなくなるおそれがある。そこで、「改正案」欄の左側に、矢印「→」などを記す欄を設ける。この欄の矢印「→」は、改正部分を含む条文を表す。矢印ではなくダガー「†」を記している条文は、「の外」を形式的に「のほか」へ改正している条文であり、ダブルダガー「‡」を記している条文は、「の外」を形式的に「のほか」へ改正し損ねている条文である(おそらく内閣官房の作業担当者の見落としだろう)。

 なお、引用元の新旧対照表では「改正案」欄も「現行」欄も1行あたりの文字数は31字である。以前に他のnote記事に書いたとおり、国では「改正案」欄も「現行」欄も1行あたり30字に決まっているはずだと思ったが、引用ミスを避けるため、引用元に従って1行あたり31字のまま引用する。
 横幅が長い表なので、左右にスクロールして読んでほしい。

$$
\newcommand\ul[1]{\underline{#1}}

\newcommand\zwshi{\phantom{あいうえおかきくけこさし}}
\newcommand\zwsuh{\phantom{あいうえおかきくけこさしス}}
\newcommand\zwdo{\phantom{あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやいゆえよわゐうゑをがぎぐげござじずぜぞだぢづでど}}

\newcommand\baselineskipye{\vphantom{\begin{array}{l}あ\\い\\う\\え\\お\\か\\き\\く\\け\\こ\\さ\\し\\す\\せ\\そ\\た\\ち\\つ\\て\\と\\な\\に\\ぬ\\ね\\の\\は\\ひ\\ふ\\へ\\ほ\\ま\\み\\む\\め\\も\\や\\い\\ゆ\\え\\\end{array}}\\}
\newcommand\baselineskipyo{\vphantom{\begin{array}{l}あ\\い\\う\\え\\お\\か\\き\\く\\け\\こ\\さ\\し\\す\\せ\\そ\\た\\ち\\つ\\て\\と\\な\\に\\ぬ\\ね\\の\\は\\ひ\\ふ\\へ\\ほ\\ま\\み\\む\\め\\も\\や\\い\\ゆ\\え\\よ\\\end{array}}\\}
\newcommand\baselineskipak{\vphantom{\begin{array}{l}あ\\い\\う\\え\\お\\か\\き\\く\\け\\こ\\さ\\し\\す\\せ\\そ\\た\\ち\\つ\\て\\と\\な\\に\\ぬ\\ね\\の\\は\\ひ\\ふ\\へ\\ほ\\ま\\み\\む\\め\\も\\や\\い\\ゆ\\え\\よ\\わ\\ゐ\\う\\ゑ\\を\\ア\\\end{array}}\\}
\newcommand\arraystretch{1.5}
\footnotesize

\begin{align*}
&\textsf{皇室典範(昭和二十二年法律第三号)(抄)}\\
&\zwdo\textsf{傍線部分は改正部分}\\
&\begin{array}{|l|l|l|}

\hline

\begin{array}{l}
\textsf{}\\
\end{array}&

\begin{array}{l}
\textsf{\zwshi改  正  案\zwshi}\\
\end{array}&

\begin{array}{l}
\textsf{\zwsuh現    行\zwsuh}\\
\end{array}\\

\hline

\begin{array}{l}
\baselineskipyo
\textsf{→}\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\textsf{‡}\\
\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\\
\\
\textsf{†}\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\textsf{→}\\
\textsf{→}\\
\\
\textsf{→}\\
\baselineskipak
\textsf{→}\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\textsf{→}\\
\textsf{→}\\
\textsf{→}\\
\\
\end{array}&

\begin{array}{l}
\textsf{昭和二十二年法律第三号}\\
\textsf{   皇室典範}\\
\\
\textsf{   第一章 皇位継承}\\
\\
\textsf{第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。}\\
\\
\textsf{第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。}\\
\textsf{ 一 皇長子}\\
\textsf{ 二 皇長孫}\\
\textsf{ 三 その他の皇長子の子孫}\\
\textsf{ 四 皇次子及びその子孫}\\
\textsf{ 五 その他の皇子孫}\\
\textsf{ 六 皇兄弟及びその子孫}\\
\textsf{ 七 皇伯叔父及びその子孫}\\
\textsf{② 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系}\\
\textsf{ 統の皇族に、これを伝える。}\\
\textsf{③ 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先に}\\
\textsf{ する。}\\
\\
\textsf{第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な}\\
\textsf{ 事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つ}\\
\textsf{ て、皇位継承の順序を変えることができる。}\\
\\
\textsf{第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。}\\
\\
\textsf{   第二章 皇族}\\
\\
\textsf{第五条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃}\\
\textsf{ 及び女王を皇族とする。}\\
\\
\textsf{第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王}\\
\textsf{ とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。}\\
\\
\textsf{第七条 王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は}\\
\textsf{ 、特にこれを親王及び内親王とする。}\\
\\
\textsf{第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣た}\\
\textsf{ る皇孫を皇太孫という。}\\
\\
\textsf{第九条 天皇及び皇族は\ul{、第三十八条第一項の規定による場合を除き}}\\
\textsf{ 、養子をすることができない。}\\
\\
\textsf{第十条 立后及び\ul{皇族}の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。}\\
\textsf{ \ul{ただし、第十四条第一項の者でその夫を失つたものと天皇及び皇族}}\\
\textsf{ \ul{以外の男子との婚姻については、この限りでない。}}\\
\\
\textsf{第十一条 年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き}\\
\textsf{ 、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。}\\
\textsf{② 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前}\\
\textsf{ 項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の}\\
\textsf{ 議により、皇族の身分を離れる。}\\
\\
\textsf{\ul{第十二条及び第十三条} \ul{削除}}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\\
\\
\textsf{第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を}\\
\textsf{ 失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる}\\
\textsf{ 。}\\
\textsf{② 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合\ul{のほか}、や}\\
\textsf{ むを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の}\\
\textsf{ 身分を離れる。}\\
\textsf{\ul{} \ul{第一項の者でその夫を失つたものが、天皇及び皇族以外の男子と}}\\
\textsf{ \ul{婚姻したときは、皇族の身分を離れる。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{第一項の者は、次の各号のいずれかに該当するときは、皇族の身}}\\
\textsf{ \ul{分を離れる。}}\\
\textsf{ \ul{} \ul{その夫が皇族の身分を離れたとき。}}\\
\textsf{ \ul{} \ul{離婚したとき。}}\\
\\
\textsf{第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び}\\
\textsf{ 皇族男子と婚姻する\ul{場合並びに第三十八条第三項の規定による場合}}\\
\textsf{ \ul{}除いては、皇族となることがない。}\\
\\
\textsf{   第三章 摂政}\\
\\
\textsf{第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。}\\
\textsf{② 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に}\\
\textsf{ 関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議に}\\
\textsf{ より、摂政を置く。}\\
\\
\textsf{第十七条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就}\\
\textsf{ 任する。}\\
\textsf{ 一 皇太子又は皇太孫}\\
\textsf{ 二 親王及び王}\\
\textsf{ 三 皇后}\\
\textsf{ 四 皇太后}\\
\textsf{ 五 太皇太后}\\
\textsf{ 六 内親王及び女王}\\
\textsf{② 前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六}\\
\textsf{ 号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。}\\
\\
\textsf{第十八条 摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体}\\
\textsf{ の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により}\\
\textsf{ 、前条に定める順序に従つて、摂政又は摂政となる順序を変えるこ}\\
\textsf{ とができる。}\\
\\
\textsf{第十九条 摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は}\\
\textsf{ 前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順}\\
\textsf{ 位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたとき}\\
\textsf{ でも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲る}\\
\textsf{ ことがない。}\\
\\
\textsf{第二十条 第十六条第二項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議}\\
\textsf{ により、摂政を廃する。}\\
\\
\textsf{第二十一条 摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため}\\
\textsf{ 、訴追の権利は、害されない。}\\
\\
\textsf{   第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓}\\
\\
\textsf{第二十二条~第二十七条 (略)}\\
\\
\textsf{   第五章 皇室会議}\\
\\
\textsf{第二十八条~第三十七条 (略)}\\
\\
\textsf{   \ul{第六章} \ul{養子皇族男子}}\\
\\
\textsf{\ul{第三十八条} \ul{親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王(皇嗣及び皇}}\\
\textsf{ \ul{嗣妃を除く。)は、皇室会議の議を経て、この法律による皇族男子}}\\
\textsf{ \ul{であつた者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない年齢十五年以}}\\
\textsf{ \ul{上の男子であつて、配偶者及び子がないものに限り、養子とするこ}}\\
\textsf{ \ul{とができる。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{前項の規定により養子をする縁組(次項及び第八項において単に}}\\
\textsf{ \ul{「縁組」という。)については、民法(明治二十九年法律第八十九}}\\
\textsf{ \ul{号)第七百九十八条の規定は、適用しない。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{縁組による養子は、当該縁組の時から、皇族となる。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{養子皇族男子(前項の規定により皇族となつた皇族男子をいう。}}\\
\textsf{ \ul{以下この条において同じ。)については、第二条の規定は、適用し}}\\
\textsf{ \ul{ない。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{第一項の規定により養子となつた者については、これを実方の系}}\\
\textsf{ \ul{統による嫡男系嫡出の者として第六条の規定を適用する。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{養子皇族男子に係る第七条の規定及び第九項の規定により読み替}}\\
\textsf{ \ul{えて適用する第十七条第二項の規定の適用並びに養子皇族男子の子}}\\
\textsf{ \ul{孫に係る第二条及び第六条の規定の適用については、実方の系統に}}\\
\textsf{ \ul{よるものとする。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{養子皇族男子である王については、第十一条第一項の規定は、適}}\\
\textsf{ \ul{用しない。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{養子皇族男子が第十一条第二項の規定により皇族の身分を離れる}}\\
\textsf{ \ul{場合において、養親(皇族の身分を離れた者を除く。)との縁組が}}\\
\textsf{ \ul{継続しているときは、当該縁組は、将来に向かつてその効力を失う}}\\
\textsf{ \ul{。この場合においては、当該養子皇族男子が皇族の身分を離れる時}}\\
\textsf{ \ul{に当該養親との離縁がされたものとみなして、民法その他の法令の}}\\
\textsf{ \ul{規定を適用する。}}\\
\textsf{\ul{} \ul{養子皇族男子に係る第十七条の規定の適用については、次の表の}}\\
\textsf{ \ul{上欄に掲げる同条の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同}}\\
\textsf{ \ul{表の下欄に掲げる字句とする。}}\\
\\

\begin{array}{|l|l|l|}

\hline

\begin{array}{l}

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{第一項}}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\\
\\
\end{array}\\

\hline

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{第二項}}\\
\end{array}\\

\end{array}&

\begin{array}{l}

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{} \ul{親王及び王}}\\
\\
\\
\\
\\
\\
\end{array}\\

\hline

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{} \ul{内親王及び女王}}\\
\\
\end{array}\\

\hline

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{同項第六号}}\\
\end{array}\\

\end{array}&

\begin{array}{l}

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{} \ul{親王及び王(第三}}\\
\textsf{ \ul{十八条第四項に規定}}\\
\textsf{ \ul{する養子皇族男子(}}\\
\textsf{ \ul{第七号において「養}}\\
\textsf{ \ul{子皇族男子」という}}\\
\textsf{ \ul{。)を除く。)}}\\
\end{array}\\

\hline

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{} \ul{内親王及び女王}}\\
\textsf{\ul{} \ul{養子皇族男子}}\\
\end{array}\\

\hline

\begin{array}{l}
\textsf{\ul{同項第六号及び第七号}}\\
\end{array}\\

\end{array}\\

\hline

\end{array}\\
\\
\end{array}&

\begin{array}{l}
\textsf{昭和二十二年法律第三号}\\
\textsf{   皇室典範}\\
\\
\textsf{   第一章 皇位継承}\\
\\
\textsf{第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。}\\
\\
\textsf{第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。}\\
\textsf{ 一 皇長子}\\
\textsf{ 二 皇長孫}\\
\textsf{ 三 その他の皇長子の子孫}\\
\textsf{ 四 皇次子及びその子孫}\\
\textsf{ 五 その他の皇子孫}\\
\textsf{ 六 皇兄弟及びその子孫}\\
\textsf{ 七 皇伯叔父及びその子孫}\\
\textsf{② 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系}\\
\textsf{ 統の皇族に、これを伝える。}\\
\textsf{③ 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先に}\\
\textsf{ する。}\\
\\
\textsf{第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な}\\
\textsf{ 事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つ}\\
\textsf{ て、皇位継承の順序を変えることができる。}\\
\\
\textsf{第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。}\\
\\
\textsf{   第二章 皇族}\\
\\
\textsf{第五条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃}\\
\textsf{ 及び女王を皇族とする。}\\
\\
\textsf{第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王}\\
\textsf{ とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。}\\
\\
\textsf{第七条 王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は}\\
\textsf{ 、特にこれを親王及び内親王とする。}\\
\\
\textsf{第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣た}\\
\textsf{ る皇孫を皇太孫という。}\\
\\
\textsf{第九条 天皇及び皇族は、養子をすることができない。}\\
\textsf{}\\
\\
\textsf{第十条 立后及び\ul{皇族男子}の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要す}\\
\textsf{ る。}\\
\textsf{}\\
\\
\textsf{第十一条 年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き}\\
\textsf{ 、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。}\\
\textsf{② 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前}\\
\textsf{ 項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の}\\
\textsf{ 議により、皇族の身分を離れる。}\\
\\
\textsf{\ul{第十二条} \ul{皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇}}\\
\textsf{ \ul{族の身分を離れる。}}\\
\\
\textsf{\ul{第十三条} \ul{皇族の身分を離れる親王又は王の妃並びに直系卑属及びそ}}\\
\textsf{ \ul{の妃は、他の皇族と婚姻した女子及びその直系卑属を除き、同時に}}\\
\textsf{ \ul{皇族の身分を離れる。但し、直系卑属及びその妃については、皇室}}\\
\textsf{ \ul{会議の議により、皇族の身分を離れないものとすることができる。}}\\
\\
\textsf{第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を}\\
\textsf{ 失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる}\\
\textsf{ 。}\\
\textsf{② 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合\ul{の外}、やむ}\\
\textsf{ を得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身}\\
\textsf{ 分を離れる。}\\
\textsf{\ul{} \ul{第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。}}\\
\textsf{}\\
\textsf{\ul{} \ul{第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子に、こ}}\\
\textsf{ \ul{れを準用する。}}\\
\textsf{}\\
\textsf{}\\
\\
\textsf{第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び}\\
\textsf{ 皇族男子と婚姻する\ul{場合を}除いては、皇族となることがない。}\\
\textsf{}\\
\\
\textsf{   第三章 摂政}\\
\\
\textsf{第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。}\\
\textsf{② 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に
}\\
\textsf{ 関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議に}\\
\textsf{ より、摂政を置く。}\\
\\
\textsf{第十七条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就}\\
\textsf{ 任する。}\\
\textsf{ 一 皇太子又は皇太孫}\\
\textsf{ 二 親王及び王}\\
\textsf{ 三 皇后}\\
\textsf{ 四 皇太后}\\
\textsf{ 五 太皇太后}\\
\textsf{ 六 内親王及び女王}\\
\textsf{② 前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六}\\
\textsf{ 号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。}\\
\\
\textsf{第十八条 摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体}\\
\textsf{ の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により}\\
\textsf{ 、前条に定める順序に従つて、摂政又は摂政となる順序を変えるこ}\\
\textsf{ とができる。}\\
\\
\textsf{第十九条 摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は}\\
\textsf{ 前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順}\\
\textsf{ 位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたとき}\\
\textsf{ でも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲る}\\
\textsf{ ことがない。}\\
\\
\textsf{第二十条 第十六条第二項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議}\\
\textsf{ により、摂政を廃する。}\\
\\
\textsf{第二十一条 摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため}\\
\textsf{ 、訴追の権利は、害されない。}\\
\\
\textsf{   第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓}\\
\\
\textsf{第二十二条~第二十七条 (略)}\\
\\
\textsf{   第五章 皇室会議}\\
\\
\textsf{第二十八条~第三十七条 (略)}\\
\\
\textsf{   (新設)}\\
\\
\textsf{(新設)}\\
\baselineskipye
\end{array}\\

\hline

\end{array}
\end{align*}
$$

 「皇室典範等の一部を改正する法律案」の骨子によると、この改正法案の内容は主に次の二つである:

  1. 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること(経過措置として、改正皇室典範施行時点の内親王・女王は、婚姻と同時に皇籍離脱が可能)

  2. 皇族の養子縁組を可能とし、養子を皇族とすること(養子になれるのは、旧宮家の15歳以上の男系男子で配偶者及び子がない者のみ)

 特に2. を念頭に置いて日本国憲法の条文を読み進めていくと、皇族のあり方について、憲法の条文に明確に規定されていない事柄がいくつか存在することに気づく。



日本国憲法

 皇室典範は、日本国憲法の「第一章 天皇」の中の2ヶ所(第二条と第五条)に明記されている法律である。憲法中に名称が明記されている法律というのは異例であり、これはおそらく、戦前の日本の法体系が皇室典範と大日本帝国憲法の二元主義を採用していたことの名残であると考えられる。
 現代の日本の法体系では、天皇や皇族に関する規定は日本国憲法と皇室典範の双方に(さらには皇室経済法などにも)置かれているが、皇室典範はあくまでも日本国憲法の下位にある法律の一つであるに過ぎない。実際、日本国憲法の1行目には「昭和二十一年憲法」、皇室典範の1行目には「昭和二十二年法律第三号」と記されていて、皇室典範は昭和二十二年法律第一号(戦時補償特別措置法の一部を改正する法律)や昭和二十二年法律第二号(衆議院議員選挙法第十二条の特例等に関する法律;既に廃止)などと同格の、通常の法律として取り扱われている。
 天皇や皇族のあり方について考える際には、皇室典範を読むだけではなく、その上位に位置する憲法を読むことが必要不可欠なので、やや古いが定評のある憲法学の教科書『憲法Ⅰ第5版』(平成24年発行、有斐閣)を参照しながら、日本国憲法の条文を読み進めよう。以下の記述で、二重カギカッコで囲み、ページ数を付してある箇所は、すべて同教科書からの引用である。


憲法第一章「天皇」

 まず、日本国憲法の第一章を引用する:

昭和二十一年憲法
日本国憲法
(前文略)
   第一章 天皇
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  国会を召集すること。
  衆議院を解散すること。
  国会議員の総選挙の施行を公示すること。
  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
  栄典を授与すること。
  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
  外国の大使及び公使を接受すること。
  儀式を行ふこと。
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

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(1) 天皇や皇族の地位

 『皇室とは、天皇および皇族を指す言葉である。皇室の存在自体は憲法の予想するところである(八条)』(p.112)。
 憲法第二条から、皇族が『皇位継承者の予備隊ないし天皇の親族』(p.232)であることは明らかであり、また、憲法第五条と皇室典範第十七条から、皇族が『摂政に就任する資格者』(p.135)の供給源であることも明らかである。しかし、天皇の地位については憲法第一条に「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であ」ると端的に規定されているのに対し、皇族の地位については皇室典範第五条に「皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする」と該当者を列挙する外延的●●●規定が置かれているだけであり、憲法にも皇室典範にも、皇族が日本国と日本国民にとってどのような存在であるかを端的に述べる内包的●●●規定は見当たらない。


(2) 天皇や皇族の公的行為

 天皇や皇族は、公的行為(いわゆる「ご公務」)を分担して遂行している。天皇の公的行為の例は次のとおり:

・認証官任命式
・新年一般参賀、天皇誕生日一般参賀・祝賀
・講書始の儀、歌会始の儀
・春・秋の園遊会
・拝謁(勲章・褒章受章者、被表彰者)
・御会見(国賓)、御引見(外国賓客、外国大公使)
・宮中晩餐(国賓)、午餐(公賓、大臣、 駐日大使御夫妻)
・お茶(日本芸術院賞受賞者、日本学士院賞受賞者)
・全国植樹祭、国民体育大会、豊かな海づくり大会、災害お見舞い、地方事情御視察
・国会開会式、全国戦没者追悼式、学士院授賞式、芸術院授賞式、国賓御訪問
・外国御訪問

内閣官房 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 報告書 参考資料

 天皇の国事行為については憲法第三条から第七条までに根拠規定が存在するが、天皇の(国事行為以外の)公的行為については憲法や皇室典範に明確な根拠規定が存在するとは言いがたい。上で引用した有識者会議報告書は、天皇の公的行為を「象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われるもの」とする立場、すなわち憲法第一条を根拠とする見解を採用しているようだが、この見解は学術的には疑問を差しはさむ余地があり、天皇の公的行為の法的根拠については複数の学説が唱えられている(詳細は『憲法Ⅰ第5版』pp.136~142)。
 一方、皇族の公的行為については、やはり憲法にも皇室典範にも明確な根拠規定が存在しない。おそらく皇族の公的行為は天皇の公的行為に準じて考える慣習があり、そうした慣習に基づいて皇族の公的行為がなされているのだろうと推測できる。


憲法第三章「国民の権利及び義務」

 次に、日本国憲法の第三章を引用する:

  第三章 国民の権利及び義務
第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
 児童は、これを酷使してはならない。
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第三十三条第四十条 (略;刑事手続上の諸権利)

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(3) 天皇や皇族の基本的人権の制限

 天皇や皇族は、日本国憲法が定める基本的人権のすべてが保障されている存在ではない。まず『選挙権が認められていない』(p.232)し、『特定の政党に加入する自由(二一条)、外国移住の自由・国籍離脱の自由(二二条)』や『学問の自由(二三条)や表現の自由(二一条)も一定の制約を受けるものと解されている』(p.232)。
 こうした基本的人権の制限も、天皇の場合は憲法や皇室典範に明確な根拠規定が存在するとは言いがたく、『天皇が政治から中立であるべき象徴であること、あるいは「国政に関する機能を有しない」という天皇の地位』(p.232)、すなわち、憲法第一条及び第四条第一項を法的根拠とする見解が学術的には多数説であるという。
 一方、皇族の場合は、憲法や皇室典範に明確な根拠規定が存在せず、やはり天皇に準じて考える慣習があり、そうした慣習に基づいて基本的人権が制限されているのだろうと推測できる。


(4) 天皇や皇族は憲法第三章の「国民」に含まれるか?

 憲法第十条「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」における「法律」は、国籍法を指している。このnote記事に国籍法を引用すると記事が長くなりすぎるので引用はしないが、国籍法を読むと「天皇」や「皇族」といった用語が一切登場していないことがわかる。そのため、学術的に見て、天皇や皇族が『憲法第三章の人権享有主体としての「国民」に含まれるかどうかについては、次のように説が分かれている。
 A説は、肯定説で、天皇および皇族ともに「国民」に含まれると解する見解である。(中略)
 B説は、天皇と皇族とを分けて、天皇はその象徴たる特殊の地位を有するものであるから、一般的には「国民」には入らないが、憲法第三章の規定も可能なる限り適用があるのは当然であるのに対して、皇族は、当然「国民」に入ると考えられるが、皇位継承に関係のある限りで、多少の変容を受けると解する見解である。
 C説は、否定説で、皇位の世襲制を重くみて、天皇および皇族ともに「門地」によって国民から区別された特別の存在であって、「国民」に含まれないとする見解である。(中略)近年、C説が有力になっている。』(pp.231~232)



提案

 改正皇室典範第三十八条第一項及び第三項により、(戦前まで皇族であった旧宮家の子孫の男系男子であるとはいえ)生まれながらの皇族ではない人物を、養子という形で皇族に迎え入れる道が開かれた。
 旧宮家の子孫の男系男子は、現代では単なる日本国民であり、日本国憲法が定める基本的人権が(少なくとも法的には)すべて保障されている存在であり、「ご公務」に日々明け暮れるという生活習慣を持たない人物である。そのような人物を新たに皇族に迎え入れるにあたり、憲法における皇族のあり方が不明確なままで良いのだろうか(いや、良くないはずだ)という強い疑問を筆者は抱いている。そこで、憲法を改正して次の四つの規定を憲法に置くことにより、日本国の主権者である国民の責任において、皇族のあり方を明確化することを提案したい。

(1) 皇族が日本国と日本国民にとってどのような存在であるかを端的に述べる内包的規定
(2) 天皇や皇族の公的行為(天皇の国事行為を除く)の法的な根拠となる規定
(3) 天皇や皇族にどのような基本的人権が保障され、また、制限されるかの規定
(4) 天皇や皇族が憲法第三章の「国民」に含まれるか否かの規定

第三十八条 親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王(皇嗣及び皇嗣妃を除く。)は、皇室会議の議を経て、この法律による皇族男子であつた者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない年齢十五年以上の男子であつて、配偶者及び子がないものに限り、養子とすることができる。
 (略)
 縁組による養子は、当該縁組の時から、皇族となる。
 (略)

改正皇室典範(再掲)


 四つの規定のうちで根幹に相当するものは、おそらく (1) だろう。まず何よりも (1) を的確に定めることが重要であり、その上で、(1) に照らして (2) から (4) までを導き出すという順序が重要なはずだと考えている。
 まだ生煮えではあるが (1) の試案を記すと、初めに

  • 皇室は、天皇及び皇族からなる。

と定義した上で、憲法第一条にならって

  • 皇室は、日本国において日本国民が形作る家族及び親族の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

と規定することを提案したい。これは「象徴天皇制」を拡張した「象徴皇室制」とでも呼べば良いだろうか。
 なお、残りの三つの規定のうち、たとえば皇族の公的行為の列挙などについては、憲法への明記にあたって技術的な工夫が必要になるかもしれない。憲法第十条「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」によって日本国民の要件の具体的な規定を憲法から国籍法に委譲しているのと同じく、憲法には皇族の公的行為の目的や趣旨についての規定と「皇族の公的行為は、皇室典範でこれを定める。」といった規定だけを置き、皇族の公的行為の列挙は憲法から皇室典範に(場合によっては、さらに皇室典範から皇室典範施行令に)委譲するといった方法などもあり得るのではないだろうか。(終)


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